内閣支持率

2022年09月14日

住友商事グローバルリサーチ(株)代表取締役社長
住田 孝之

出典:首相官邸HP(https://www.kantei.go.jp/))

 岸田政権の支持率の低下が頻繁に報じられています。NHK調査は8月8日に、支持率が7月の59%から46%に低下したと報じました。同月21日の毎日新聞では52%が36%に。その後朝日新聞では7月57%、8月47%、9月41%、JNNと朝日新聞では、不支持が支持を上回りました。特にこのところ支持率低下の主要因のように言われているのが旧統一教会問題、安倍元総理の国葬です。

 

 旧統一教会問題は、次々と議員との関係が明確になることで、本件についての姿勢や説明が不適切との印象を持っている人が多いことは、調査からも明らかです。国葬についても、説明不足を感じている人が多いことは調査の結果からも間違いありません。しかし、それらが直接的な支持率低下の原因かというと、なかなか判然としません。少なくとも8月初旬のNHKの調査時点では、これらの要素よりも急増するCOVID-19新規感染者の数に不安を感じた人が多かったと思われます。安倍氏の逝去もあって参議院選挙で自民党が勝ちすぎた、勝たせすぎたという日本人独特のバランス感覚も働いた面もあるでしょう。より大きそうなのは、円安やロシア・ウクライナ問題の影響もあって、ガソリン価格、食料品をはじめ物の値段が上がり、生活がさまざまな形で圧迫されているのに、策はないのか、という多くの人の実感ではないでしょうか?確かにガソリン代への補助や低所得層への給付金など物価高騰対策はとられているのですが、インフレの原因に対して有効な手を打てていないことを多くの人たちが見透かしているのかもしれません。

 

 支持率低下の要因は調査のタイミングによっても変化するだけに、国民の声に真摯に耳を傾けることを標榜する岸田政権としては、国民の真意を推し測りながら、適切なタイミング、内容で対応することの難しさを痛感していることでしょう。ビジネスを含め何をするにも、受け手や生活者が、いつ、何を感じるか、共感を得られる打ち手は何かという大事な点を忘れてはならず、それをうまくマネージすることが成功の秘訣であるということを、改めて感じます。

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