2026年9月1日 (火)
[米国/40年ぶりのリン酸肥料工場新設計画]
8月26日、米農業協同組合大手CHSと、世界最大級のリン鉱石・リン酸肥料メーカーであるモロッコ国営OCP傘下のOCP North Americaは、米国の肥料供給強化に向け、ルイジアナ州でリン酸肥料工場を建設する50:50の合弁計画を発表した。投資額は最大4億5,000万ドル、生産能力は年100万トン超(報道ベースでは130万トン)。DAP(リン酸二アンモニウム)やMAP(リン酸一アンモニウム)などを生産する計画で、実現すれば米国では1984年以来、約40年ぶりのリン酸肥料工場新設となる。2027年前半の着工、2028年末~2029年初の完成を見込む。
米国ではリン鉱石埋蔵量が減少し、リン酸肥料需要の約4割を輸入に依存している。CHSは新工場によって輸入依存を最大48%削減できるとしており、米農務省の国内肥料生産支援プログラムにも資金を申請している。原料のリン酸はOCPが供給し、近隣のCF Industriesからアンモニアを調達する。ミシシッピ川を利用した製品輸送にも適した立地だ。
一方、今回の発表を驚きをもって受け止める向きもある。米国は国内大手Mosaicの申し立てを受け、2021年からモロッコ産リン酸肥料に相殺関税を課してきた。肥料価格高騰を受け、一部関税は一時停止されたものの、OCPへの補助金を巡る関税見直しは現在も続いている。
さらに、発表前日には、Mosaicが硫黄供給不足を理由にルイジアナ州のリン酸塩事業縮小と人員削減を発表したばかりだ。既存の国内メーカーが高コストに苦しむ一方、これまで関税対象としてきた海外大手と組んで新たな国内生産能力を構築する格好となり、米国の肥料供給政策を巡って市場では戸惑いの声も出ている。(経済部 鈴木直美)
[中国/国防動員法を大幅改定]
8月28日、中国全国人民代表大会常務委員会は、改定「国防動員法」を可決した。10月1日から施行される。国防動員法は2010年に制定された法律で、戦時などに軍だけでなく、人員や企業、交通・物流、物資など民間の資源を国家が動員する仕組みを定めている。今回の大幅な改定は、中国の軍事攻撃が差し迫っていることを直接示すものではないが、大規模・長期戦を想定し、中国社会全体を迅速に戦時体制へ移行させる能力を高めるための内容となっている。
背景には、現代戦では軍が保有する資源だけでは長期的な作戦を維持できないとの認識がある。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化も中国に重要な教訓を与えたとみられる。改定法は、食料や戦略物資、予備人員、輸送・物流などに加え、AIやサイバーなど先端技術を含む「新興領域」の動員を重視している。企業などに動員能力に関する調査への協力やデータ提供を求め、平時から民間の能力を把握して、有事に経済・社会の力を軍事力へ転換しやすくする。
また、改正前から存在した民間資源の「徴用」に加え、「徴収」が明記された点も注目される。徴用が原則として資産の一時的な使用を意味するのに対し、徴収は国家が所有権を取得する措置を含み得る。また、国防動員の目的には従来の「主権、統一、領土保全、安全」だけでなく、新たに「発展利益」が加えられた。これにより、経済、技術、資源などを含む幅広い国家利益を国防動員と結び付ける余地が広がった。
台湾有事では全国的な総動員だけでなく、福建省、浙江省、広東省など必要な地域を対象とする「局部動員」によって、商船や物流、通信、民間企業などを作戦支援に投入することも想定できると台湾の識者は解説しているが、現在は戦争準備を強化している段階であり、侵攻を決定したわけではないとも分析している。
今回の改定は、中国が平時から民間経済・社会を動員体系に組み込み、有事には社会全体を人民解放軍の後方支援基盤として利用できる体制を一段と整備したものである。中国社会全体を人民解放軍の後方支援基盤として利用し、必要時に「平時」から「戦時」へ素早く転換する能力を制度面から高める動きといえる。(国際部 前田宏子)
