家庭のウェルビーイング-結婚生活を幸せにする方法-
最近、ウェルビーイングという言葉を耳にする機会が増えています。ウェルビーイングという言葉自体は1946年にWHOが憲章の中で使ったことで広まりました。当初は、単に心身の健康や一時的な楽しいといった感情を表す言葉でしたが、言葉の意味はその後進化し、今では、心と身体の豊かな状態である幸福と、社会の良好な状態をつくる福祉の意味も含めて、より広い意味で使われるようになっています。
ウェルビーイングの研究は主に心理学をベースに進められてきました。自分の人生や暮らしについて、本人がどのくらい満足しているかという主観的幸福感を計測する手法が様々に開発されました。具体的には、「私は自分の人生に満足している/私の人生は、とてもすばらしい状態だ」といった質問に、非常によく当てはまる~まったく当てはまらないまでの7段階で回答する方法や、「最もよい人生を10、最も悪い人生を0とする梯子を思い浮かべて、今、自分は何段目にいますか」といった質問に回答する方法などがあります。こうした手法を用いて、国連やOCEDなどで調査が行われています。
家庭のウェルビーイング研究と関連して紹介されるのが、米国ワシントン大学の心理学の名誉教授ジョン・ゴットマン博士の夫婦関係に関する研究です(夫婦以外のパートナーも含む)。同氏の離婚の予測研究によると、夫婦がしてはいけない4つの行動とは、①相手の人格を攻撃すること、②優位な立場から相手を見下すこと、③自己防衛的な態度をとること、④感情的に否定すること、対話を拒み、ひきこもること、であるそうです。感情的になった場合、20分の冷却時間を置き(冷静さを取り戻す)、ウィンウィンな関係を作り上げる(ポジティブな方向へ向かう)ようお互いに努力することが提案されています。
併せて、結婚生活を幸せにする7つの原則も発表されています。①愛の地図を強化すること(愛の地図とは、パートナーの情報を記憶する場所を指し、相手の夢や希望、興味などをより深く知ること)、②愛情を育て、たくさん褒めること、③離れるのではなく、寄り添うこと。思いやりの気持ちを大切にすること、④相手からの影響を受け入れること。自己主張だけでなく、相手にも譲歩すること、⑤解決可能な問題を放置せず、早期に話し合いを始め、歩み寄りや譲歩すること、⑥膠着状態を乗り越えること。歩み寄りや譲歩が難しい場合、最低限でも相手が自分の考えを主張し、考えが違うことを理解する状態にすること、⑦人生の意味を共有すること。互いの役割を理解し、相手が大切にしているものや価値観を尊重すること、とあります。
これは夫婦間の幸福度向上のための研究ですが、親子関係や職場関係など身近な人とのウェルビーイングを考えるときにも役立ちそうです。地域社会や職場と併せて家庭での取り組みも人生の満足度、ウェルビーイングの向上に重要と思われます。
<執筆者・アーカイブ>伊佐 紫
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