- [ロシア]6月3~6日、ロシアの第2都市サンクトペテルブルクで第29回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)が開催される。主催者によると、今回は130以上の国と地域の企業の代表や政府関係者などが参加する予定で、参加するのは、中国や東南アジア、また中東をはじめとする、ロシア政府が「友好国」と指定する国や地域である。プーチン大統領も参加や演説、世界の主要通信社幹部との会見を行う予定となっている。
一方、西側諸国からも一定数の参加者が見込まれている。各国政府としての公式代表団の派遣は確認されていないものの、米国、ドイツ、フランス、英国、スイスなどから、政治家、企業関係者、文化人などが個人資格で登壇予定であり、特にドイツからの参加者数が多い点が特徴である。米国からは、政府関連機関関係者や商工会議所関係者が参加予定であり、近年では限定的ながらも公式性を帯びた関与が見られる。加えて、国連関係者も会合に参加し、国際秩序やロシアの国際機関における役割などをテーマとする議論が行われる見通しである。
他方、今回のフォーラムには、出身国で物議を醸す外国人スピーカーの参加も目立つ。米国の保守系論客キャンディス・オーウェンズは陰謀論的主張や反ワクチン発言で知られ、ルーマニアの欧州議会議員ディアナ・ショショアカも反ワクチン運動の中心人物であり、親ロシア的立場で知られる。また、ドイツ右派政党AfDのイェルク・ウルバンや、過去に有罪判決を受けた元米国査察官スコット・リッターなども登壇予定であり、政治的に過激または論争的な人物が一定数含まれる構図となっている。
- [ASEAN/シャングリラ会合]5月29日から31日にかけて、シンガポールのシャングリラ・ホテルにて国際戦略研究所(IISS)主催の国際会議「シャングリラ会合」が開催された。日本や中国、ASEANを含むアジア各国の防衛相やシンクタンク研究員などが参加した。日本からは、小泉防衛大臣が出席した。
今回の会合で特にASEAN各国にとって関係の深い争点としては、米国の防衛費増額要請に対する各国の反応と、海底インフラの安全保障分野での協力の2点が挙げられる。防衛費増額要請に関し、ヘグセス国防長官が講演の中で、同盟国や同志国に対して、防衛費をGDP比3.5%まで引き上げることを要請した。それに対してフィリピンのテオドロ国防相は、防衛費増額はどの国にとっても不可欠だと述べた。一方で、マレーシアとシンガポールの国防相は難色を示した。マレーシアのカレド国防相は米国の意向を尊重しつつも、国家予算を防衛費以外のセクター(経済開発、社会福祉)に配分する必要性があることを強調した。またシンガポールのチュンシン国防相も、国防費と防衛能力には必ずしも線形的な関係がないと発言し、防衛費増額の必要性に疑問を示した。このように、ASEAN各国における防衛費増額への姿勢の違いが鮮明となった。要因としては、各国の置かれた安全保障環境が異なることや、防衛費増額により領海権で争う中国を刺激することを躊躇したい意図が背景にある。
海中インフラ管理に関して、会合に参加したヨーロッパ・アジアなど17か国の防衛機関が、通信ケーブルや石油・ガスパイプライン、電力ケーブルなどの重要海底インフラの民間企業による管理を支援する「海底インフラの防衛交流に関する指針」を発表した。本指針では、重要海底インフラの設計、建設、修繕等はそれらを保有・運営する民間企業が所管するとしつつも、防衛機関が情報面などで補完的な役割を果たすことが確認されている。加えて各国の防衛機関・民間企業が緊密に連携し、情報共有を積極化することも確認されている。ASEANからはフィリピン・シンガポール・マレーシア・タイ・ブルネイが本指針に参画している。背景には、欧州においてロシアによる海底ケーブルの損傷工作が散見されることに加え、アジアにおいても中国が海底インフラの安全を脅かすような動きが見られていることが挙げられる。例えば2023年以降、中国の漁船・貨物船が台湾周辺の通信ケーブルの損傷が発生する事例が複数確認されている。またインドネシアにおいても、2026年4月にバリ島の東側に位置するロンボク海峡にて中国製とみられる水中ドローンが発見された。同海峡の情報収集を行っていたとみられる。このような海中の脅威に対処すべく、本指針が作成されたとみられる。
- [日比のEEZ画定交渉、中国は反発、台湾は歓迎]5月28日、訪日したフィリピンのマルコス大統領と高市首相は、首脳会談後の共同声明で、両国の排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の海洋境界画定交渉を開始することで合意した。対象となるのは台湾本島の南から東に広がるルソン海峡(バシー海峡)周辺である。日本最西端の与那国島とフィリピン最北のバタン諸島との間は400海里(740km)に満たず、双方のEEZ主張が重なっている。
