新たな非日常づくり
社長コラム
2020年09月03日
代表取締役社長
須之部 潔
新型コロナウイルスが日本で猛威をふるいはじめてからほぼ半年が経過し、テレワークやリモート会議、オフピーク通勤、毎朝の検温、頻繁な手指消毒、3密の回避などなど、「新たな日常」とも言われる生活習慣が定着してきている。これらは必要不可欠であったり急を要したりする「やらねばならない物事」を安全に進めるために始まった。少なくとも当初は、一定の非効率や手間や面倒臭さを我慢しながらだったが、徐々に慣れてきたものだ。
そうした間に夏が過ぎようとしている。海外旅行や、オリンピックに代表されるスポーツイベント、身近なところで言えば帰省や夏祭りなど、いわゆる「非日常」の行動は不要不急であるがゆえに軒並みキャンセル、延期、自粛、あるいは開催されても人数を絞って大きな声を出さない、ワクワク感、ドキドキ感に乏しいものとなってしまった。
新型コロナに対するワクチンや特効薬が開発されたとしても普及には時間がかかるし、仮に新型コロナに万全の対応ができるようになっても、新たな感染症のリスクが常に付きまとっている。したがって不要不急の「非日常」の行動をコロナ以前のように体験できることにはならないだろう。でもそれでは人生、あまりにも味気ない。
オンラインで消費者と観光地をつなぐバーチャル旅行は実施されているし、次世代通信規格「5G」を使って試合中のスポーツ選手の動きを様々な角度から映像で眺められる技術の開発も進んでいる。だがリアルの臨場感にはかなわないのではないだろうか。ハードルは高いかもしれないが、「新たな日常」にある程度慣れてきた今こそ「新たな非日常」づくりに向け、人類の英知に期待したい。今まで経験したことがないようなワクワク、ドキドキを心待ちにしている。
2020年9月3日 日本経済新聞 夕刊 5ページ(十字路)掲載
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