暑さどこまで
社長コラム
2024年09月10日
住友商事グローバルリサーチ(株)代表取締役社長
住田 孝之
記録的な猛暑となっている暑い夏がなかなか終わりません。「きっと今年の夏はこれからの夏の中では一番涼しい夏だった、ということになるんですよ」と昨年ある人に言われましたがそのとおりですね。その暑い夏、世界の政治も市場も含め、いわゆる夏休みシーズンとは思えないほど世界中でホットなニュースが目白押しでした。
まずは経済面。ドルは対円で7月はじめの高値から1か月足らずで約20円の下落。8月2日に2,200円と歴代二番目の下げ幅となった日経平均は、5日に4,400円と過去最大の下落。何とか8月末までには下落分の3分の2を取り戻し、月間の値幅は過去最大の7,100円超と荒っぽい展開になりました。これに対してNYダウは、8月初に大きく下げたものの回復は早く、8月末には最高値を更新。一方のハイテク系NASDAQは戻しきれず、9月3日にはエヌビディアが一日で時価総額を約40兆円下げるというショッキングなニュースもありました。ようやく世界的なインフレは収束傾向にあり、8月には英国中銀が4年5か月振りの利下げを行いました。9月は米国の番になりますが、ここにきて下げ幅が大きくなるとの観測も出てきています。確かに足元の世界経済の勢いは鈍化傾向にあり、中国の不振もあってインフレは沈静化してきたものの、中期的には戦争、分断、温暖化対策、移民対策強化による労働力不足、ポピュリズム政治による財政支出増などコストを上げる要因ばかりが目につき、いつ再びインフレに戻るのか心配なところです。
政治面では、トランプ氏が狙撃されて共和党が一気に勢いを得たかと思えば、バイデン大統領が撤退を表明。民主党の大統領候補となったハリス氏が現時点ではトランプ氏を上回る支持を得ているとの分析もあり、前回バイデン大統領が大失速した大統領候補の討論会などの結果が注目されます。そんな中、ロシアのプーチン大統領はハリス氏を支持するような発言をし、真意がどこにあるのか気になるところです。日本では8月14日に岸田総理が総裁選不出馬を表明して、今週告示される自民党総裁選は10人ほどの候補者での激戦の様相を呈し、不思議と内閣支持率も回復傾向になっています。立憲民主党の党首選も告示されて4人が立候補。いずれも残暑の熱い戦いになりそうです。
二つの戦争も引き続き緊張状態が継続。イランとイスラエルが一触即発の状態になったり、ウクライナが8月中旬以降ロシア西部への攻撃を実施して、ロシアとしては第二次世界大戦後初の本土侵略に危機感を強め、ウクライナ東部での攻勢を強めたりするなど、結果として戦争は長期化しそうです。
地震、台風などの天災もあり、このホットな季節はまだまだ続きそうですが、ビジネスに健康に安全に、備えをしっかりしていきましょう。
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