デイリー・アップデート

2020年11月18日 (水)

[米国] 11月17日、バイデン次期大統領はホワイトハウスの高官ポストを指名し、大統領次席補佐官には女性初の選対本部長として大統領選挙での勝利に貢献したオマリー・ディロン氏を起用し、大統領上級顧問にはバイデン選対本部の全米共同議長でアフリカ系のリッチモンド下院議員を起用するなど多様性に富んだ人事を発表した。閣僚人事の発表は感謝祭休暇明けになる可能性が高い。

[タイ] 国家経済社会開発評議会(NESDC)が発表した第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比▲6.4%と、第2四半期の同▲12.1%からマイナス幅が縮小した。コロナ禍対策としての制限措置の緩和や政府による刺激策により国内経済が改善した。前期比では6.5%(季節調整済み)のプラス成長。政府による刺激策により政府消費支出は+3.4%と前期の▲1.3%からプラスに転じた。公共投資は+18.5%。NESDCは2020年通年の実質GDP成長率予測を▲7.3~▲7.8%から、▲6.0%に上方修正した。2021年通年の予測は+3.5~+4.5%。

[米国] 商務省によると、10月の小売売上高は前月比+0.3%と、5月以降6か月連続で増加した。足元の水準は新型コロナウイルス感染拡大前を上回っているものの、増加ペースは鈍化している。給付金などの後押し効果が剥落してきたことに加えて、足元において感染が再び拡大しており、屋内飲食や不要不急のビジネスなどへの制約が強まる傾向がある。こうした状況によって、個人消費が当面弱含む可能性があるとみられている。

[アゼルバイジャン] ギリシャからアルバニアを経由してイタリアに至る「アドリア海横断パイプライン (TAP)」が11月15日開通した。これにより、アゼルバイジャン産の天然ガスをトルコ経由で欧州に輸送する「南ガス回廊」が完成した。TAPは全長878キロメートルで、年間のガス輸送能力は100億立方メートルとなる見込み。欧州への安定したエネルギーの供給先としてアゼルバイジャンの存在感が徐々に高まっている。

[EU] 米国の政権交代を前に、マクロン仏大統領、クランプ・カレンバウアー独国防相、ボレルEU上級代表が今後の米国との関係に関する見解を発表した。米国と協力していくという原則は共通しているが、マクロン大統領が欧州の戦略的自律性を強調しているのに対し、クランプ・カレンバウアー国防相は米国への依存が必要との見解。一方、ボレル上級代表は米国との協調と欧州の戦略的自律性の両方の必要性に言及している。

[中国] 11月17日、BRICS首脳会議がオンラインで開催され、習近平国家主席は演説で以下諸点について強調した:サプライチェーンの安全・円滑化、脱グローバル化への反対、中国が提案した「グローバルデータ・セキュリティ・イニシアチブ」へのBRICS諸国の支持要請、「持続可能な開発のための国連2030アジェンダ」の推進、グリーン・低炭素の堅持(2030年までにCO2ピークアウトと2060年までのカーボンニュートラル)およびパリ協定の確実な実施。

[米国/イラン] 11月12日、トランプ米大統領は安全保障担当政権幹部との会合で、今後数週間以内にイランの核施設を攻撃する可能性について尋ねたとのこと。政権幹部は、紛争が中東地域全体の不安定化につながるとして大統領をいさめたというが、大統領はイラク国内の親イラン民兵に対する攻撃も示唆したという。これに対し、イラン政府報道官は「攻撃に対してイランは強く反撃する」と警告。イランとの関係を劇的に悪化させることで、バイデン次期大統領のイランとの交渉を困難にするのが目的だと指摘する専門家もいる。

[米国] 11月16日、バイデン次期大統領は企業経営者や労組代表との会議に臨み、経済回復について演説を行った。経済活動本格再開のためには、まず新型コロナ感染対策を講じることが不可欠と述べ、米国内で感染者数が急増している現実を踏まえ、「非常に暗い冬が訪れる」と警告した。苦境に陥っている中小企業や州政府を支援するべく、追加経済対策法案を速やかに可決するよう連邦議会に要請。経済対策をめぐる与野党折衝は今週中に実現する見込みだが、規模や具体的支援策において両党間の溝は深い。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。