米国/中東
デイリー・アップデート
2025年08月05日
国際部
7月31日、トランプ米大統領は、4月に発表した相互関税制度の修正を行う大統領令に署名した。これを受け、ホワイトハウスは各国から米国への輸出品にかかる新たな関税率を発表し、これらは8月7日から適用される予定である。
中東・北アフリカ地域(MENA)のうち、最低税率である10%を上回る関税率が設定された国は以下の8か国である。シリア:41%(4月時点と同率)、イラク:35%(同39%から引き下げ)、リビア:30%(同31%から引き下げ)、アルジェリア:30%(同率)、チュニジア:25%(同28%から引き下げ)、ヨルダン:15%(同20%から引き下げ)、イスラエル:15%(同17%から引き下げ)、トルコ:15%(同10%から引き上げ)。
今回の発表で最も高い税率が適用されたのはシリアの41%であり、これは全対象国の中で最高である。トランプ政権はここ数か月、シリアの復興支援に向けて一部制裁解除などの動きを見せていたが、このような高率の関税措置はその方針と矛盾して見える。しかしながら、これまでの米・シリア間の貿易額は極めて小さく、シリアの全輸出に占める対米輸出の割合も低いため、関税の実質的影響は限定的と考えられる。
また、イラクやリビアに対しても比較的高い関税率が設定されたが、両国から米国への主要な輸出品目は原油や石油製品などエネルギー関連が9割以上を占めており、これらは今回の相互関税の適用対象外であることから、経済的影響は限定的とみられる。
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