デイリー・アップデート

2021年7月12日 (月)

[イタリア] 5つ星運動の党首候補であるコンテ前首相と同党創設者のグリッロ氏の確執が表面化し党の分裂が懸念されていたが、7月11日の同党幹部委員会で一転合意が成立。5つ星運動はドラギ政権に閣僚入りしていたことから、分裂がイタリア政情不安を引き起こすと懸念されていた。今週中にコンテ氏とグリッロ氏が再び会談して役割分担に関する詳細の詰めを行い、その後新しい党のルールと党首を決定する投票が行われる予定。

[サウジ/オマーン] 7月11日、オマーンのハイサム国王が、昨年1月の国王就任以来の初外遊でサウジアラビアを訪問し、サウジのサルマン国王やムハンマド皇太子と会談した。先代のカブース国王時代からオマーンは独自の中立外交を展開し、2015年の核合意に至る米・イラン間の秘密協議や、イエメン紛争におけるフーシ派との交渉を仲介するなどしてきたが、その姿勢がイランに近すぎるとサウジからは懸念されてきた。今回の訪問は、サウジとオマーンの関係改善の兆候を表している。

[米国/中国] 7月9日、バイデン政権は、中国企業14社を、新疆ウイグル自治区での中国政府による人権弾圧に関与したとの理由で、商務省産業安全保障局(BIS)の制裁リストであるエンティティ・リスト(禁輸措置対象リスト)に新たに追加した。同政権は、約2週間前の6月24日には、新疆ウイグル自治区での強制労働に関与したとの理由で中国企業5社をエンティティ・リストに追加しており、新疆ウイグル自治区の人権弾圧問題には米中対立の中で大きな焦点が当てられるようになっている。

[中国] 7月9日、中央銀行である中国人民銀行は、市中銀行の預金残高から強制的に預けさせるお金の比率を示す「預金準備率(RRR)」を15日から0.5%引き下げると発表した(一部の小型地銀を除く)。これにより、中小企業の資金調達コストを引き下げる。卸売物価指数が前年同月比+8.8%と前月の同+9.0%からほぼ変わらず高止まりしているため、RRRを引き下げることにより市中銀行に対し中小零細企業向けの貸し出しを増やすよう促す。預金準備率の引き下げは2020年5月以来で、1年2か月ぶり。

[モルドバ] 7月11日、東欧の旧ソ連構成国モルドバで前倒し議会選(一院制、定数101)が行われ、開票率95%の時点で、親欧米派のサンドゥ大統領の与党「行動と連帯(PAS)」が48%の支持を集め、過半数である51以上の議席を獲得する見通しとなった。これまで同国議会で多数派を占めてきた親露派のドドン前大統領の支持勢力は30%にとどまっている。

[中国/米国] 7月9日、米国商務省は34の事業体をエンティティ・リストに追加したが、そのうち23社は中国企業で、14社が新疆ウイグル自治区での人権侵害の疑い、5社は中国軍との関係、4社はすでに米国が制裁を科している他の企業との取引が理由であった。新疆ウイグル関連で追加された14社は新疆北斗同創情報技術有限公司、中国電子情報技術学院、蘇州科達科技股份有限公司など、ほとんどが情報技術関連の企業。12日から禁輸措置が発効する。

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