- [日本]総務省「家計調査」によると、2人世帯の実質消費支出は前年同月比+2.9%となり、2か月ぶりに増加した。内訳を見ると、食料(+0.9%)や 家具・家事用品(+10.6%)、被服及び履物(+7.5%)、交通・通信(+20.4%)などが増加した。日曜や祝日が2日多かったことも影響した中で、自動車購入や冷蔵庫への支出が増加した。その一方で、住居(▲1.8%)や光熱・水道(▲1.2%)などが減少した。
なお、2人世帯の実質消費支出は前月比+6.2%となり、3か月ぶりに増加した。9月(▲0.7%)や10月(▲3.5%)の減少分を回復している。
2人以上の勤労者世帯の実質実収入は▲2.2%と、10月(▲0.1%)に続いて2か月連続で減少した。特に世帯主収入(▲2.2%)の減少が目立った。
11月の総消費動向指数(実質)は前月比+0.1%となり、2か月ぶりにプラスになった。2024年4月から2025年9月までプラス(途中ゼロ%を含む)で推移した後、10月(▲0.2%)にマイナスに転じたていた。前年同月比の上昇率は+1.0%であり、10月(+0.9%)並みだった。2025年8月(ゼロ%)以降、プラス圏を推移している。消費支出は水準を切り上げながら、足元でも増加する方向になり、緩やかに持ち直している。
- [資源]英豪同業Rio Tintoとスイス資源大手Glencoreが経営統合に向けた予備協議を開始したことを発表した。両社は、株式交換による一部ないし全部の経営統合を含む選択肢を検討しており、現時点ではRio TintoがGlencoreの一部ないし全部を買収する形が想定されている。実現すれば時価総額2,070億ドル規模の巨大鉱山会社が誕生する。
両社の経営統合は過去にも数度浮上し、1年前にも破談になった。それは大きく異なる企業文化、石炭事業に関する考え方の相違、バリュエーション評価などが背景にあった。しかし現在、資源は「脱炭素」から「安全保障・供給確保」へと論点が移り、特にエネルギー転換からAIインフラ・軍需に不可欠な銅については供給確保が最重要課題となっている。2025年には米資源大手Anglo Americanとカナダ鉱山会社Teck Resourcesが経営統合を発表するなど、鉱山業界再編の動きも表面化。Rio TintoはCEO交代、Glencoreのグローバル石炭事業のオーストラリア法人への統合などの動きもあり、両社とも銅事業への注力を表明していた。
銅精鉱の供給逼迫は極まっている。従来、銅精鉱の値決めは鉱山会社と製錬会社の間で交渉される精錬加工費(TC/RC)がベースになっていたが、この制度が機能不全に陥る中、MercuriaやGlencoreなどのスイス系資源商社は、前払い型オフテイクや開発資金提供を通じて、鉱山側に深く入り込む動きを強めている。特にMercuriaは、この1年でコンゴ民主共和国(DRC)やカザフスタンにおいて、単なるオフテイク取引を超えた供給網構築に踏み込んでおり、Glencoreは現在オーストラリアのOrion Mineralsと南アフリカPrieska銅亜鉛プロジェクトの精鉱販売+融資契約の契約最終化段階にある。
今回のRio-Glencore経営統合が実現するかは不明だが、今回の合併案の再浮上は、マクロ情勢やビジネス環境がここ1年で大きく変化していることを如実に表している。
- [コロンビア/米国]1月7日、米国のトランプ大統領とコロンビアのペトロ大統領が電話会談を行ったことが報じられた。この会談は両国の関係が深刻な緊張状態にあった中で行われた点で注目を集めている。
トランプ大統領は、コロンビア政府、特にペトロ大統領を対象に厳しい非難を繰り返していた。特に米国によるベネズエラへの軍事行動についても、ペトロ大統領は強く反発しており、トランプ大統領はペトロ政権が米国にコカインを流入させていると批判し、ペトロ氏を「コカインを製造し米国に売るのが好きな病んだ男」と非難。また、軍事的な選択肢まで口にするなどエスカレートした発言も行っていた。これに対しペトロ大統領も、「祖国のためなら武器を取る」と応酬し、緊張が高まっていた。
この緊張は単なる外交の論争にとどまらず、ボゴタや国境地域ではトランプ政権への抗議集会が開催され、「コロンビアの主権を尊重しろ」といった強硬なメッセージが発せられ、一部の国民感情にも影響を与えている。