[米・イラン/緊張再燃]
8月30日、米軍はイラン南部ララク島にある2基のミサイル発射装置を攻撃した。米国によるイラン領内への攻撃は7月下旬以来、約1カ月ぶりとなる。米政府当局者によると、革命防衛隊(IRGC)がロケットを使ってホルムズ海峡に機雷を敷設する準備を進めていたため、これを阻止する目的で攻撃を実施した。米中央軍も、今回の攻撃を新たな機雷敷設を防ぐための「限定的かつ精密な攻撃」と説明している。これに先立ち、トランプ大統領はホルムズ海峡の国際水域に敷設されていた機雷は既に爆破・除去されたとした上で、新たに機雷を敷設しようとする船舶は破壊すると警告していた。
一方、IRGCはララク島への攻撃で死傷者が出たとして報復を表明し、その後、ヨルダンにある米軍関連施設を弾道ミサイルやドローンで攻撃したと発表した。対象はキング・フセイン基地とアル・アズラク基地とされる。ヨルダン側は8発のミサイルを迎撃したと発表しており、基地での負傷者は報告されていない。
今回の一連の攻撃は、米国がホルムズ海峡の航行確保を重視し、イランによる新たな機雷敷設には軍事力で対応する姿勢を明確にした一方、イラン側も米国の攻撃に対して報復する意思を示したことを意味する。2月28日に始まった紛争は既に半年を超えており、今後は米・イラン間の軍事的衝突に加え、米国による対イラン経済制裁の強化や、ホルムズ海峡の管理を巡る協議の進展などが焦点となる。原油価格はWTIが1バレル85ドル前後、ブレントが90ドル前後で推移しており、ホルムズ海峡を巡る緊張がさらに高まれば、原油・石油製品価格やタンカー輸送への影響が改めて強く意識される可能性がある。(国際部 広瀬真司)
[日本/月例経済報告(8月)・鉱工業指数(7月)]
内閣府が発表した8月の月例経済報告によると、国内の景気の基調判断は「緩やかに回復しているが、中東情勢や自然災害の影響を注視する必要がある」と示された。7月末の令和8年熊本地震や令和8年8月千葉豪雨などの「自然災害の影響」が新たに追記されたが、基調判断として「緩やかに回復している」との認識は維持された。日本各地で自然災害が頻発しており、製造業のサプライチェーンや農林水産業、観光業などへの影響が今後顕在化してくるとみられ、景気の下押し圧力に繋がる可能性がある。
個別項目では4項目で記述が変更された。住宅建設について「弱含んでいる」から「総じて横ばいとなっている」に引き上げられた。新設住宅着工につき、持家及び分譲住宅は弱含んでいるものの、賃貸用は持ち直しの動きがみられることなどによる。輸出について「このところ持ち直しの動きがみられる」から「このところ」が削除された。中東向けは減少しているものの、アジア、米国及びEU向け輸出の持ち直しの動きが継続していることが示された。また、企業収益については、4~6月期決算がAI・半導体需要から電気機械産業を中心に好調だったことなどから「改善の動きが見られるが、中東情勢の影響を注視する必要がある」の前段が、「改善しているが」に上方修正された。国内企業物価については、「上昇している」から「このところ上昇テンポが鈍化している」に変更された。上昇を続けていた石油関連製品の価格が高止まりしており上昇スピードが一旦落ち着いてきたことなどによる。
また、8月31日に経済産業省が公表した鉱工業指数(2020年=100/季節調整値)の7月速報値によると、生産・出荷・在庫において前月比上昇した。
生産指数は104.7で前月比+0.1%と、4か月連続で上昇した。但し、7月の令和8年熊本地震によるサプライチェーンへの影響や今後の生産計画で減産が見込まれていることなどから、生産の基調判断は「一進一退」に据え置かれた。2024年7月以降、同様の表現が継続している。
