ロンドン/英国 ~ロンドンの春 ― 伝統とモダンが織りなす、心躍る街並み~

2024年05月08日

欧州住友商事会社 ロンドン
小池 浩之

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 ロンドンでは2月頃からさまざまな春の花が咲き始めます。

 北緯51度と、極東でいえば日本列島よりも北、樺太の北部に当たりますが、暖流や偏西風のおかげで冬も比較的暖かく、春分を過ぎると日がどんどん長くなりワクワク感の高まる、ロンドンの春のシーンをご案内したいと思います。

 

  • ストーンヘンジ
晴天のストーンヘンジにて(世界中を一緒に旅するカエルのMartinとともに)(筆者撮影)
晴天のストーンヘンジにて(世界中を一緒に旅するカエルのMartinとともに)(筆者撮影)

 ロンドンから南西に1時間半ほど車で走ると、世界遺産で有名なストーンヘンジがあります。春に訪れてみると、家族連れがピクニックしている草原の中に、忽然と馬蹄形に巨大な石が30個以上置かれていて、大変不思議な感覚になります。太陽崇拝の祭祀用、または古代の天文学用ともいわれていますが、紀元前2,000年以上前の古代人の思いを夢想する楽しい時間になります。

 

 

  • グリニッジ天文台
西半球と東半球にまたがって大ジャンプ!(筆者)
西半球と東半球にまたがって大ジャンプ!(筆者)

 ロンドンは経度ゼロ度、世界中の子午線の基点になっているのがグリニッジ天文台です。

 

 この天文台は1675年にチャールズ2世により設立され、大航海時代で海難事故が頻発する中、航海術の高度化に向け緯度・経度を計測することで天文学の発展をめざしたものです。緯度は北極星との位置関係から早期に割り出すことに成功しましたが、経度の測定は難航し、数々の方式の研究とクロノメーターの発明を経てようやく18世紀から徐々に活用されるようになりました。その後も欧州各国の綱引きの結果、グリニッジが世界中の経度の基準となったのは1871年でした。この天文台を訪れると、グリニッジの丘の春風を感じつつ、コンピューターの無い時代に壮大な海洋と宇宙を相手に技術開発に挑んだ人々の強い意志と、開発の歴史に思いを馳せることができます。

 

 

 

  • 騎馬警官
王室の行事やパレード、デモの鎮圧など、様々な場面で活躍するロンドン騎馬警官(筆者撮影)
王室の行事やパレード、デモの鎮圧など、様々な場面で活躍するロンドン騎馬警官(筆者撮影)

 ロンドンでは馬に乗った騎馬警官がカパカパと音を響かせながら巡回している姿を見かけます。

 

 歴史的に騎馬社会だったためと思われますが、馬上の高い視点からの俯瞰能力・馬ならではの機動性・群衆を威嚇する心理的効果といった特徴から、現代においても実用的に活用されているようです。新緑の中を闊歩する騎馬警官はスタイリッシュで温かみもあり、ロンドンらしいですね。でも通過した後は、結構落し物が多いので要注意です。

 

 

  • バラ・マーケットのグルメ事情
活気溢れるバラ・マーケットの新鮮な魚介類(筆者撮影)
活気溢れるバラ・マーケットの新鮮な魚介類(筆者撮影)

 ロンドンブリッジの南に位置するバラ・マーケットは1,000年以上の歴史があり地元民のみならず観光客にも人気の市場です。欧州各国から白アスパラ・パプリカ・オリーブ・トマト・トリュフ・チーズ・生ハムなど、色とりどりの食材が並びます。また英国地元産を中心に新鮮な魚介類が揃い、シーフード好きにとっては大変嬉しい市場です。筆者は世界各国・日本の各都市に行くと、趣味として市場巡りを行いますが、この市場は多様性・楽しさともにトップクラスだと思います。ここを訪れると、皆さんのロンドンの食への印象も、大きく変わると思いますよ。是非一度お試しを!

 

 

  • ロンドンマラソン
バッキンガム宮殿にてゴールイン!(筆者撮影)
バッキンガム宮殿にてゴールイン!(筆者撮影)

 ロンドンマラソンは、1981年以来44回目を数え、2024年は4月21日に開催されました。世界大会の最高峰レベルに位置され著名選手が多数エントリーするのに加え、一般ランナーにも人気が高く2024年は5万人超の参加となりました。スタート地点はグリニッジ・パークで、その後テムズ川沿いを走り、40キロメートル地点以降はロンドンアイ、ビッグベン、国会議事堂、ウェストミンスター寺院を通り、ゴールがバッキンガム宮殿と、ロンドンの名所が続く圧巻のコースです。東京からの友人がレースに参加していたので、筆者もゴール地点で和太鼓を鳴らしながら応援しました。大会結果は、女子単独レースの世界新記録が出るなど高速化が進む一方、さまざまなコスチュームのランナーが参加するなど、ロンドンの春に新たな彩りを加える1日となりました。

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