デイリー・アップデート

2020年9月17日 (木)

[OECD] 9月16日、経済協力開発機構(OECD)は、2020年の世界経済成長率の予測を▲4.5%とし、6月時点での予測値▲6%から上方修正した。ここ数か月の力強い景気回復を反映したものという。G20の中で唯一、中国経済は+1.8%とプラス成長になることを予測。一方、インド、インドネシアがそれぞれ6月時点の▲3.7%、▲2.8%から▲10.2%、▲3.3%に変更されるなど一部新興国経済の予測が下方修正された。

[ウクライナ] 10月25日、5年ぶりに全国で地方選挙が行われる。コロナ禍の下での初の国内選挙となり、昨年初当選した元芸能人、ゼレンスキー大統領の政権にとっては一つの試金石となる。最新の世論調査によると、同大統領の率いる新党「国民のしもべ」は支持率2割前後で首位に立っているものの、やや親ロシア派の最大野党「For Life」が、現在の支持率約15%で、追い上げる勢いを見せている。

[EU] 9月16日、フォンデアライエン委員長が欧州議会で行った演説の中で、新型コロナウイルス危機からの回復・復興や雇用の創出のためにデジタル化や気候変動に取り組む「野心的行動」の重要性を強調。環境対策資金をグリーンボンド発行で調達する方針や、2030年の温室効果ガス排出削減量(1990年比)目標を現状の40%から55%に引き上げるべきとの見解も発表した。

[中国] 政府の「新エネルギー車(NEV)産業発展計画2021-2035年」の技術的裏付けとなる「省エネとNEVの技術ロードマップ」が完成したが、作成に関与した専門家の共通認識は「中国ではエンジン駆動の自動車を禁じてはならない」というものだった。政府は2017年からエンジン車禁止に向けた検討を行っていた。専門家は、①今後15年間は省エネ車とNEVの両方を発展させるべき、②エンジン車にモーターを装備させハイブリッド化を図るべき、③政府目標(2025年で自動車販売台数中NEV25%)の設定が高すぎる等の諸点に言及している。日本の自動車メーカーには追い風になる動きと見られる。

[日/中] 新規発足した菅内閣について、中国紙『環球時報』は「意外性はなく、安倍政権との継続性を重視」と報道。最注目しているのは岸信夫議員の防衛大臣就任で、岸氏が安倍前首相の実弟であり、日華議員懇談会の幹事長を務め日台関係重視の立場を示してきた点が警戒されている。とはいえ『環球』は専門家の「対中政策にはさして影響しない」というコメントを載せるなどして、懸念を強調しすぎないよう注意している。菅氏は「中国包囲網」に対しては安倍前首相と違い不賛成の立場を示したことがあり、また安倍氏のようには米トランプ大統領との関係を築けないとした上で、米中関係が悪化する中、日米同盟と日中関係にどう対処するのかが課題と評している。

[レバノン] 8月31日にアウン大統領から次期首相指名を受けたアディーブ氏は、9月1日にレバノンを訪問した仏マクロン大統領に対して仏の提言に従い2週間以内に組閣すると約束したが、2週間経過後の現在もいまだ組閣はできていない。アディーブ氏は政党や宗派にとらわれない専門家内閣の組閣を模索しているが、シーア派が財務大臣のポストに固執していることが障害になっているもよう。今月米政府がシーア派の元財務大臣に対してヒズボラとのつながりを理由に制裁を科したことも、シーア派の態度硬化の一因とみられる。

[米国] 11月3日の大統領選挙投票日まで残り約50日となり、選挙キャンペーンは終盤を迎えつつある。トランプ大統領が再選を果たすためには537人の大統領選挙人の過半数である270人を獲得する必要があるが、再選に向けてトランプ大統領は、フロリダ・アリゾナ・ミネソタの3州が特に重要と認識しており、トランプ陣営としてはこれら3州を「重点州」に位置付けて再選キャンペーンを強化するとの方針をペンス副大統領が表明した。

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