広州/中国 ~絶え間なく変化・拡大しつつ、持続可能な成長を目指す町~

アジア・オセアニア

2020年07月27日

広州住友商事有限公司
呉天東

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 世界的な流行になった新型コロナウィルスの影響で、広州住商は旧正月休み明けの2月上旬に営業を再開した後も在宅・シフト制勤務を継続し、5月25日からようやく通常の勤務体制に戻りました。被害の影響を受けた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 

「千年寺」とも呼ばれる光孝寺、租界の雰囲気を残す旧市街、モダンな高層ビル街「花城広場」(筆者撮影)
「千年寺」とも呼ばれる光孝寺、租界の雰囲気を残す旧市街、モダンな高層ビル街「花城広場」(筆者撮影)

 

 さて、広州はどういう町かご存知ですか?広州は略称を「穂」、人口約1.2億人(2019年現在、以下同様)の広東省の省都で、総面積約7,434平方キロメートル、人口約1,530万人、北京・上海に並ぶ華南地域の重要都市です。中国南部、珠江デルタにある海に面した場所で、中国から世界に開く南大門とも形容される「千年商都」です。秦の時代から華南地域の政治経済の中心地であり、紀元前204年の南越国建国時から、漆器、シルク、陶器および青銅器輸出を開始し繁栄しました。漢、唐、宋、明、清の時代も主要輸出入港で、二千年以上も貿易港の役割を担いにぎわいました。広州には歴史ある南越国の遺跡(南越王のお墓など)、光孝寺(仏教のお寺)などの名所旧跡が多数あります。気候は温暖で夏と雨期が長く、植物の成長には非常に恵まれた地域で、一年中いろいろな花が咲いているため「花城(花の都)」とも呼ばれています。

 

花咲く広州市街、レストラン街、名物「毋米粥(お粥火鍋)」(筆者撮影)
花咲く広州市街、レストラン街、名物「毋米粥(お粥火鍋)」(筆者撮影)

 広州といえば「食は広州にあり」ということわざが有名です。一年間の外食費を調査したところ、広州が中国で最も高いようです。町には中国の他地域の料理やさまざまな外国料理の店もたくさん集まっています。広東式飲茶から四川火鍋、イタリアン、和食、エチオピアなどのアフリカ料理…まさに「美食の天国」です。わたしのお薦めは「毋米粥(Wu-mi-zhouお粥の火鍋)」です。広州人は火鍋が好きですが一般に辛さには弱いので、もっと健康的に食べたいとの発想から四川火鍋スープを自分たちの好きなお粥にかえ、新鮮な食材を入れたお粥しゃぶしゃぶを生み出しました。他地域の食文化も吸収しつつ自分たちの弱みもカバーする、他文化を尊重したさまざまな料理が共存共栄で親しめる文化や雰囲気が、広州という町のイメージではないかと思います。

 

 

港珠澳大橋(出典:Wikimedia Commons)
港珠澳大橋(出典:Wikimedia Commons)

 最近、新たな変化も出てきました。「粤港澳大湾区計画」(グレーターベイエリア構想)です。「広東省(略称「粤」"えつ")の9都市(広州・深圳・東莞など)」と「香港」、「澳門(マカオ)」の一体化を推進する地域開発計画です。「大湾区」には7つの国際空港と、中心都市を1時間以内で結ぶ新幹線や大型海上橋・海底トンネル「港珠澳大橋」(こうじゅおうおおはし)があり、陸海空でこの地域を繋ぎます。国家重点政策として市場一体化を推進し、国際的イノベーションセンターの構築、医療・介護、娯楽などより質の高い生活圏の建設を進めています。この大きな変化をチャンスにすべく広州住商も華南地区の顧客・パートナーと共にリソースをフル活用して新たなビジネス構築への挑戦を続けています。

 

 

昼間の広州タワーと珠江新城の夜景(筆者撮影)
昼間の広州タワーと珠江新城の夜景(筆者撮影)

 私が故郷である広東省南西部の恩平市から広州市に出て来てから約26年、広州は全く違う町へと華麗に変身しました。町が姿を変えても変わらないのが広州人のオープンマインドやチャレンジ精神です。広州人と広州は、これからも自らの特性を生かして変わり続けていくでしょう。この町が大好きな私は退職後も大湾区で生活していくつもりです。衣食住や健康・安全に恵まれ、クリーンで豊かな町として発展し続ける大湾区でさらに豊かな人生の夢を実現し、また、この絶え間ない大きな変化の流れに乗りながら、しっかりと会社や社会に貢献できるよう、自分の力をより高めたいと胸が熱くなってくるのです。変化し続ける町、広州をぜひ体感しに来てください。

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