デイリー・アップデート

2024年5月16日 (木)

[ナイジェリア] 5月15日、国家統計局(NBS)は4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比で+33.69%と発表した。3月の+33.20%からさらに上昇し、1996年以来の高水準を更新している。引き続き、食品のインフレ率が前年同月比+40.53%で最大の寄与度となった。国際通貨基金(IMF)は5月9日、4条協議を終了し、インフレの要因となっているボラ・ティヌブ政権による燃料補助金の廃止、二重為替レートの是正といった改革断行を評価。インフレ率は年末に向けて24%程度に収束していくと予測した。さらなる金融引き締めに向け、ナイジェリア中銀は5月20日~21日に開催する金融政策委員会(MPC)で利上げを行うとの見方が強い。

[インド/イラン] 5月13日、インドとイランは、イランのイラン南部チャバハール港の運営に関する長期(10年間)契約を締結した。この契約は、インドにとって海外初の港湾運営事業であり、インド港湾グローバル社とイランの港湾海事機構との間で結ばれた。港湾機能強化に向けた将来的な投資となり、インドとロシアを結ぶ「南北国際輸送回廊(INSTC)」の主要拠点としての役割も果たす見通しであるため、3国間の経済連携の強化にも寄与することになる。INSTCは、インドとイランを海路、イラン、アフガニスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、ロシアを陸路で結ぶ。

[米国] 労働省によると、4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.4%だった。上昇率は市場予想通り、3月(+3.5%)から小幅に縮小した。前月比の上昇率は+0.3%と3月(+0.4%)から減速し、市場予想(+0.4%)を下回った。また、商務省によると、4月の小売売上高は前月比0.0%で横ばい、3月(+0.6%)の増加ペースから減速した。これらから4月の物価上昇率の縮小と個人消費の減速が確認され、市場では9月に利下げが開始されるという期待が高まった。

[シンガポール] 5月15日、リー・シェンロン首相が退任し、ローレンス・ウォン副首相兼財務相が首相に就任した。シンガポールの首相交代は20年ぶり。新内閣の陣容は5月13日に発表された。ガン・キムヨン貿易産業相が副首相を兼任し、リー首相が上級相に就任する以外は閣僚に変更はなかった。ウォン新首相は引き続き財務相を兼任する。本格的な内閣改造は次期総選挙後に行われる見通し。

[イスラエル/パレスチナ] 5月14日、イスラエルは76年目の独立記念日を祝い、その翌日の15日にはパレスチナ人たちが76年目の「ナクバの日」を悲しんだ。「ナクバ」とはアラビア語で「大惨事」の意味。1948年の5月14日にイスラエルが建国を宣言し、現在のイスラエルに住んでいた約75万人のパレスチナ人が故郷を追われ難民となった。現在パレスチナ難民はパレスチナ自治区内のみならず、ヨルダンやシリア、レバノンなどの周辺諸国にも住んでおり、その数は600万人に膨れ上がっているが、依然問題解決の糸口は見えない。

[米国/ウクライナ] 5月14日、ウクライナを訪れたブリンケン国務長官はキーウ市内の大学にて講演し、米国と国際社会によるウクライナ支援が揺るぎないことを改めて強調した。軍事、経済、そして民主社会の構築に向けた対ウクライナ支援の現状と今後について発言し、日本の岸田首相の発言や、日本による発電機供給などについても言及した。ウクライナの自立には国際社会が果たす役割が大きいことを示唆した演説でもあった。国務長官はウクライナ大統領、首相、外相ともそれぞれ会談を行い、戦況や軍事・経済支援について協議を行った。

[米国] バイデン、トランプ両陣営は大統領候補テレビ討論会を6月27日にCNN主催、9月10日にABC主催で2度開催することで合意したとそれぞれ5月15日に発表した。従来までは9月と10月に開催されるのが慣例となっていたが、かなり前倒しされるかたちでの大統領候補テレビ討論会実施の合意は極めて異例である。6月27日はG7首脳会議直後であり、9月10日は事前投票の開始直前のタイミングとなり、2回の討論会開催時期はバイデン陣営の意向が強く働いている。

[ウクライナ/ロシア] ウクライナの北東部ハリコフ州でロシア軍の攻勢が強まるなか、ゼレンスキー大統領は今後数日間に予定していた外遊をすべて延期した。同氏は5月17-18日にスペインとポルトガルに行く予定だった。ロシア国防省は5月15日、ハリコフ州と南部ザポロジエ州で計3集落を新たに掌握したと発表し、攻勢を強めている。

[スロバキア] 5月15日にスロバキア中部で行われた閣議後に、フィツォ首相が銃撃を受けるという襲撃事件が発生した。現在は容態は安定しているとみられる。政府は、リベラルなメディアや野党政治家による誤った見解が原因の政治的な動機による犯行との見方を発表した。EU各国やEU機関からは、政治家に対する攻撃は民主主義への攻撃と非難している。

[米国/中国] 5月13日、スイス・ジュネーブで人工知能(AI)に関する米中政府間対話の第1回会合が開催された。米国からはホワイトハウス、国務省、商務省の高官、中国からは外交部、科学技術部、発展改革委員会、工業情報化部、国家インターネット情報弁公室などの高官が参加した。米国が中国にAIの悪用に関する懸念を表明したのに対し、中国は米国によるAI分野における制限と弾圧に反対したとしている。合意などは発表されなかったが、両国とも、AIに関する対話を継続していくことを確認した。

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