ボゴタ/コロンビア ~知られざる南米の優等生「コロンビア」のスペルは?~

2020年03月06日

アンデス住友商事会社
小出 あゆみ

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カルタヘナ近郊のビーチ、プラヤ・ブランカ(筆者撮影)
カルタヘナ近郊のビーチ、プラヤ・ブランカ(筆者撮影)

 "COLUMBIA"か"COLOMBIA"か、正解は後者です。では、この国がどこに位置し、どこと国境を接しているのか、答えられる方はどのくらいいるでしょうか。大抵「ブラジルの隣の麻薬などで危ない国」と思われているのが、残念ながら現状です。そこで本稿ではそんな不名誉を払拭し、この国の魅力を紹介したいと思います。

 

ボゴタ市内の歩行者用信号(筆者撮影)
ボゴタ市内の歩行者用信号(筆者撮影)

 半世紀にわたる政府と武装ゲリラFARC(コロンビア革命軍)との内戦は2016年の和平合意により終結し、当時のサントス大統領はノーベル平和賞を受賞しました。武装解除をはじめ和平プロセスが進められ、国内の治安は改善へと向かっています。実は思われているほど危険なこともなく、エリアを見極めれば夜は繁華街へ出かけることも可能です。そしてここはラテンの国、とにかく歌と踊りが大好きです。「食後にそんなに踊って大丈夫?」という心配もご無用。ここでは信号までもが"サタデー ナイト フィーバー!"

 

 

ボゴタ市内のビール専門店にて(筆者撮影)
ボゴタ市内のビール専門店にて(筆者撮影)

 「それでは首都ボゴタの夜に繰り出してみよう!」という気になっても、やはり南米で行き当たりばったりは怖い。そんな時には周りを見てください。近くに「BBC」というマークがあるはずです。どこかの国営放送かと思いきや、「Bogotá Beer Company」という2002年創業のビアバーで、店内には醸造設備があり、できたてのクラフトビールが楽しめることで人気を博し、現在50店舗を出店しています。

 

 

第二の都市メデジンの花祭り(足立伸二アンデス住商社長撮影)
第二の都市メデジンの花祭り(足立伸二アンデス住商社長撮影)

 さて、ボゴタから外に足を延ばしてみると、9つの世界遺産をはじめ、カリブ海、太平洋、アンデス山脈、アマゾン地域と多様性に富んだこの国には多彩な魅力があります。カリブ海に面するカルタヘナでは歴史的建造物群が世界遺産として登録され、カラフルで古風な街なかで、これまた色鮮やかな衣装に身を包み果物を売る女性たちの姿が印象的です。年末年始の繁忙期には国内外から人々が殺到し、街は一気にコスモポリス化します。この他、毎年8月のメデジン花祭りや2月頃のバランキージャ・カーニバルにも多くの観光客が訪れます。さらにコロンビアでは世界で最も多くの鳥が観察でき、その種類は約2,000種にも上ります[*1]

 

 

メデジン近郊の町グアタペの教会(足立伸二アンデス住商社長撮影)
メデジン近郊の町グアタペの教会(足立伸二アンデス住商社長撮影)

 経済面でも一見存在感の薄いコロンビアですが、実はこれまた非常に優秀で、GDP成長率は2000年以降、常にプラスで、2019年は3.3%を記録し、2020年は3.7%が目標です。 また南米主要国の中で唯一、債務不履行の経験がなく、海外からの投資額は南米3位です。2018年5月のOECD加盟以降、さらなる経済成長を期待して海外からの投資は一段と活発化しており、2019年は前年比+25.6%を記録(投資総額14,493百万ドル)。投資対象は、金融(20.6%)、石油(19.4%)、飲食・ホテル(14.7%)、鉱業(12.4%)など[*2]が主要分野です。

 日本とは2015年9月に投資協定が発効、2018年12月に租税条約を締結し、現在交渉中の経済連携協定の早期締結により、両国間での一層活発な経済活動が望まれます。

 

 まだまだ知られざる魅力があるコロンビア。そのポテンシャルを一度肌で感じてみてはいかがでしょうか。

 


[*1] https://birdsofcolombia.com/

[*2] https://www.banrep.gov.co/es/estadisticas/inversion-directa (2019年の実績を基に計算)

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