7月の生産を業種別でみると、全15業種のうち10業種が前月比上昇し、4業種が低下、1業種が横ばいとなった。上昇したのは、生産用機械工業(半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置など)+5.1%、無機・有機化学工業(合成ゴム、ポリプロピレンなど)+6.0%、電子部品・デバイス工業(モス型IC(メモリ)、電子回路基板など)+2.6%。低下したのは、輸送機械工業(除く、自動車工業)(航空機用発動機部品、航空機用機体部品など)▲4.7%、金属製品工業(橋りょう、飲料用アルミニウム缶など)▲3.2%、プラスチック製品工業(プラスチック製機械器具部品、プラスチック製容器(中空成形以外)など)▲1.1%。
また、先行き2か月について、主要企業の生産計画から算出した生産予測指数は、8月は7月から+6.4%の増産、9月は8月計画から▲4.2%の減産の見込み。ただし、生産計画は生産実績より上振れする傾向があり、8月の増産計画について実績との間で生じるズレを統計的に補正すると+3.1%。7月まで4か月連続で増産だが、9月は計画段階で既に減産見込みとなっていることから、増産継続にブレーキがかかる可能性がある。
出荷指数は103.5で前月比+2.2%と、2か月ぶりに上昇した。全15業種のうち12業種が上昇、3業種が低下した。
設備投資の一致指数として注目される資本財出荷指数(除く輸送機械)は121.9で+7.9%。中東情勢の影響を受けて、2026年1月の+6.1%から、2月▲5.5%、3月▲1.1%、4月+4.8%、5月▲6.1%、6月+5.1%と変動がみられたが、7月は+7.9%と2カ月連続で上昇した。今後上昇傾向が続き設備投資が活発化するのか注目される。
在庫指数は98.1で前月比+0.5%と、2か月連続で上昇した。全15業種のうち8業種で上昇、7業種で低下。
上昇したのは、電気・情報通信機械工業(セパレート形エアコン、デジタルカメラなど)+2.6%、自動車工業(小型乗用車、軽乗用車など)+1.6%、生産用機械工業(ショベル系掘削機械、超硬工具など)+1.6%。低下したのは、電子部品・デバイス工業(トランジスタ、混成ICなど)▲7.5%、鉄鋼・非鉄金属工業(特殊鋼熱間圧延鋼材、電気銅など)▲1.8%、その他工業(合成繊維(長繊維)、乗用車用タイヤなど)▲1.1%。
なお、石油・石炭製品工業の在庫指数は106.9で+2.8%と3カ月連続で増加しており、中東紛争開始前の2025年12月(99.8)より積み上がっている。(経済部 菊井彩乃)
[南アフリカ/電力公社黒字]
8月31日、南アフリカ(南ア)電力公社Eskom(エスコム)は2026年会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の決算報告において、純利益が303億ランド(約3,000億円、1ランド=約10円)だったと発表した。前年度の140億ランドの黒字から利益が倍増し、黒字も2期連続となった。
同社によると、2026年度の計画停電(load shedding)はわずか4日と、2024年度の329日、2025年度の13日から大幅に改善した。クシレ石炭火力発電所6号機(799MW)の商業運転開始や、クバーグ原子力発電所2基の再稼働、既存の発電所・送電網のメンテナンス向上などが電力の安定供給の主な要因となった。これにより、高コストなオープンサイクルガスタービン(OCGT)の利用率が前年比で半減し、さらに電力料金が期中に12.7%上昇したことなどにより、利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)は前年比11%増となった。純利益を大幅に押し上げたのは、「純公正価値損失」の大幅な減少(▲89%、約93億ランド減少)で、これは通貨ランドの対ドルでの上昇や元本返済などを背景に、エスコムが保有する外貨建て社債(約7割がドル建て、南ア政府保証あり)などの金融商品の損失(利払い費用)が減少したためだ。期中に通貨ランドは対ドルで約7%上昇しており、これは米国との金利差や南アの主要輸出品である白金族金属(PGM)などのコモディティ価格の上昇が影響している。
