「インターナショナル」の復権

社長コラム

2020年07月15日

住友商事グローバルリサーチ 代表取締役社長
須之部 潔

 新型コロナウイルスの流行は終息がまだ見通せないが、行きつ戻りつしながらも日常を取り戻そうとする動きが世界中で始まっている。ウィズ・コロナ(コロナとの共生)、ポスト・コロナ(コロナ終息後)の世界はどうなるだろうか。一つの動きとして「インターナショナル」の復権が進むのではないかと、考えている。

 

 近年はデジタル化によって情報がグローバルに動いている。さらにサプライチェーンが高度化、複雑化して国境をまたぐ人や物の移動が大幅に増え、リアルの世界でもグローバル化が進んだ。そこを襲ったのが新型コロナだ。

 

 人類にとって未知のウイルスは瞬く間に国境を越えて広がり、各国は大慌てで国境を閉ざすことになった。また一部では医療資材や機器など、国民の衛生や生活のために不可欠な物品を国内に囲い込む動きもあったといわれている。われわれ個々の国民としても、国の決めた行動制限を受ける一方、経済面では国の支援に頼ることとなった。

 

 そうした経験を通じてコロナの流行前と比べネーション(国民・国家)やナショナル(国民の・国家の)が強く意識されるようになった。この傾向は今後も続くだろう 。しかし今や、国境を閉じ鎖国して生きていける国はない。またパンデミックのような「グローバル」な危機に対しては一国での対応では全く意味をなさず、国と国との協力が不可欠である。

 

 思い返してみると、インターナショナルという言葉が使われなくなり、グローバルという言葉に置き換えられるようになって久しい。しかしコロナ禍によって、国という単位をしっかり固めたうえで国同士が連携するインターナショナルな協力関係、日本語で言えば国際協力の重要性が、改めて認識させられたのではないかと思う。

 

2020年7月15日 日本経済新聞 夕刊 7ページ(十字路)掲載

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