Chat GPT

2023年02月28日

住友商事グローバルリサーチ(株)代表取締役社長
住田 孝之

 米国の新興企業Open AIが昨年11月に公開したChat GPT。ちょっと使ってみると、「ここまでできちゃうんだ!」と素直に思う人が多いのではないでしょうか? どんなテーマでも、質問に対してしっかり整理して返答してくれます。一部の専門家は、2045年と言われていたいわゆる「シンギュラリティ」が部分的にせよ、既にここでは実現していると評しています。確かにそれほどの優れものです。

 

 優れものの宿命かもしれませんが、批判的なコメントも多数出ています。あれができない、この答えは間違いだ、質問を続けていくと詰まる、などなど。人間の領域が脅かされる、あるいはその事実を認めるのが怖いのでしょうか? 勘違いしない方がいいのは、Chat GPTも進化の途上にあるということです。いくら批判しても、いや、批判を浴びるほど、どんどん進化してさらに優れものになっていく、そういうものです。国内の大手紙が批判的な特集記事を出した結果、一部では大炎上したというのも、そういうことがわかってる人も多いということで、ある意味健全なことです。

 

 一方、中国ではアリババやテンセントに対して、Chat GPTのサービス提供を停止するよう当局が指示したと報じられています。Chat GPTが質問に対して、習近平氏への批判的な返答をしかねないから、という理由だと言われています。AI時代らしいイタチごっこだと思いますが、習近平氏への肯定的なコメントしかしないAIが登場すれば、それは停止されないということなのでしょうか? 興味深いところです。EUのアプローチも似たようなところがあります。欧州委員会の域内市場担当委員が、Chat GPTのようなアプリケーションの急激な人気上昇とそれに伴うリスクに対し、AIを規制するルールを至急制定する必要があると述べています。

 

 「イノベーション」が好きな私としては、新しいものの登場に対し、批判を浴びせたり、規制で何とかしようとしたりすることは無駄のように思えてなりません。自分で触ってみて、実感して、それに支配されることを怖がるのではなく、逆に自分のものにして楽しみながら使いこなす、そんな姿勢が大事です。嬉しいことにSCGRでは、既に何人かの人たちが情報収集の一部として使い始めています。

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