米農務省:作付面積および四半期在庫

2017年07月10日

住友商事グローバルリサーチ 経済部
舘 美公子


 

◇作付面積

 

 6月30日に米農務省が発表した作付面積報告は、6月1日に実施した農家へのヒアリングを基に作成されている。今回の発表では、トウモロコシ作付面積が3月末の意向面積から1.0%増の9,089万エーカー、大豆は微増で8,951万エーカー、小麦は春小麦の減少により同0.9%減の4,565万エーカーとなった。大豆は過去最高の作付面積となる一方、小麦は1919年の調査開始以来で最低水準を記録した。

 

3商品の米国作付面積(出所:米農務省より住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

◇四半期在庫

 

 米農務省が発表した6月1日時点の在庫残高は、トウモロコシ・大豆・小麦ともに前年同期を大きく上回る結果となった。トウモロコシは、在庫増減から試算される第3四半期(3~5月)の飼料需要が前年比5.6%増の9億6,500万ブッシェルと堅調。だが、米農務省は2016/17年通年の飼料需要伸び率を7.3%増と予想、上期実績の5.0%増も勘案すると未達リスクは高い。加えて、米農務省の通年飼料需要見通しである55億ブッシェルを達成するには第4四半期に7億3,800万ブッシェルの飼料需要が必要と試算されるが、過去2年の第4四半期実績は5億ブッシェル台であることからも、今後の需給報告で見通しが下方修正されるとみられる。一方、輸出は米農務省の通年見通しに対する直近の輸出成約達成率が98%と過去5年平均並みであること、エタノール需要も9~6月末にかけ前年同期比4.7%増と米農務省の通年需要増(含む食品)である4.2%を上回っており、第4四半期に大きな修正は想定されない。以上を踏まえ、第4四半期の輸出・エタノール・食品需要を米農務省の見通し通り、飼料需要については実績に加え、現状の飼養頭数等も加味し前年比5%増で試算すると、第4四半期総需要は28億ブッシェルとなり、2016/17年度の期末在庫は24億ブッシェルと現行の米農務省予想22.9億ブッシェルを上回る見込み。

 

 大豆は、前年同期の在庫増加幅が11%だったが、需要は3~5月にかけて7億7,500万ブッシェルと前年同期を17%上回り好調。需要別では大豆圧搾が前年比3.4%減、輸出が同41%増となった。輸出は米農務省の通年見通しに対する直近の輸出成約達成率が106.4%であることから、今後需給報告で3,000万ブッシェルほど上方修正される可能性がある。一方、大豆圧砕高は米農務省が前年比2.0%増を見込むが、第3四半期まで前年並みで推移しており、第4四半期需要が前年と同じであった場合、1,800万ブッシェル程度未達になる可能性もある。以上を踏まえ、第4四半期の輸出需要を輸出成約通り、圧搾高を前年同様と仮定した場合、第4四半期総需要は6.3億ブッシェル、2016/17年度期末在庫は3.3億ブッシェルと米農務省の想定である4.5億ブッシェルを大きく下回ると試算される。

 

 小麦在庫は、前年比21%増の大幅増だが、消費も同21%増と決して悪くない。小麦は5月末が穀物年度末であることから、6月1日時点在庫11億8,400万ブッシェルが2017/18年度の期初在庫となる。なお、米農務省は6月需給報告で期初在庫を11億6,100万ブッシェルと予想していた。

 

四半期在庫報告(出所: 米農務省四半期在庫報告-2017年6月30日発表-より

 

用途別需要見通し(出所:米イリノイ大学、米農務省より住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

以上

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