両国はこの機にあわせて関係を「包括的戦略的パートナーシップ」へと格上げし、国連海洋法条約(UNCLOS)など国際法に基づく平和的な紛争解決を前面に掲げた。南シナ海仲裁判断から10年の節目を前に、地域の法的安定性を高める動きとして、また深まる日比安全保障協力の一環として注目される。
これに対し、5月29日、中国外交部の毛寧報道官は、画定予定海域は「中国の台湾島以東」にあり、中国は国内法とUNCLOSを含む国際法に基づき同海域にEEZと大陸棚を有すると主張した。そして、日比が一方的に交渉を始めたことは中国の海洋権益を著しく侵害し、国際法と国際関係の基本準則に違反するとして「強烈な不満と断固たる反対」を表明し、両国に厳正な申し入れを行ったと明らかにした。さらに、この交渉は「完全に非合法かつ無効」であり、台湾島以東における中国の権利主張に何ら影響を及ぼさないと宣言した。
一方、台湾(中華民国)外交部は5月31日、日比協議に抗議ではなく歓迎の意を示した。平和的対話と国際法による問題解決は台湾の一貫した立場に合致すると評価したうえで、「台湾の領土および関連海域の主権的権利を中国がとやかく言うことは許されない」として、中国が一方的に同海域を「自国の権利が及ぶ範囲」と認定する主張を退けた。台湾は日本・フィリピンそれぞれと既に結んでいる漁業取り決めを基盤に、海洋資源の共有や印太地域の海事安全について三者で協議する用意があるとし、「争議の棚上げ、平和的開発」の立場を強調した。
- [コロンビア、大統領選]2026年5月31日コロンビア大統領選挙の第1回投票がおこなわれた。現職の左派グスタボ・ペトロ大統領が憲法により再選できない中で行われ、開票率がほぼ99%に達した段階で、いずれの候補も過半数を得られなかったため、上位2名による決選投票(6月21日実施)が行われることとなった。
第1位は極右の弁護士出身のエスプリエラ氏で、得票率は約43.7%であった。第2位は左派でペトロ大統領の後継者とされるイバン・セペダ氏で、得票率は約40.9%と僅差で続いた。第3位には中道右派のバレンシアが約7%弱で入ったが、決選投票には進めなかった。
今回の結果では、第1回投票では首位に立つとみられていたセペダ氏が1位とならなかったことと、従来有力と見られていたバレンシア氏の大幅な失速は予想外となった。その背景には、既存の政治に対する不満を背景に、より強硬で分かりやすい主張を掲げるアウトサイダー候補へ支持が流れたことがあるとみられる。エスプリエラ氏は、既成政党や政治エリートへの批判を前面に出し、治安回復を最優先とする姿勢を強調したことで、保守層や無党派層の支持を急速に取り込んだ。
決選投票に進んだ両候補の違いは明確であり、選挙の構図は大きく二極化している。エスプリエラ氏は市場重視の経済政策を掲げ、減税や規制緩和、資源開発の拡大を通じて経済成長を目指す立場である。また、治安対策では軍や警察の権限を強化し、違法武装組織に対して強硬な掃討作戦を行う方針を示している。
これに対しセペダは、現ペトロ政権の路線を引き継ぎ、格差是正や社会保障の拡充を重視する。高所得者への課税強化や医療制度の拡充、紛争被害者への土地分配などを通じて不平等の解消を図る考えである。また、長年続く武装紛争については軍事力だけでなく対話を通じた和平を重視し、社会的な包摂による根本解決を目指している。ただし、化石燃料開発の制限などの政策は、経済成長への影響を懸念する声もあり、投資家や保守層から批判を受けている。
今回の第1回投票では投票率が約半数強にとどまった点も注目される。有権者約4100万人のうち多くが棄権しており、決選投票ではこれらの無党派層をどちらが取り込めるかが勝敗の鍵となる。また、右派票や中道票が分散していたため、バレンシア支持層がどちらに流れるかも大きな焦点である。バレンシア氏とウリベ元大統領は、決選投票でエスプリエラ氏支持に回る動きを見せており、右派陣営の結集が進む可能性がある。
この選挙は、国内政治だけでなく、米国や中国との関係を含む外交にも影響を与える可能性がある。特にエスプリエラ氏が当選すれば、米国との関係が改善に向かうとみられるほか、ここ数カ月、対立を深めていた隣国エクアドルとの関係改善につながるとみられる。事実、エクアドルのノボア大統領は選挙日直前にエスプリエラ氏と会談し、関税の撤廃や犯罪の引き渡しに同意していた。
