デイリー・アップデート

2021年6月9日 (水)

[世界] 6月8日、世界銀行は「世界経済見通し」を発表した。2021年の世界の実質GDP成長率見通しを+5.6%と予測し、前回1月時点の見通しより1.5ポイント上方修正した。世界的なリセッション後の成長率としては過去80年で最高となる。主なけん引役は米国と中国でそれぞれ6.8%、8.5%の見通し。しかし、回復は一様ではなく米国など一部主要国経済は急回復する一方、新興・途上国経済においては新型コロナウイルス感染者数の高止まりやワクチン普及の遅れが成長の足かせとなるとしている。

[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)が発表した6月の景気期待指数は79.8となり、5月の84.4から低下したものの、高水準を維持しており、向こう半年程度の間にドイツ経済が回復することが期待されている。また、現状指数は▲9.1となり、5月の▲40.1から大幅に回復した。経済活動が段階的に再開している影響が大きい。ただし、半導体不足などから、4月の鉱工業生産指数は前月比▲1.0%と減産になったように、供給網などの問題が景気回復の重石になると懸念される。

[ロシア] 政府は外国人向けのワクチン接種ツアーの開始準備を進めている。6月4日にサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで演説したプーチン大統領は、外国人向けワクチンツーリズムの可能性について6月末までに検討するよう政府に指示した。ワクチンツアーは有料となる見込みで、現在、ツアーの受け入れを開始するために関係省庁との間で準備が進められている。関係者は旅行客を受け入れるビザ問題を解決する必要があるとの認識を示している。

[EU] 6月4日に開かれたEUとチュニジアの首脳サミットで、EUはワクチンへの公平なアクセス促進や、中小企業支援、また国外からチュニジアへの投資を促進することで、民主的な制度の強化を実現し、またグリーン化・競争力強化を含めた、「持続可能な回復と包括的な経済の繁栄」に向けた支援をすることも約束。さらに、EUとチュニジア双方が、合法的な移民や移民に関わるあらゆる側面(不法移民など)に関して協力することで合意した。

[米国] 6月8日、バイデン政権は、インフラ整備法案をめぐる上院共和党との協議を打ち切ると発表した。政権側は、当初のインフラ予算案2.3兆ドルを1兆ドルまで減額し、さらに法人税増税以外の財源を検討するところまで妥協する姿勢を見せたが、共和党とは折り合えなかった。今後、バイデン政権は別途、上院の超党派議員団との交渉を開始する。同議員団からは今週中に9,000億ドル規模の対案が提示される見込み。一方、議会民主党指導部は、民主党単独で法案を可決するための準備作業を進めることで政権と合意。

[米国] バイデン大統領は今年2月に半導体・高性能蓄電池・重要鉱物・医薬品の4分野の米国のサプライチェーンのリスクを検証し、報告書を100日以内に提出するよう指示する大統領令に署名していたが、同報告書が6月8日公表された。4分野のサプライチェーンの中国への依存を低下させ、G7や「Quad(米日豪印)」との連携強化や安定的なサプライチェーン構築に向けた提言が行われており、バイデン大統領は6月10日からの初外遊中に同盟国との会談で主要議題として取り上げる方針。

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