「計画停電は過去のもの」となりつつあるが、エスコムは依然として多くの経営上の課題を抱えている。2026年度は産業用電力需要の減少(▲23%)により、電力販売量が▲6.2%となった。不安定な電力供給と電力料金の高騰を背景に、工場の休止・閉鎖が続いていることに加え、太陽光などの自家発電の普及拡大により、過去10年間で販売量は年2%のペースで減少している。これにより、Eskomは現在年間2~3GWの余剰電力を抱えており、供給過剰が新たな経営課題となっている。
また、エスコムの債務問題も継続している。同社の総負債は南ア政府による総額2,500億ランド規模の債務救済策(国庫補填)により、2026年6月時点で3,200億ランド(約3.2兆円)とピーク時の4,800億ランドから減少したものの、利益を設備などの再投資に回す必要があることを考慮すると、自力での返済は依然として困難だ。また、エスコムの売り上げの約4割を占める大都市圏を含む自治体の未払い債務が前年度比17.9%増の1,116億ランド(約1.1兆円)に達しており、キャッシュフロー悪化の大きな要因となっている。自治体による電力・水道などの公共インフラや財政管理能力の低下は、11月4日に5年ぶりに実施される統一地方選の大きな争点ともなっている。(国際部 髙橋史)
[ASEAN/エルニーニョ現象の製造業への影響]
エルニーニョ現象により、ASEAN諸国は例年よりも高温少雨の気候となることが見込まれている。一般的にエルニーニョ現象の影響は、東南アジアにおいては農作物収穫量の減少を通じた農業セクターの所得減少や食料インフレとの文脈にて議論されることが多いが、製造業・鉱業への影響にも留意が必要だ。
[アイルランド・トルコ/外交関係]
8月31日付アイリッシュ・タイムスが紹介したトルコとアイルランドの関係史は、歴史的記憶が外交のレバレッジになり得ることを示している。1847年、「ジャガイモ飢饉」として知られるアイルランド大飢饉のさなか、オスマン帝国のスルタン・アブデュルメジド1世は救援のため1,000ポンドを寄付した。この事実は史料で確認されている。一方、食料を積んだオスマン船がドロヘダ港に到着したところ、町の紋章にある三日月と星がその感謝の印だった、といった逸話には確証が乏しい。むしろ、後世の脚色とみられているそうだ。
それでも1,000ポンドの意味は小さくない。当時のアイルランドは英国統治下にあり、飢饉への英国政府の対応への批判は、後の独立運動とも結び付いていった。オスマン帝国はそのアイルランド情勢を把握し、欧州外交の一員として人道支援を行った。さらに第一次大戦後には、アイルランドとトルコがともに英国を含む列強の影響から脱し、国家主権の確立を目指した時期が重なる。こうした記憶が、現在まで続く両国関係に特別な物語を与えている。
今日、この歴史的資産にはより実務的な意味がある。アイルランドはEU加盟国、トルコはNATO加盟国で、黒海、東地中海、中東、コーカサスに接する安全保障上の要衝である。ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢の不安定化を受け、欧州にとってのトルコの軍事、物流、エネルギー、外交上の重要性はこれまで以上に高まっている。
ただし話はそう単純ではない。EUとトルコの間には法の支配や人権、報道の自由、東地中海を巡る摩擦が残っており、EU加盟交渉も長らく停滞している。だからこそ、トルコとの歴史的対立が比較的少なく、大飢饉支援という友好的な記憶を共有するアイルランドには一定の外交的余地がある。1847年の1,000ポンドそのものが安全保障を動かすわけではないが、歴史的記憶は対話の入口をつくる。大切なことは「友情」を美談として保存することではなく、対立を抱えるEUとトルコの間で、課題解決に向けて実務的な協力にどのように転換できるかにあるようだ。(経済部 本間隆行)
[アルゼンチンの原油輸出拡大]
