デイリー・アップデート

2022年1月6日 (木)

[米国] 1月5日、FRBは、12月に開催したFOMCの議事要旨を発表した。それによると、量的緩和の縮小完了予定の3月にも利上げを実施することが議論されていた。また、前回の利上げ局面とは異なり、利上げ開始からFRBの資産縮小の開始まで時間をおかないことも、議論の俎上に上がっていたことが明らかになった。こうした背景には、物価上昇率の歴史的な高さに対して、FRBが警戒感を高めていることがある。

[リトアニア/台湾/中国] 2021年11月に台湾の代表機関「台湾代表処」を首都ビリュニスに開設したリトアニアに対し、中国は外交関係の格下げやリトアニア製品の禁輸などの圧力を加えているが、1月4日、同国のナウセーダ大統領が「『台湾』という名称を使ったのは誤りだった」「開設について自身は相談を受けていなかった」と述べ注目されている。ランズベルギス外相は「大統領とは相談していた」と大統領発言を否定した。また、5日、台湾政府はリトアニア産業と貿易促進のため2億ドルの基金を設立すると発表した。

[イラン/韓国] 崔鍾建(チェ・ジョンゴン)韓国外交部第1次官率いる韓国の外交団が、イラン核合意(JCPOA)関係国との協議を実施するため、現在JCPOA再建交渉が行われているウィーンを訪問。韓国の銀行には、米トランプ前政権による対イラン制裁再発動によって動かせなくなったイラン政府の凍結資金(70~90億ドルと言われる)が存在しており、イラン政府はこの凍結資金の返還をたびたび韓国政府に求めてきた。今回のJCPOA再建交渉で、この韓国にある凍結資金が何らかの交渉材料となっているもよう。

[ブラジル] 年初にブラジル南部のサンタカタリーナ州で休暇中だったボルソナロ大統領は腹部に痛みを訴えて1月3日にサンパウロ市内の病院に緊急搬送されたが、その後回復したため、手術を受けずに1月5日に退院した。今回ボルソナロ大統領は腸閉塞を発症して入院を強いられたが、その原因は2018年大統領選挙キャンペーン中に暴漢によりナイフで腹部を刺された襲撃事件の影響という。2022年大統領選挙でのボルソナロ大統領の再選戦略への悪影響も一部で懸念されている。

[ミャンマー] 2021年12月30日、中央銀行は、通貨チャットの安定化のため米ドル売り・チャット買い介入を実施した。売却額は1,500万ドル。介入は2日連続で、12月に入って8度目となった。2021年2~12月の間に入札方式で売却された米ドルの累計額は4億4,380万ドル。また、国軍のミンアウンフライン総司令官は同日、国境を接するインド、タイとの間で互いの通貨による直接取引を開始することに合意したと明らかにしている。

[中国] 1月5日付の「第一財経網」によると、RCEP発効初日の1月1日、中国国際貿易促進委員会と同地方支部は、繊維製品、化学製品、医療製品、食品などを扱う全国12省・市の69社に対し、RCEP原産地証明書158部を発行した。輸出先には日本、オーストラリアなどの発効済み加盟国が含まれ、輸出額約1,200万ドル、約18万ドル相当の輸入関税が減免される見込み。取材に応じたメチオニン(動物用栄養剤)、衣料品、塗料などの中国メーカーは、日本向け輸出における関税減免をもろ手を挙げて歓迎。

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