デイリー・アップデート

2024年5月20日 (月)

[マレーシア] マレーシア中央銀行は17日、2024年第1四半期(1~3月)のマレーシアの実質国内総生産(GDP)成長率(速報値)が前年同期比+4.2%だったと発表した。統計局の事前予想+3.9%を上回り、前期(2023年10~12月)の+2.9%(確定値)から1.3ポイント加速した。雇用と賃金の伸びが続いた結果、家計の消費が増加したことに加え、官民とも設備投資が好調となり、外需の拡大により輸出も回復した。中銀は、通年の実質GDP成長率見通しを前年比+4~5%と、3月時点から据え置いた。しかし、GDPの約60%を占める家計の消費は、近い将来に再び弱含む可能性が高い。食品と燃料の補助金削減が予定されているため、年後半にインフレが急上昇するとみられ、実質家計所得に大きな影響を与えるとみられるためだ。

[コンゴ民主共和国] 5月19日、同国の国軍は日曜未明に首都キンシャサでクーデター未遂事件が発生したと発表した。首謀者は難民として米国に在住していた少数野党の党首・クリスチャン・マランガ氏とみられる。同氏が率いた武装犯行グループは、フェリックス・チセケディ大統領の側近とされるビタル・カメレ副首相兼経済副大臣の邸宅を襲撃したあと、大統領官邸に移動。マランガ氏はその場で治安部隊により殺害されたと報じられている。カメレ氏、チセケディ大統領共に無事とみられる。逮捕された犯行グループにはマランガ氏の息子を含む複数の米国市民が含まれているとのこと。

[米国] ウォルマートによれば、ファストフード価格上昇により消費者が食料品を多く購入していることが同社の売上高増につながっているとしている。外食は自宅で調理するよりも約4.3倍の費用がかかることで避けられる傾向にあり、ファストフードの売上は減少傾向にある。ファストフードだけでなくファストカジュアルへ客足も鈍っているとの報告があり、悪天候の他、特に低所得者層で消費が低迷しているとの指摘も見られている。

[米国/中国] 米政府当局は、グーグルやメタ・プラットフォームなどが所有する海底ケーブルのメンテナンスを請け負っている中国国営の中英海底システム(S.B.Submarine Systems)の船舶に不審な動きがあり、セキュリティリスクを懸念しているとWSJ紙が報じている。SBSSの船舶は不自然に船舶位置情報のデータが途切れることがあり、海底ケーブルに盗聴や遠隔操作のための装置を設置したり、他社の高度な信号中継器の技術を調べたりしているのではと懸念されているとしている。

[イラン] 5月19日、イランのライーシ大統領とアブドラヒヤン外相を乗せたヘリコプターに何らかの事故が発生し、イラン北西部の山岳地帯で行方不明となっている。両氏はアゼルバイジャンとの国境沿いに建設された新たな水力発電ダムの落成式に出席した後(アゼルバイジャンのアリエフ大統領も出席)、国境地帯にある現地から近くの都市タブリーズまでヘリで移動中だった。事故当時現地は悪天候で濃霧が発生しており、雨風も強かった。現地には捜索隊が派遣されているが、現時点でヘリが発見されたという公式発表はない。

[米国/中東] 5月18~19日、サリバン米大統領補佐官(国家安保担当)は、サウジアラビアとイスラエルを訪れ、ガザ戦争とそれに伴う人道危機、今後の中東地域秩序などについて、政府関係者との会談を行った。米国はサウジアラビアとの安全保障条約や民生原子力協力協定の締結などに応じることの対価として、サウジアラビアには対イスラエル国交の正常化、イスラエルに対してはパレスチナ国家樹立への賛同を求めている。バイデン政権はガザ戦争対応をめぐり国内の左右両派から批判を受けており、外交的解決に向けた大きな構図を描くことで、政治的難局の打開を図ろうとしている。

[米国] 南部ジョージア州は2024年米国大統領選挙の帰趨を決する「激戦州」の1つであり、4年前の2020年大統領選挙では同州でバイデン氏が勝利した。だが、ジョージア州での各種世論調査結果でバイデン氏はトランプ氏に対して劣勢となっており、民主党関係者の間からバイデン再選のために不可欠であるジョージア州で敗北しかねないとの懸念が浮上している。そうした中、バイデン大統領自身とバイデン再選委員会は同州でのアフリカ系住民を標的に梃入れを強化している。

[ロシア] 5月17日、ロシア連邦統計局は今年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)が前年同期比で5.4%増えたと発表した。プラス成長は4四半期連続で、昨年10~12月の4.9%から成長率が拡大した。ウクライナ侵攻長期化に伴う軍需が拡大したとみられ、小売りなども伸びた。

[フランス/ニューカレドニア] 1853年以来、フランス領のニューカレドニアで、5月13日から暴動が発生している。5月20日の仏高等弁務官事務所の声明によると、現在もフランスの憲兵部隊や警察部隊などによる治安維持活動が継続中。暴動のきっかけは、フランスによるニューカレドニアの選挙制度改革。推定24,000名の仏系住民に地方参政権が与えられることから、独立賛成派が反対。なお、ニューカレドニアはこれまで3回独立の是非を問う住民投票が行われ、全て反対派が優勢の結果となっている。

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