デイリー・アップデート

2024年2月5日 (月)

[世界] 国連農業食料機関(FAO)が発表した2024年1月の食料価格指数(輸出量/額により加重平均した価格指数、2014-16年平均=100)は118.0ptと、2021年2月以来の水準まで低下。穀物・食肉価格指数低下が砂糖指数の上昇を相殺。また穀物需給予測では、2023/24年度の世界の穀物生産量予測を上方修正し、過去最高の28億3,600万トンと推定。期末在庫率(年度末在庫の消費に対する割合)は31.1%に上昇するとしている。

[ナイジェリア] 2月1日、ナイジェリア中央銀行の発表によると、同国の通貨ナイラの対米ドルの公定為替レート(CBNレート)は1ドル=1,413ナイラで終値を付け、歴史的に最も低い水準となった。今回のナイラ急落は1月29日に公定レートの算出を行うFMDQグループが、終値の算出方法を変更したことによるもの。同変更以降、対ドルでナイラは約4割価値を落としているが、これは2023年以降、中銀が強化している変動相場制への移行に即したものであり、公定レートと実勢レートとの乖離が縮小していることを示唆している。しかし、公定レートの急落により今後さらにインフラ圧力が高まる恐れがある。

[ブータン] 1月9日、ツェリン・トブゲイ氏が率いる国民民主党は、国民議会(下院)総選挙で勝利し、1月28日に同政権が発足した。同氏にとって通算2期目の首相職となる。選挙は平和的に実施された。最大の課題は、新型コロナウイルス感染症拡大によって打撃を受けた経済の立て直しで、特に観光業と若者の雇用不足が焦点となる。ブータンは、経済や軍事面でインドと緊密な関係を維持しており、この親インド外交が継続される方針である。インドと隣接する南部の国境都市にカジノを建設したり、6つの大規模水力発電開発を進めたり、インドと接続する南部ブータンの高速道路と鉄道を建設するなどの政策が打ち出されている。

[米国] 労働省の雇用統計によると、1月の非農業部門雇用者数は前月比+35.3万人と増加した。11月の+33.3万人に続き、大幅な増加になった。失業率は、12月から横ばいの3.7%と低位を維持している。また、平均時給は前年同月比+4.5%となり、12月から上昇率を拡大させた。前月比は+0.6%となり、12月の+0.4%から加速した。雇用・所得環境が市場の想定以上に底堅いという見方から、市場では利下げ観測がやや後退した。

[米国] 2月4日、上院が移民制度改革法案を公表した。2023年秋以来の超党派協議の成果で、移民制度改革に加え、ウクライナなどへの対外支援予算も含めた法案となっている。バイデン大統領は、既に超党派案賛成を表明しているも、野党・共和党が過半を押さえる下院では早くも反対の声が上がっている。協議に参加した共和党議員は、従来よりも厳格な移民規制が盛り込まれており、この機を逃すべきではないと主張。3月には連邦暫定予算の失効期限も迫っており、移民制度改革、対外支援、そして選挙を見据えた政局にも絡んだ議会闘争が繰り広げられるとみられる。

[米国] 2月3日、2024年民主党大統領候補指名獲得争いの幕開けとなる、南部サウスカロライナ州予備選挙が実施され、現職バイデン大統領が圧勝した。民主党全国委員会(DNC)は、バイデン氏の意向を反映し、2024年から同党大統領候補選出プロセスの順番のトップを、アイオワ州党員集会ではなく、サウスカロライナ州予備選挙に変更しており、同州に多い黒人有権者に対する重視姿勢が鮮明となっている。他方、共和党のトランプ前大統領も、黒人票重視姿勢を示している。

[中国] 中国のオンライン求人プラットフォーム『智聯招聘』によると、2023年第4四半期、中国主要38都市の平均月給は1.3%減少し、四半期ベースでは2016年以来最大の落ち込みとなった。かつては、上級管理職であれば2~3割の昇給を求めての転職がよく見られたが、現在は高給な職より「そこそこの給与」でも安定した職への転職が増えている状況も、その原因の一つとしている。また、中国都市部の雇用の8割以上を生み出す民間企業(多くは中小企業)が、景気低迷の打撃を受けていることも大きな要因と考えられている。

[トルコ] 2月2日、トルコ中央銀行のエルカン総裁が辞任し、2月3日、カラハン副総裁が新総裁に就任した。エルカン氏は、2023年6月の総裁就任から約8か月での辞任となった。同氏とその家族をめぐるスキャンダルについて、SNSなどで同氏への攻撃がエスカレートし、辞任に追い込まれたとみられる。エルカン氏は、それまでエルドアン大統領が続けてきた低金利政策を180度転換し、当時8.5%に抑えられていた政策金利を45%まで引き上げた。カラハン新総裁は、これまでの経済プログラムを継続する方針を発表した。

[ウズベキスタン/中国] 1月23日~25日にかけて、ミルジヨエフ大統領は中国を公式訪問し、習近平国家主席や李強首相との会談を行った。会談後には、共同声明を含む環境保護、科学技術協力、電気自動車製造、観光拡大などに関する16の文書に、2国間で調印が実施された。ミルジヨエフ大統領はそのほか、中国の自動車メーカー、比亜迪(BYD)のグローバル事業本部を訪問し、ウズベキスタンにおけるBYD完成車合弁工場の生産開始式にオンラインで出席した。

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