未来想定(2)

2025年08月20日

住友商事グローバルリサーチ 戦略調査部
菅 史人

前回のコラムでは、未来のメガトレンドを考えるときに、不確実性の高い未来の不連続な事象と、不確実性の低い未来の連続的な事象を想定する話をしました。

不確実性の低い未来の連続的な事象は、現在の延長線上である見えていることからの発想となり、既知の情報、データ、統計から予測していくことになります。人口予測、市場予測など今までの情報、データから予測できそうですね。

不確実性の高い未来の不連続な事象は、現在の延長線上からではなかなか発想が出てきません。前のコラムでは、アイデアの発散と言いましたが、見えていない未知の領域を、どうやって発想するかです。複数の専門書によると、まずは何が見えていないかに気づくことから始めよう。想像力を働かせ、情報がなくとも何が起きるか議論しよう。どんな小さいニュースでも同様な現象が起きていれば未来の予兆となりえるとあります。
地道に情報を拾っていく、ワークショップやブレーンストーミングを通じ、幅広く他の人からの意見を聞いていくことで事象、予兆を見い出していくことになります。

これらの作業、活動を通じて、不確実性の低い事象から高い事象を列挙していきます。
ここでは、見えてきた事象や予兆を要素と呼ぶことにします。


次に、それぞれの要素が及ぼすインパクトを想像していきます。
インパクトとは、自社ビジネスに与える影響、業界に与える影響、政治・経済に与える影響、生活に与える影響などいろいろあります。
この要素とインパクトですが、以下のように、要素を不確実性の低い・高いと、インパクトの大きい・小さいの4つに分類してみます。

1. 不確実性が低く(=確実性高い)、インパクトが大きい:ベースシナリオ、ベースとなる戦略など、未来想定の前提として使えるので、重要です。
2. 不確実性が高く、インパクトが大きい:不確実性高いものですが、起きてしまうとインパクト大きく、ビジネス機会、脅威などにつながるため、未来想定のシナリオを描きたいものですので、重要です。
3. 不確実性が低く、インパクトが小さい:起きても大きな影響がないので重要ではないです。
4. 不確実性が高く、インパクトが小さい:今は未来想定の要素として捉える必要はないですが、不確実性が高いので、これからインパクトが大きくならないか変化をウォッチしていくものです。

我々が未来を想定し、メガトレンドを考えるときには、1と2にある要素を中心にシナリオ作りを行なっていきます。

以上は、我々が未来のメガトレンド作成を目的とした取り組みです。もちろん、ほかにもやり方があり、各々の目的にあった手法を選んで進めていきます。

皆さんも、アイデアを発散させ、見えない未来を見てみて、思いを巡らせてはいかがでしょうか。

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