インドネシアの石炭減産
デイリー・アップデート
2026年02月06日
経済部
2025年の世界石炭需要は過去最高水準に達したが、石炭の海上貿易量は減少に転じた。背景には、中国・インドの国内石炭生産拡大と、代替エネルギーの活用がある。中国の石炭生産は過去最高の48.3億トンに達したが、石炭火力発電量は約10年ぶりに減少。インドも生産拡大と再生可能エネルギー導入を進め、2025年は火力発電量が減少した。中国沿岸部では輸送コストや品質面から輸入炭の競争力が依然として高く、インドでも沿岸部火力や非電力用途で輸入依存が続くため、需要が消失するわけではない。それでも中長期的には石炭の海上貿易にとっては逆風となる。
一方、大きな不確定要因が最大輸出国であるインドネシアの供給政策だ。2025年に価格低下・輸出減少で石炭関連の歳入が減少したのを受け、政府は2026年に石炭減産による価格押し上げを図る。既に、2026年生産計画(RKAB)について大幅削減を示唆しているとされ、業界に混乱が広がっている。生産削減幅は40~70%に及ぶ可能性が指摘され、企業側は強く反発している。
生産割当を巡る不透明感を受け、一部鉱山会社はスポット輸出を見送り、供給は一時的に逼迫している。採掘計画や船腹手配はRKABを前提に組まれており、急な変更は操業全体に支障をきたす。大規模な減産を行っても価格上昇に至らなければ、雇用喪失やシェア低下のリスクとなるほか、税収・企業収入に逆効果との懸念もある。
インドネシアは世界最大の一般炭輸出国であり、その供給制限はアジア市場に直結する。ロイターによれば、フィリピン、バングラデシュ、マレーシア、ベトナムなどはインドネシア依存度が極めて高い。供給減少は代替炭の確保などを通じて他の炭種の需給や価格にも影響し、最終的に電力コスト上昇を招く可能性がある。
現時点では割当削減は最終決定には至っていない。割当削減は主に中小生産者が対象で、大手への影響は軽微という一部報道もあることから、動向が注目されている。
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