アルゼンチンの輸出は2026年に過去最高を更新する見通しである。アルゼンチン輸出商会議所(CERA)は、年間輸出額が1,032億米ドルに達し、これまで最高だった2022年の約884億米ドルを大きく上回ると予測している。2026年1~7月の輸出額は583億6,500万米ドルと前年同期比22.9%増加した一方、輸入額は422億8,600万米ドルで同3.5%減となり、貿易黒字は160億8,000万米ドルへ拡大した。
輸出拡大を支えている最大の要因はエネルギー分野である。ネウケン州の巨大シェール層「バカ・ムエルタ」の開発が進み、同地域はアルゼンチン全体の原油生産の約70%を占めるまで成長した。2026年1~7月の原油輸出額は57億2,200万米ドルと前年同期比59%増加し、トウモロコシや大豆を上回る主要輸出品となった。金やリチウムなど鉱物資源の輸出も好調で、金は前年同期比44%増、炭酸リチウムは同187%増を記録している。鉱業輸出額は通年で90億米ドルに達する見込みである。
一方で、農業関連産業も依然として重要な外貨獲得源である。農産物加工品を中心とした農業関連製造業の輸出額は1~7月で189億1,100万米ドルとなり、豊作を背景に前年同期比13%増加した。ただし、原油や鉱物資源への依存度が高まり、上位10品目で総輸出額の44%を占めるなど、輸出構造の集中化が進んでいる点は課題である。
こうした資源輸出拡大を背景に、輸出地域の重心も従来の農業地帯から資源開発地域へ移りつつある。また、欧州とのエネルギー協力も進展しており、イタリアのENI、アルゼンチン国営石油会社YPF、UAEのXRGが共同で推進するLNG事業には2030年までに約300億米ドルの投資が見込まれている。輸出能力は年間2,800万トンまで拡大する可能性があり、将来的な輸出増加が期待される。
さらに、中東情勢の緊張を背景に、アジア諸国によるアルゼンチン産原油の調達が急増している。日本、韓国、中国の製油会社は、WTIに近い品質を持つ軽質原油「メダニート」の購入を拡大しており、2026年1~7月のアジア向け原油輸出量は日量3万5,000バレルと過去最高を記録した。購入企業にはENEOSホールディングス、太陽石油、ヒュンダイ・オイルバンク、中国石油天然気集団(PetroChina)などが含まれる。メダニートはWTIより割安で、スエズ運河やパナマ運河を経由しない輸送ルートを利用できるため、地政学リスクが比較的低いことも評価されている。
もっとも、港湾設備の制約により超大型原油タンカーへの対応が難しいという課題も残る。この問題を解決するため、「バカ・ムエルタ・オイル・スール」プロジェクトが進められており、2027年の稼働開始後は輸出能力の大幅な向上が見込まれている。アルゼンチンは農業大国から資源輸出国へと変貌しつつあり、エネルギー・鉱業分野への投資とインフラ整備が順調に進めば、2030年には輸出額1,438億米ドル、貿易黒字418億米ドルに達する可能性がある。(国際部 小橋啓)
[ドイツ/消費者物価指数]
ドイツ連邦統計庁によると、8月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.9%だった。上昇率は7月(+2.8%)から拡大したものの、市場予想(+3.1%)を下回った。また、物価の基調を表す食品とエネルギーを除くコア指数は+2.4%で、7月から横ばいだった。これらは、物価上昇率が高止まりしていることを示している。
内訳を見ると、エネルギー(+10.5%)が7月(+8.3%)から上昇率を拡大し、2桁上昇となった。これが物価上昇のけん引役となった。食品(+0.1%)は7月(+0.4%)から縮小したものの、財(+3.0%)は2か月連続で拡大した。それに対して、サービス(+2.8%)は7月(+2.9%)から小幅に縮小し、2か月連続で3%を下回った。
この結果を踏まえると、ユーロ圏の8月の消費者物価指数の上昇率も小幅に拡大したと市場ではみられている。欧州中央銀行(ECB)が次回以降の理事会で政策金利を引き上げる可能性も高まったようだ。(経済部 鈴木将之)
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