電話会談は約1時間にわたり行われたとされ、主に麻薬対策や意見の相違点について協議が行われた。トランプ大統領は、「話す機会を得られたことは光栄だ」と述べ、両首脳は近い将来ワシントンでの直接会談に向けて調整を始める意向を示した。ペトロ大統領も国民に向けた演説で「これまでの応酬は口げんかに過ぎない」と述べており、外交チャンネルを維持する意義を強調した。電話会談は、これまでの激しい非難合戦から実務的協議への移行を模索する可能性がある。
とはいえ、関係改善が容易に進むとは限らない。過去の激しい非難や制裁措置、米国側の軍事的選択肢の示唆などが深い不信感を生んでいる。これらは一朝一夕には解消できず、対話が続いたとしても根本的な信頼回復には時間がかかるだろう。
コロンビアは2026年に大統領選挙を控えており、ペトロ政権とその外交方針が国内政治の重要な争点のひとつとなっている。 選挙戦では、ペトロ大統領が推す左派のセペダ上院議員と保守、右派候補の争いとなるが、現在は保守候補が優勢とみられている。米国側も、過度に左派候補の支持を高めるような行動はとらないもよう。今回の緊張緩和が選挙戦を変えるとはみられていない。それでも、政権が対米関係の安定化を図る姿勢を示したことが支持拡大につながるか、それとも野党勢力への批判材料となるかは、今後の選挙戦の争点となるだろう。
- [ソマリア/米国]1月7日、米国務省はX上で、ソマリアに対する米国からの援助を全面的に停止すると発表した。同省は、米国の支援によりソマリアの首都・モガディシュに設置された世界食糧計画(WFP)の倉庫内にあった76トンの食料をソマリア政府が無断で押収したと非難している。1月7日、米ホワイトハウスは、66の国際機関からの脱退を表明した中にWFPは含まれていない。2025年度においても米国はWFPに対する最大の支援国であり(約20億ドル)、総支援額の約3分の1を占めている。米国は2024年度にソマリアに対して7.6億ドルの援助を行っているが、今回の一時停止の発表によりソマリア向け援助が今後どの程度削減されるかは明らかになっていない。ソマリア政府はWFPの倉庫があるモガディシュ港の拡張工事は行っているが、倉庫への影響はなく、食料の押収も行っていないと反論している。
今回の米国のソマリア向け援助停止の発表は、米国内の政治動向と密接に関係しているとみられる。トランプ米大統領は、2025年来、米国内に約26万人居住しているソマリア系コミュニティへの非難を強めている。最大のソマリア系コミュニティは民主党の牙城であるミネソタ州のミネアポリス・セントポール市(通称:ツイン・シティ)にあり、その数は8万人を超える(米PBS紙)。ミネソタ州は2024年の大統領選で民主党のカマラ・ハリス候補のランニングメイトを務めたティム・ウォルズ氏が知事を務める州で民主党色が濃い州の一つだ。特に1990年代のソマリアでの内戦以降、米国に移住したソマリア系難民は移民政策に寛容な民主党支持者が多く、反ユダヤ主義を掲げる民主党のイルハン・オマー下院議員もミネアポリス出身のソマリア系米国人である。
一方で、すでに米国在住のソマリア人の58%は米国生まれであり、外国生まれのソマリア人の87%が米国に帰化しているにもかかわらず、トランプ氏は「ソマリア人は問題を起こしている、不法滞在するソマリア住民を取り締まる」として、12月にミネソタ州での掃討作戦を強行。その直後、ミネソタ州のソマリア系住民が運営する保育園で連邦資金の不正横領があったとの根拠薄弱なスキャンダル事件が米国内で拡散したことを受け、連邦政府は同州向けの保育向け資金を凍結した。1月には約2,000人の連邦捜査官をミネアポリスに派遣するなど、米国内でソマリア系住民への圧力が強まっているタイミングに合わせたソマリア向けの援助停止の発表となった。ソマリア系コミュニティが特にトランプ氏の標的となっている理由について、ミネアポリスのソマリア系住民が、米国内で一か所に集中する最大のアフリカ系、イスラム教徒、民主党支持のグループであるとの見方がある(仏Le Monde紙)。
また、米国の同盟国であるイスラエルが、ソマリア国内の国連未承認国家・ソマリランドを承認すると発表し(1月6日デイリー・アップデート参照)、ソマリア政府がこれに対して国連憲章に違反する主権侵犯だと強く反発しているタイミングであることも、米国の援助停止の決定に影響した可能性もある。第二期トランプ政権下では、南アフリカで「白人」が、ナイジェリアで「キリスト教徒」が迫害されているとトランプ氏は主張し、両国への外交圧力を強めている。その背景には、中間選挙を控え、米国内でトランプ氏を支持する保守系白人キリスト教徒(主に福音派)向けのアピールを強めたいとの見方もあることから、今回のソマリアへの圧力の例も国内での政治的動機によるものとみてとれる。
