産業メガトレンドについて

ウィークリー・トピックス

2017年07月24日

住友商事グローバルリサーチ 戦略調査部
大代 修司

 「短期の視点に加え、より長期的な視点でものごとを捉えることで、新たなビジネスチャンスの創出につなげられないか」という問題意識から、「産業メガトレンド」について整理してみたい。

 

1.基本情報から見るマクロトレンド

 まず【図表1】に、国連による2015~50年までの「人口」の推移予測を示した。世界人口は2015年に73.5億人だったものが2050年には100億人に近づくとされている。このうち人口の増加率が最も大きいのはアフリカで、2015年の11.9億人から2050年には24.8億人と、約2倍になる。また、インド・アジア大洋州もやはり増加が顕著である。その結果、2050年には、世界人口の半分以上がアジア、4分の1(25%)がアフリカ、5分の1(20%)が米州・欧州に住んでいることになる。

 

 次に、【図表2】に主要32か国の「所得」の変化を示した。2050年には全体で2015年の3倍近くになることが予想されている。地域別に見ると、インド・アジア大洋州の伸びが顕著である。2050年には、中国・インドを含むアジア大洋州の国々が半分を占めるが、同時にOECDも依然3分の1を占める。

 

 人口増加ではアジア・アフリカに勢いがあるが、所得では引続きOECD=先進国も重要な位置を占めることには留意すべきだろう。

 

 

【図表1】人口(出所:国際連合より住友商事グローバルリサーチ作成)

 

【図表2】所得(出所: IMF、PwCより住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

 人口・所得に加え、マクロトレンドの「第3」の重要指標を「都市化」だと考えている。【図表3】に国連による1950~2050年にかけての都市人口と農村人口の推移を示した。農村人口(グラフ赤線)は、1980年代に30億人に到達した後、ほぼ横ばいとなっている。これに対し、都市人口(グラフ青線)は2007年に農村人口を超えた後も増加が続き、2050年には全人口の6割以上になると予想されている。

 

 また【図表4】で表した「都市化」を3大マクロトレンドとして取り上げた理由だが、都市部に人口が集中すると需要が拡大し、それぞれの需要に関するビジネスチャンスも増加すると考えられるため。例えば、図の中心に示した「人間の行動」のうち「食べる」に関しては、都市化により加工度が上がり付加価値が高まった「食料」「水」の需要が拡大し、「食料・農業」というビジネスの拡大が見込める。また「移動する」においても都市化が進展するにつれ、個人個人が自動車を所有するのでは効率が悪いことから、シェアリングが進むと考えられモビリティの構造変化が起こる可能性が出てくる。

 

 

【図表3】都市化(出所:国際連合より住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

 

【図表4】都市化に着目する理由(出所:住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

2.「産業メガトレンド」の全体像

 【図表5】では前述の基本情報を踏まえ、「産業メガトレンド」の全体像をまとめた。
中央の青い線は、人口・所得・都市化の3大マクロトレンドで、これが右肩上がりに増加していく。そして、上側の5つ、「エネルギー」、「鉱物資源」、「食料」、「水」、「インフラ」は、「需給変化」に伴うビジネスチャンスであると考えている。要するに、「人口増・所得増・都市化でどんどんモノが足りなくなり、これを開発・供給することが重要」という観点でのビジネスチャンスである。

 

 下側の5つは、「構造変化」に伴うビジネスチャンスである。すなわち、「温暖化」、「高齢化」、「IoT化」、「世界のフラット化」、「第三次産業化」である。青枠の中には、それぞれの分野でのキーワードを入れているが、既に実現しているものから、今後注目されるものまで様々なものが含まれている。これらがどんなスピードでどんな方向に進むのかについて、フォーカスしておくべき動きやその影響をきちんと整理しておく必要がある。

 

【図表5】産業メガトレンドの全体像(出所:IMF、WBその他未来予測関連レポート等より住友商事グローバルリサーチ作成)

 

以上

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。