- [ドイツ/消費者物価指数]ドイツの連邦統計庁によると、5月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.7%だった。上昇率は4月(+2.9%)から縮小し、市場予想(+2.8%)を下回った。
内訳を見ると、サービスが+3.1%となり、4月(+2.8%)から上昇率を拡大させた。ただし、サービス価格の上昇率の拡大は、イースター休暇の期ずれによる影響とみられている。一方で、財が+2.2%と、4月(+2.9%)から縮小した。食品が4月(+1.2%)から+0.4%へエネルギーが4月(+10.1%)から+6.6%へそれぞれ縮小した。特に、エネルギー価格の縮小が全体の物価上昇率を押し下げたとみられている。
なお、物価の基調を表す食品・エネルギーを除くコア指数は+2.5%であり、4月(+2.3%)から拡大した。ユーロ圏の物価上昇率も2%を上回っているとみられ、6月の欧州中央銀行(ECB)の理事会では、利上げが実施されると市場では予想されている。今回のドイツの消費者物価指数もそうした見方を覆すには至らなかったとみられている。
- [日本/人口(令和7年国勢調査)・完全失業率(4月)・有効求人倍率(4月)]総務省より公表された令和7年国勢調査に基づいた人口速報値から、日本の総人口は減少を続けており、国内では東京への一極集中がますます強まり、単身世帯の増加により世帯数は増加を続けていることが鮮明となった。
2025年10月1日時点の日本の総人口は1億2,305万人で、前回2020年の調査から309万7千人減少した(▲2.5%)。国連推計による各国人口との比較では日本は12位(2020年では11位)となった。2020年から2025年の人口増減率で、上位20か国のうち減少している国は日本、ロシア、中国、タイの4か国で、その中でも日本の減少率が最も高い。
都道府県別では、2020年から2025年の間で人口が増加しているのは東京都(+19万9千人)と沖縄県(+1千人)のみで、そのほか45都道府県では減少している。人口減少数が最も大きかったのは北海道(▲23万9千人)。減少率では、秋田県(▲8.1%)、青森県(▲7.9%)、岩手県(▲7.9%)など、東北地方の高さが目立つ。
東京都への人口集中が激しく、日本全体の11.6%を占め、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)では全国の30.1%を占める。人口密度が最も高いのも東京で、全国平均の19.6倍。
全国の世帯数は過去最多で、5,712万5千世帯と、2020年の調査より129万4千世帯増加(+2.3%)。1世帯当たりの人数は2.15人と、1970年の3.45人から一貫して減少を続けている。東京では最も少なく1.88人。
少子高齢化の進展による人口減少により、労働力供給の面での制約が一段と強まっている。雇用関連の統計で、総務省が発表した4月の完全失業率(季節調整値)は2.5%と、3月から0.2pt低下した。完全失業者数は193万人で、前年同月比5万人増と、9か月連続で増加。求職理由別では、自発的な離職(自己都合)が前年同月比5万人増加した。
就業者数は6,860万人で、前年同月比64万人増と、3か月連続で増加した。産業別では、前年同月比で「製造業」(▲8万人)や「農業,林業」(▲3万人)が減少した一方、「宿泊業,飲食サービス業」(+35万人)、「生活関連サービス業,娯楽業」(+16万人)、「建設業」(+10万人)、「不動産業,物品賃貸業」(+10万人)などが増加した。
雇用者数は6,219万人(前年同月比+68万人)と、50カ月連続で増加した。そのうち正規の職員・従業員数は3,735万人(前年同月比+26万人)、30カ月連続の増加。非正規の職員・従業員数は2,147万人(前年同月比+46万人)と、2か月ぶりの増加。
また、厚生労働省が公表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍と、3月から横ばいとなった。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は0.99倍と、こちらも3月から横ばい。
新規求人倍率(季節調整値)は2.11倍と前月を0.04pt下回った。新規求人数は81万人と前年同月比3.6%減少し、前年同月比は12か月連続の減少となった。産業別での前年同月比の減少では、「卸売業,小売業」(▲11.0%)、「宿泊業,飲食サービス業」(▲9.1%)、「情報通信業」(▲7.3%)などが目立つ。
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