高雄/台湾 ~ブルーとグリーンの街、高雄~

アジア・オセアニア

2018年03月30日

台湾住友商事股份有限公司 高雄分公司
福久 悦子

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 日本人に人気の台湾ですが、何度も訪れている旅行者でも、高雄まで足を延ばす方はどれほどいるのでしょうか。台北、台中に次ぐ台湾第3の都市、高雄。その魅力についてここで少し紹介します。

 

 タイトルにある「ブルーとグリーン」というと、台湾通の方なら政党のシンボル・カラーだと言うかもしれません。緑の民進党と青の国民党は言わずと知れた台湾の二大政党であり、4年ごとの総統選挙で鎬(しのぎ)を削っているのは周知のことです。ちなみに高雄はそういう意味では民進党の勢力圏ですが、ここでいうグリーンはそのことを意味していません。

 

当社高雄支店20Fからの高雄市中心部の眺め(筆者撮影)
当社高雄支店20Fからの高雄市中心部の眺め(筆者撮影)

 閑話休題、高雄まであまり観光客が来ないのは名勝が少ないからかもしれません。(高雄の方には大変申し訳ありません。)グルメも台湾の至る所にあることから、高雄まで南下しなくても、台北近辺で十分に台湾を楽しめます。一方、台湾の南端にある高雄は台湾屈指の工業都市です。鉄鋼、造船、石油製錬、発電所など重工業の雄たちがこの人口300万人足らずの街にぎっしり軒を連ね、それらを支える海の玄関口としても、コンテナ取扱量で2017年世界13位と、実は日本のどの港よりも上位なのです。そう、ブルーというのは工業と海の色なのです。

 

 当方が駐在している台湾住友商事高雄支店はまさにそうした在高雄の台湾鉄鋼メーカーに支えられ、ビジネスを営んでおります。工場の煙突から吐き出される煙は製造業の息吹を力強く感じさせる一方で、この街が深刻な大気汚染に晒されていることも事実です。近頃のネットジョークでは、大気の質が悪く健康に悪影響があるということで、高雄が「天国」に一番近い街と揶揄(やゆ)されており、高雄在住者としては素直に笑えないものです。

 

 

緑の茂る軌道敷を颯爽と駆け抜けるライトレール(筆者撮影)
緑の茂る軌道敷を颯爽と駆け抜けるライトレール(筆者撮影)

 台湾中央政府や高雄市政府もこうした環境問題を直視し、さまざまな取り組みをしています。例えば高雄市が2016年に導入した最新型の路面電車(高雄LRT「高雄ライトレール」)は、現在まだ一部区間しか開通していませんが、近い将来には市内をぐるりと囲む台湾版「山手線」になるはずです。実はこの電車は世界初の全線架線レスの次世代型路面電車なのです。軌道敷や駅舎などにも緑化を施し、日本の蓄電池技術とスペイン製のスタイリッシュな車体を融合させた近未来型の電車で、街中を颯爽(さっそう)と走る景色はグリーンの街、高雄の象徴ともいえそうです。 

 

 また、蔡英文政権は2025年までの脱原発を閣議決定し、再生可能エネルギーを現在の4%から20%以上に引き上げる政策を打ち出しました。その結果、これまで台湾電力が独占してきた発電事業を民間企業に許可したことになり、再生可能エネルギー事業への新規参入の商機が一気に増えました。当社もこの波に乗って、洋上風力発電やその他のクリーンエネルギービジネスの創造に努めており、高雄、ひいては台湾の環境への貢献を志しています。

 

 ここで暮らす人々の生活の豊かさと健康のために、当社は重工業と環境ビジネスの両分野で引き続き取り組んでいきます。

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