ミラノ/イタリア ~イタリアのビジネスと文化の中心地~

2023年10月05日

欧州住友商事会社 ミラノ支店
ルカ・ブルネッティ

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ドゥオーモ広場の全景 (写真: lolsanches@pixabay)
ドゥオーモ広場の全景 (写真: lolsanches@pixabay)

 ミラノ都市圏(ビッグ・ミラノとも呼ばれる)は、ミラノを囲む133の市町村からなり、人口は150万人を数えます。ヨーロッパで最も人口の多い地域のひとつで、イタリアのGDPの1/5を稼ぎ出すといわれています(ミラノ首都圏公式サイトより)。

 

ミラノ・シティライフ地区 (写真:Andrea Ferrario@Unsplash)
ミラノ・シティライフ地区 (写真:Andrea Ferrario@Unsplash)

 

 ミラノは常に、ヨーロッパ、そして全世界に対するイタリアの扉という存在です。パダニアと呼ばれる広大な平野部の中心に位置するミラノは、イタリアとほかのヨーロッパ諸国を自然な形で結ぶ高速道路や鉄道が交差する場所となっています。年間3,500万人が利用(空港協会の公式ウェブサイトより)している3つの空港(マルペンサ、リナーテ、オリオ・アル・セーリオ)があり、輸送と物流は町の経済活動に大きく貢献しています。

 

 ミラノはイタリアの証券取引所を擁する金融都市でもあり、またファッション、インテリアデザイン、製薬でも広く知られてます。

 

 

■ミラノの町

垂直の森(写真: Zac Wolff@Unsplash)
垂直の森(写真: Zac Wolff@Unsplash)

 ミラノは絶えず進化している町でもあります。この10年間で、新しい都市地区、2つの新しい地下鉄路線、2つの新しいスカイライン(ポルタ・ヌォーヴァとシティライフ)が確立され、未来的な建築とグリーンエネルギー建築が融合することで深い変貌を遂げました。ガラスのバルコニーに樹木を配した2棟の住宅タワーからなる「垂直の森(The Bosco Verticale)」にみられる特徴的な建築をはじめ、現在、町は2026年のミラノ・コルチナ冬季オリンピックに向けて、新しいスポーツ観光の持続可能なインフラを整えつつあります。

 

 

■ミラノの食文化

 ミラノは、ビジネスとエンターテインメント、スポーツと文化が他の町と同じように共存する、スタイルとラグジュアリーを追求する町としても知られています。ミラノにある芸術、食、エンターテインメントのすべてが、質の高い生活を保証してくれるものです。

 

ナヴィッリ地区でのアペリティーボ (写真: Cristina Gottardi @Unsplash)
ナヴィッリ地区でのアペリティーボ (写真: Cristina Gottardi @Unsplash)

 ミラネージ(ミラノに住む人々)が 「アペリティーボ 」を発明したことを知っていますか?

 ミラノのラウンジバーやカフェ、カクテルやグラスワイン、グルメなフィンガーフードが、イタリア国内外に新たなトレンドを生み出しています。「アペリティーボ」と呼ばれる晩酌の時間は、ミラノ流の儀式のようです。人々は夕方になるとオフィスを飛び出し、リラックスするために集います。この宴が何時間も続くこともあり、フルコースのディナーになることもあります。飲み物とフィンガーフードでしっかり飲んで食事をする「アペリチェーナ(食前酒ディナー)」になることもあります。スプリッツ(プロセッコ、アペロール、ソーダ)はどこでも飲める象徴的な食前酒ですが、独創的なカクテルもたくさんあります。

 

 ミラノと日本の間には、長きにわたる関係があります。イタリアで最初にオープンした日本料理店は、ミラノで1977年に開店しました!当初からミラネーゼは日本料理を好み、今日では週に1~2回はレストランで日本料理のランチやディナーを楽しむほど一般的な習慣となっています。

 

 

■ミラノの教育環境

 ミラノには公立、私立を問わず、多くの大学が存在します。これらの大学はイタリアで最高の大学として認められており、特に、1902年にボッコーニ氏によってミラノに設立されたボッコーニ大学は、QSによって社会科学と経営学の分野で世界の大学ベスト10(ヨーロッパでは4位)にランクインされています(ボッコーニのウェブサイトより)。

 ミラノの日本人学校は1976年に設立されました。この学校は日本人学生を対象とし、完全な日本人学校のプログラムを提供している一方で、イタリア語コースやほかのイタリア語学校との交流も行っており、イタリア人と日本人の学生の交流を図っています。

 

 

■貿易収支について

 そのほかにも、イタリアと日本にはたくさんの関連性が見られます。

 経済に関しては、貿易収支を見てみると、ミラノが属するロンバルディア州は、2022年の輸出総額は24億ユーロ、一方日本からの輸入総額は23億ユーロでした。主な対日輸出品目は、ファッション、医薬品、機械、金属製品となっています(出典:イタリア銀行、ロンバルディア州地域経済年次報告書、2023年6月)。

 

 

■イタリア人と日本人

ミラノのトラム (写真: Szymon Fischer@Unsplash)
ミラノのトラム (写真: Szymon Fischer@Unsplash)

 日本人とイタリア人は、美意識や価値観の点で嗜好が似ています。

 日本人は、ドゥオーモやレオナルドのフレスコ画「最後の晩餐」のあるスフォルツェスコ城などのミラノの典型的な観光地だけでなく、外国人観光客にはあまり知られていないミラノの隠れた美しさを深く探求することを好み、ミラノの質の高い生活を経験することが好きなようにみえます。

 同時に、ミラネーゼも、日本への旅行が大好きで、文化的な休暇を過ごす目的地として、日本は今後ますます一般的になっていくと思われます。世界中での観光やビジネス交流に影響を与えた新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の後、2023年以降、このような交流が盛んになることは容易に予測できます。

以上

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