広州/中国 ~花咲く国際都市「広州」~

アジア・オセアニア

2015年08月18日

広州住友商事有限公司
青木 壮平

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左より建設中のCTF金融センター、広州タワー、広州国際金融センター(写真提供:広州住友商事有限公司 葉 海珠)
左より建設中のCTF金融センター、広州タワー、広州国際金融センター(写真提供:広州住友商事有限公司 葉 海珠)

• 立ち並ぶ高層ビル

 広州市は華南に位置する広東省の省都で、北京、上海に次ぐ中国第3の都市です。広東省の面積は約18万平方キロメートルで日本の約半分、人口は1億人を超えます。広州市の面積は7,434平方キロメートルで東京都の約3.4倍、人口は東京都とほぼ同じ1,300万人です。東莞(とうかん)、佛山(ぶつざん)、中山(ちゅうざん)、珠海(じゅかい)といった大都市が隣接し、珠江デルタ地帯(じゅこうデルタ/広州・香港・マカオを結ぶ三角地帯を中心とする地域の呼称)を形成しています。香港、マカオにも電車で行ける距離にあり、週末に気軽に訪問することも可能です。日本との関係も良好で、広東省は兵庫県と姉妹・友好提携関係にあり、広州市は福岡市の姉妹都市です。近年は珠江エリアに高層ビルが立ち並び、都市部は拡大を続けています。

 

 現在建設中のCTF金融センター(周大福金融中心)は広州国際金融センターと対をなして広州ツインタワーと呼ばれ、2016年に完成予定です。111階建の高層ビルで、中国で2番目、世界で5番目に高いビルとなり、世界最速になるエレベーターは日本製です。また市内のスタジアムを本拠地とするサッカーチーム広州恒大は、中国国内リーグを2011年から4連覇中で、同チームの試合がある夕方は、チームカラーの赤いユニフォームを着た群衆でスタジアム周辺はあふれかえっています。2015年7月には、スペインリーグのレアルマドリードとイタリアリーグのインテルとの試合が広州で行われ、サーカー熱はますます高まりを見せています。

 

 

• 世界に開かれた国際都市

広州東山湖公園(写真提供:広州住友商事有限公司 葉 海珠)
広州東山湖公園(写真提供:広州住友商事有限公司 葉 海珠)

 広州は古くから諸外国と交流があり、古代は海のシルクロード起点港の一つであったと考えられ、明代に行われた海禁政策でも、三市舶司(しはくし/海上貿易関連事務を所管する官署)の一つが広州に置かれ朝貢船の入港地として交易が行われました。清代では広州のみが対外開放され、欧米諸国との貿易が行われました。現代になっても、中国の対外貿易港として機能し、鄧小平が対外経済開放政策として、深圳(しんせん)、珠海の経済特区とともに広州も急速に発展を遂げました。

 

 街中には韓国人、日本人、欧米系のほか、他の都市ではあまり見かけることのない黒人系、イスラム系の外国人も数多く見られ、買い出しをしているのか、大きな荷物を持っている姿を見ることができます。また、毎年春秋には世界最大規模の交易会である広州交易会(カントン・フェアー)が開催され、その時期の飛行機は満席、ホテルはどこも満室、宿泊料金も通常の2~3倍、タクシーもつかまりにくいなど、街全体が活況を呈します。この交易会は、習近平総書記が掲げる「一帯一路」構想のプラットフォームとしての機能が期待されています。なお、2015年10月には、羽田-広州便が就航予定です。さらに活発な人的交流がなされることでしょう。

 

 

飲茶(写真提供:広州住友商事有限公司 中山 真由美)
飲茶(写真提供:広州住友商事有限公司 中山 真由美)

 • 食在広州

 広州は飲茶、海鮮料理に代表される広東料理の中心地です。アメリカ、東南アジア各地に広東省出身の中国人が多数移住し、各地の中華街では広東料理の店が多くみられます。広東人は飛ぶものは飛行機以外、泳ぐものは潜水艦以外、四つ足は机と椅子以外なんでも食べると言われるほど、さまざまなものを食材として活用しています。味付けは素材の持ち味を生かした薄味のため日本人の口にも合うと言われており、医食同源の観点からスープ(湯)を飲むのが特徴的です。温暖な気候のため一年中草花が咲き誇ることから「花城(かじょう)」と称されることもある広州、中国経済発展をけん引し、ますます大きな花を咲かせるに違いありません。

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