クウェート ~砂漠の産油国クウェート~
中東・アフリカ
2018年07月30日
住友商事株式会社 クウェート事務所
杉山 雅彦
クウェートはアラビア半島の東北端に位置し、北はイラク、南と西はサウジアラビア、東はアラビア湾(ペルシャ湾)に接しており、年平均降水量は100ミリ以下の国です。
クウェートの特徴は何といっても真夏の暑さです。2016年7月には摂氏54度を記録し東半球での過去最高気温を更新しました。夏は猛暑(屋外に立っているだけで、体ごと蒸発してしまうような感覚)ですが、冬は涼しく、時にはコートを着込まなければ外出できない日もあります(暑さばかり強調されるので、この点、旅行者は要注意です)。
また、砂漠の国というイメージが先行しますが、市内はユニークなデザインを競い合うかのような高層ビルが立ち並ぶ大都会です。全長1キロメートル以上に及ぶ、多数の高級国際ブランドショップ、レストランを有する巨大なショッピングセンターもあります。エアコンで完全に温度調節された屋内は格好の散歩道で、筆者は休日に、高級国際ブランドショップを横目で見ながら、日ごろの運動不足の解消に励んでおります。
歴史的には、日本とクウェートの関係は良好であり、1990年の湾岸戦争のときには日本が約135億米ドルを援助として拠出、2011年の東日本大震災時にはクウェートが約500万バレルの原油を日本に無償提供しました。
健康的ということで、和食ブームが広がっており、40店舗以上の日本食レストランが開業しています。
また若年層を中心にアニメや漫画などのポップカルチャーにも関心が集まっており、クウェート人主催で、毎年数回のイベントが開催されています。日本語学習も盛んで、クウェート大学では日本語講座が開講されたり、日本大使館協賛で、毎年日本語スピーチコンテストが開催されたりしています。
2017年には、私も日本人会会長として、審査委員の一人としてスピーチコンテストに出席しました。皆さん、本当によく学習しており、鳥居に関するアラブ・イスラム的な考察をテーマにしたスピーチが大変興味深かった記憶があります。また、余興として、学生たちがアニメ「ちびまるこちゃん」を、完全に自分たちなりの日本語にアテレコし上演したのには驚きました。かなりの水準の出来でした。
最後に当社によるクウェートでの社会インフラへの貢献の話をします。
同国は天然の淡水資源に乏しく、飲料水や工業用水の供給を、海水を蒸留した上水に頼っています。経済成長に伴い、電力需要の伸びも旺盛です。
当社は、同国首都であるクウェート市の南約100キロメートルにあるアズール・ノース地区に約1,500メガワットの天然ガス焚き複合火力発電所及び約107 MIGD(日量約48万トン) の造水プラントを新たに建設、約40年間の長期にわたり事業運営(当社、フランスのエンジー社、クウェート地場企業との共同出資のIWPP=発電・造水事業)を行い、クウェート電力・水省に電気と水を供給していきます(2016年11月末に完工)。同国政府は、アズール・ノースプロジェクトを皮切りに今後もIWPP案件を推進していく方針です。
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