2025年5月1日 (木)
[米国/ユーロ圏] 米商務省によると、2025年Q1の米国の実質GDP成長率は前期比年率▲0.3%と、2022年Q1年以来のマイナス成長だった。関税引き上げ前の駆け込みによって、輸入が前期比+41.3%と大幅に増加し、実質GDPを▲5.0pt押し下げた一方、在庫純増は+2.3pt押し上げた。また、EU統計局(Eurostat)によると、2025年Q1のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比+0.4%と、前期(+0.2%)から加速した。内訳を見ると、ドイツやフランスが2四半期ぶりにプラス成長に戻り、スペインが引き続きけん引役だった。
[銅] 国連傘下の国際組織である国際銅研究会(ICSG)は2025/26年銅市場予測を公表。2025年は鉱山生産2,351.9万トン(前年比+2.3%)、精錬銅生産2,829.3万トン(+2.9%)、消費2,800.4万トン(+2.4%)の予想。2024~26年にかけ3年連続で供給が需要を上回るとしている。2026年には伸び悩みが続いた鉱山生産の伸びは加速するが、鉱石不足で精錬銅生産は減速し、リサイクルが増える。消費については2024年9月時点の予測から下方修正され、2026年の世界需要は+1.8%増、中国は+0.8%増。需要下振れのリスクが高まっている。
[モロッコ/サヘル諸国/アルジェリア] 4月28日、モハメッド6世国王は軍事政権下のマリ、ニジェール、ブルキナファソの3か国(「サヘル諸国同盟:AES)の外相を招集し、モロッコが内陸国のAESに大西洋へのアクセスを提供するイニシアチブの重要性を互いに確認した。クーデター以降、西側寄りの「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」を脱退したAESは、ロシアやトルコ、モロッコ等との関係を強化している。モロッコは実効支配している西サハラのダフラ港の開発とAESへのアクセス提供を構想しているが、西サハラの独立派を支援する隣国アルジェリアとの緊張関係が続いている。AESもまたアルジェリアとの関係悪化が顕著になっている。
[お休みのお知らせ] 2025年5月2日のデイリーアップデートはお休み致します。
[米国] オンライン融資サービスを提供している米Lending Treeの最近の調査によると食料品の支払いにBNPL(Buy Now、Pay Later)を利用している買い物客が昨年の同時期から25%増加したという。同社アナリストは「必需品の購入のためにこのサービスを利用しているのは経済にとってよい兆候ではない」とコメントしている。また、ユーザーの41%が過去1年に支払い遅延があり、その比率は前年比で34%増加した。この調査は株価が大幅に下落する直前の4月2日から3日にかけて実施されており、18歳から79歳までの米国の消費者2,000人を調査対象としている。BNPLは賢く利用すれば便利なツールとなり得るが、簡単にローンが取得できてしまうことでリスクも伴う。自分が何に取り組んでいるのかを理解することがとても重要だと、アナリストは説明している。
[シリア/サウジアラビア/カタール] 4月27日、サウジアラビアとカタールの両政府は、シリアの世界銀行に対する未払い債務を肩代わりして返済することを発表した。債務総額は1,500万ドル。シリアでは2024年12月にアサド政権が崩壊し、新たな暫定政権が発足した。新政権は14年間にわたる内戦で荒廃した国土復興のための資金が必要だが、いまだに残るアサド政権時代に科された経済制裁が復興の足かせとなっている。シリア新政権は湾岸諸国との関係改善を推し進めており、湾岸諸国もシリア支援の姿勢を明確にしている。
[米国] 4月30日、米通商代表部(USTR)は、2025年版スペシャル301条報告書を公表した。同報告書は、米国の貿易相手国における知的財産権の保護状況を調査し、米国の経済的利益を損ねているか否かを報告するもの。2024年版では、知財保護や侵害に対する取り締まりについて、最も懸念される「優先国」の指定はなく、「優先監視国」は8か国、「監視国」は18か国となった。アジアからは中国、インド、インドネシアが優先監視国、パキスタン、タイ、ベトナムが監視国の指定を受けた。
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