デイリー・アップデート

2021年6月11日 (金)

[中国] 6月10日、全国人民代表大会常務委員会は「反外国制裁法」を可決、即日発効した。通常3回の審議を2回で済ませ、成立を急いだ。外国による制裁に対抗するための法的根拠を与えることを目的としており、中国への制裁措置の制定、決定、実施に直接・間接にかかわった個人や組織を「対抗リスト」に加え、入国禁止やビザの取消、中国国内での資産凍結ができるとしている。また、いかなる組織・個人も対中制裁を執行してはならず、違反者には法的責任を追及し、損害賠償を請求できるとしている。

[米国/台湾] 6月10日、タイ・米通商代表と、台湾の鄧振中・政務委員は、オンライン会談を実施。「米台貿易・投資枠組み協定(TIFA)」の下、今後、数週間内に協議の場を持つことで合意した。7日の議会公聴会において、ブリンケン国務長官が米台貿易協議の可能性を示唆していた。議会には米台FTA締結を提唱する声もあるが、トランプ前政権ではUSTRが対中交渉を優先し、台湾との実質的な貿易・投資協議は進まなかった。

[米国/カナダ] カナダ西部アルバータ州の重質油を米国ネブラスカ州に輸送するキーストーン・パイプライン建設を行っていたカナダ企業TCエナジーは、6月9日、同パイプライン建設を中止、撤退すると発表した。バイデン大統領は、就任当日に、トランプ前大統領が認可していた同パイプライン建設を取り消す大統領令に署名していたが、北米でのパイプライン建設計画は環境保護団体らの反対によりますます困難な状況に直面しつつある。

[ミャンマー] クーデター後激減していた企業登記数が反転し、増加傾向にある。ミャンマー投資委員会(MIC)傘下の投資企業管理局(DICA)が運用するオンライン企業登記システム「MyCO」(2018年8月1日開設)を通じた登記は2月に188件(前年同月比85.5%減)、3月には163件(同83.9%減)と運用開始後初めて200件を下回った。2021年1月は1,373件だった。その後、4月254社(同27%減)、5月686件(同14%減)と回復しつつある。開設以来の「MyCO」の月平均登録会社数は約1,000件で、2・3月はこれを大幅に下回っていた。

[EU] 6月10日の欧州議会本会議で、欧州議会が新型コロナウイルスワクチンの知財権放棄を求める決議と欧州委員会に対して「法の支配」の履行を求める決議の両方を可決。ワクチンに関しては、欧州委員会の強制実施権適用案と異なり、知財権の一部を一時的に放棄することを求めている。一方、「法の支配」に関して欧州議会は欧州委員会に対して2週間以内の義務履行(一部加盟国に対する制裁手続き)を求めた。

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