デイリー・アップデート

2019年6月14日 (金)

[タイ/EU] タイは14日、近く新政権が発足する見通しであることを受け、ベルギーでEUとの協議を再開する。主な協議内容は①タイ―EU間FTA交渉の再開、②Brexitの影響、③世界情勢・WTO改革。2013年3月にEUとのFTA交渉を開始したものの、2014年のクーデター後、EUは軍事政権との交渉を禁じていることから交渉停止となっていた。今回、タイが民政に移管したため協議が再開されることとなった。米中貿易摩擦の影響でタイからの輸出が伸び悩む中、競争相手国ベトナムがEUとのFTAを近々発効するため急ピッチで交渉を進めるものと思われる。

[欧州] 5月のユーロ圏の鉱工業生産指数は前月比▲0.5%と、4月(▲0.4%)から2か月連続で減産となった。ドイツは▲2.3%と、過去半年で4か月が減産となるなど、勢いに欠く状態が続いている。ドイツ経済省によると、2019年第2四半期の経済は低調になる見通し。サービス業が下支えになる一方で、米中貿易戦争などが重石となっており、製造業にとって厳しい環境が続くため。

[石炭] 豪クイーンズランド(QLD)州政府の環境省は、インドAdani Groupが同州ガリリー盆地で計画するCarmichael炭鉱開発事業について、最後の課題となっていた環境認可を承認。これにより2010年に立ち上がった世界最大級の未開発石炭資源の開発プロジェクトが9年を経てようやく動き出す。QLD州の労働党政権は当初、雇用促進等を理由に同プロジェクトを支持していたが、地球温暖化問題が選挙の論点となったことで連邦融資や承認が滞り、Adaniは計画縮小と自己資金での開発を余儀なくされていた。

[モルドバ] 同国の選挙で選出された親ロシア派の大統領の地位をめぐる対立が激化し、事実上の二重権力状態に陥った。2月の総選挙後の連立交渉がもつれ、憲法裁判所が大統領の職務停止を命令。代わって指名を受けた対立政党の大統領代行が議会を解散し、やり直し総選挙の実施を宣言した。一方、職務停止命令を受けた親ロシア路線のドドン大統領は反発し、外国に仲裁を訴えた。今後ロシアなどを巻き込んでの混乱が続く可能性がある。

[欧州議会] 6月12日、の欧州議会内の政党グループのひとつである「国家と自由の欧州(ENF)」が、新たな政党グループの結成とグループの新名称を発表した。ENFを母体とする新しい政党グループ名は「ID(Identity and democracy)」となった。同グループに参加した、イタリアの「同盟(Lega)」のザンニ氏(元「五つ星運動」所属の欧州議会議員)がID議長、フランスの「国民連合(RN)」のベイ氏と「ドイツのための選択肢(AfD)」のモイテン氏がID副議長に選出された。IDの議員構成は37議席(8か国)から73議席(9か国)に拡大し、選挙前の第8位の政党グループから第5位の政党グループになる見込み。

[米国] 6月13日、ホルムズ海峡におけるタンカー2隻の炎上を受けて、ポンペオ国務長官はイランによる攻撃であると述べ、世界の平和と安定に対する危機であり、航行の自由への明白な攻撃と非難。米中央軍は、日本のタンカーからイラン革命防衛隊が不発機雷を取り除く様子の映像を公開した。

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