デイリー・アップデート

2024年4月30日 (火)

[南アフリカ] 4月26日、イプソス(Ipsos)社は最新の世論調査の結果を発表し、与党・アフリカ民族会議(ANC)の支持率は40.2%で、前回2月に同社が発表した40.5%から微減となった。第一野党・民主同盟(DA)の支持率は21.9%で前回から1.5%ポイント上昇した。また、ジェイコブ・ズマ前大統領が率いる「民族の槍」党(MK)が8.4%となり、第二野党の「経済的開放の闘志(EFF)」の11.5%に接近している。5月29日の総選挙を控え、ANC(中道左派)がどの政党と連立政権を組成するかに注目が集まるが、極左政党であるMKとEFFの連立の可能性は低いとする見方が強い。

[UAE] アラブ首長国連邦は、新空港の建設を承認した。建設承認されたアル・マクトゥーム国際空港の建設費は約350億ドルが見込まれており、400の航空機ゲートに、5本の平行滑走路が設けられる予定だ。現在の旅客数の5倍となる最大2億6,000万人を受け入れることができる世界最大の空港を目指す(羽田空港の2023年の利用者は約7,870万人)。ターミナルはドバイ南部に位置し、集合住宅やホテル、コンベンションセンター、商業地区などが併設される。今後数年間で、既存の空港業務は新空港に移管し、周辺開発も含めて2030年までに全体の工事が完了する予定としている。

[韓国] 4月25日、韓国銀行は2024年第1四半期(1?3月期)の実質国内総生産(GDP、速報値)が前期比+1.3%と、5四半期連続のプラス成長を記録したと発表した。この成長は、半導体メモリーの需要が回復に転じ輸出が堅調となったことに加え、民間消費や建設投資が増えたことが寄与した。輸出が+0.9%、民間消費は+0.8%、建設投資は+2.7%だった。一方、設備投資は▲0.8%だった。産業別では、製造業は+1.2%、サービス業は+0.2%だった。一方、農林漁業は▲3.1%だった。今回のGDPが予想を上回る結果だったため、韓国銀行は5月の経済見通しで大幅な上方修正を行う可能性が高まっている。

[米国] 商務省によると、3月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.7%となった。上昇率は2月(+2.5%)から拡大、市場予想(+2.6%)も上回った。内訳をみると、食品が+1.5%と、2月(+1.3%)から小幅に拡大し、エネルギーは+2.6%と半年ぶりにプラスに転じた。サービスは+4.0%であり、2か月連続で4%台になった。また、食品・エネルギーを除くコア指数は2月と同じ+2.8%であり、物価の基調は依然として強かった。

[ベトナム] 4月26日、ベトナム共産党が臨時の中央委員会総会を開催し、ブオン・ディン・フエ国会議長の辞任の申し出を了承した。党が違反を認定されたことを受け、同氏自身が辞職を申し出たという。近く臨時国会を召集し、解任を決議するとみられる。中央委員会は辞職の詳しい理由を明らかにしていないが、大手建設会社のトゥアンアン・グループによる入札不正事件が関係している可能性がある。同事件の捜査の一環として、フエ氏の長年の側近であるファム・タイ・ハー国会議長補佐官も4月22日に権力濫用の容疑で逮捕されていた。3月にはボー・バン・トゥオン国家主席が辞任しており、党ナンバー2とナンバー4が2か月連続で辞任する異例の事態となった。

[米国/中東] 4月29日、ブリンケン国務長官は中東諸国歴訪に出発した。サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルを訪問する予定で、最初の訪問地であるサウジアラビアでは、同国皇太子、外相らと会談したほか、UAE、カタール、エジプト、ヨルダンを含むアラブ諸国外相との会談、トルコ外相との会談などをこなしている。米国政府の直近の目標は、ガザ地区における即時停戦とイスラエル軍によるラファ侵攻を遅らせることにあるとみられる。また、ガザ紛争後の和平計画についても、米国政府の構想を各国に持ち掛けているが、関係国の同意を取り付けるに至っていない。

[アルゼンチン] ミレイ政権が優先法案と位置付けている包括財政法案が、4月29日の週に下院本会議で採決される可能性がある。仮に下院本会議で賛成多数で上院に送付されても、ミレイ大統領率いる政党・自由前進(LLA)が、アルゼンチン議会上下両院のいずれでも少数与党であるため、上院での審議は難航が予想される。ミレイ大統領は、知事らとの主要協定を発表することにしている5月25日までに、包括財政法案の可決を目指しているが、同期限内での成立は極めて困難であるとみられている。

[中国] 米電気自動車メーカーテスラのイーロン・マスクCEOは、インド出張を直前にキャンセルし、中国を訪問して4月28日に李強首相と会談した。2021年以降、同社の車は安全保障上の懸念を理由に政府機関などへの立ち入りを禁止されていた。同日、中国自動車工業協会は、上海工場で生産されるテスラ車を、自動車の走行データの安全性に関するコンプライアンス・テスト要件を満たす車種リスト(約70種)に加えた。これにより、テスラ車は中国政府からの承認を得る見込みが高まったという見方が広がり、4月29日に同社の株価は15%上昇した。

[ロシア] ロシア南部の北カフカス地方でイスラム過激派によるテロ事件が頻発している。4月22日と29日、北カフカスのカラチャイ・チェルケス共和国で、過激派との関与が疑われるテロリストが警察車両を襲撃した。警察官2人が殺されたが、テロリスト5人が射殺された。ロシア当局は、イスラム過激派によるテロ事件として取り調べを行っている。 北カフカスの情勢が再び不安定になれば、モスクワなど都市部にも治安悪化が波及しかねない。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

17人が「いいね!」と言っています。