- [日本/中国]1月6日、中国商務部は、日本へのデュアルユース(軍民両用)や軍事能力強化につながる輸出禁止措置を発表したが、その内容は非常に広範となり得る一方、具体的な規制対象や運用方法については明らかにしていない。
1月8日付の『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、関係者の話として、日本向けのデュアルユース製品の輸出禁止に加え、希少で高価な重希土類や、それを含む高性能磁石の輸出許可審査が停止されたと報じており、対象が防衛産業に限られず、日本の広範な製造業に及ぶ可能性に言及している。中国商務部は民生用途への影響を否定するが、国営紙『チャイナ・デイリー』は対日規制強化の検討を報じている。
日本は中国に次ぐレアアース磁石の生産国だが、原材料の多くを中国に依存しており、2010年の輸出混乱以降、脱中国を進めてきたものの完全には代替できていない。2025年後半には対米輸出は緩和された一方、日本向けは再び制限され、影響が懸念される。
2025年10月の米中首脳会談後に米国が発表した合意内容では、中国はレアアースおよび関連物資に対する広範な輸出規制と関連措置の全世界的な実施を停止するとなっていたが、トランプ米政権は現時点において、中国の今回の措置について日本を支援する立場を示していない。もし日本の製造業に大きな影響を及ぼすような措置を中国が取り、その影響が米国にも及ぶようになれば、米国でも問題になる可能性がある。
- [インドネシア]1月8日、インドネシア財務省は2025年の財政収支(速報値、監査前の数値)を公表した。歳入は2,756兆3,000億ルピアと2024年より約3%下回ったほか、2025年央に定められた予測値より約9%下回った。歳入の約3分の2を占める税収につき、景況感の悪化が所得税・法人税収入の低下につながったために予測値を10%以上も下回った。なお財務省は、天然ガスやニッケルなどコモディティ価格低迷を踏まえ、コモディティ業者などから受け取るロイヤリティを含めた税外収入(歳入全体の約3分の1)の低迷が歳入減少の主因であったと説明している。
他方で歳出に関しては3,451兆4,000億ルピアと、2024年より約3%増加した。プラボウォ大統領の下で実施された無料給食配付プログラムの実施などが要因となった。その結果、財政赤字は695兆1,000億ルピアと、名目GDP比2.92%となった。
同国では2003年に定めた財政法にて、財政赤字GDP比を3%以内とすることが決められている。今回公表された数値(2.92%)は、コロナ禍の影響を踏まえて本法を一時凍結した2020年/2021年を除き、過去10年間にて最も高い水準となった。
- [米国]現代史上初めて、米国は最も基本的な成長の原動力である出生数が死亡数を上回るという事象を失いかけている。議会予算局(CBO)が1月6日に公表した人口統計見通しによると、2030年は経済と社会の構造を根本的に再形成する転換点となりそうだ。2030年は、「自然な」米国人口、すなわち出生と死亡のバランスが消滅すると予測される年となっている。もし、移民がなければ、2030年には米国の人口は減少し始める。その時点から、米国の人口増は移民に依存することになる。イタリアや日本のような高齢化国に関連付けられていた人口動態の節目を迎えると言える。
こうした変化は、米国で急速に進展する高齢化社会を語るだけではなく、その到来がいかに早いかという点でも注目に値する。1年前までは、こうした動きは2030年代後半、あるいは2040年代までとされてきたが、今回更新した見通しでは、CBOはそのタイムラインをほぼ10年前進させたことになる。
経済的な影響は大きい。退職者数は増加している一方で、社会保障網を支え、高齢者をケアする労働者のプールは狭まることになる。65歳以上の米国人は人口の中で最も急速に増加している層であり、「老齢扶養率」を急激に押し上げている。既に雇用増も医療や介護などの分野で増えている状況だ。1960年には退職者1人に対して労働者が約5人いたが、現在では、その比率は3対1に近い。これが2050年代半ばまでには、退職者1人あたり約2人の労働者に減少するとCBOは予測している。この縮小は連邦予算に「重大な影響」を及ぼし、社会保障やメディケアへの過剰な影響を含むことになる。巨大市場が迎える社会の高齢化や人口減少が世界の経済にどのような影響を及ぼすのか考える時期にきている。
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