米国/イラン/イスラエル

2025年06月25日

国際部

6月22日に米軍はイランの3か所(フォルドゥ、ナタンツ、イスファハン)の核施設に対する大規模な空爆を実施したが、その攻撃に対する報復として、23日、イランはカタールにあるアル・ウデイド空軍基地をミサイルで攻撃した。同基地は、米兵約1万人が駐留する中東最大の米軍基地。カタール軍幹部によると、イランから発射されたミサイルは19発で、うち18発は迎撃に成功、1発は基地内に着弾したが特に被害はなかったとのこと。イランは、カタールに対して攻撃の事前通告をしていたとのことである。翌24日には、イランのペゼシュキアン大統領がカタールのタミーム首長との電話会談を実施し、同攻撃がカタールや同国民を狙ったものではなかったと遺憾の意を表明。タミーム首長は改めてイランに対して強い非難を表明したが、今回の攻撃は地域の緊張を緩和させるために事前に調整された限定的な報復攻撃だったとみることができる。

 

日本時間24日午前には、トランプ大統領が、イランとイスラエルが完全かつ全面的な停戦に合意したと自身のSNSに投稿し、今回の戦争を「12日間戦争」と呼んだ。トランプ氏の主張する停戦発効後にもイランとイスラエルがお互いの違反行為を主張して双方が攻撃を続けていることに対して、「両国はあまりにも長い間、激しく戦い続けてきたため、自分たちが一体何をしているのか分かっていないのだ!」、と記者団に対して大きな不満を爆発させた。イスラエルは攻撃のためにイランに向かっていた戦闘機群を引き返させたとのこと。

 

イスラエルによる対イラン攻撃をきっかけに6月初めから15ドル以上上昇していた原油価格は、トランプによる停戦の発表を受けて10ドル以上急落落した。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。