「2050年に向けた産業メガトレンド」について

調査レポート

2017年08月16日

住友商事グローバルリサーチ 戦略調査部
田上 英樹

戦略調査部 メガトレンド担当部長 田上 英樹
戦略調査部 アナリスト 濱西 由実

 

「2050年に向けた産業メガトレンド」対外公表版(PDF 1.5MB)
「2050年に向けた産業メガトレンド」対外公表版(PDF 1.5MB)

 住友商事グローバルリサーチ㈱ 戦略調査部では、住友商事㈱のシンクタンクとして、従来、業界分析やメガトレンドの分析を実施してきた。

今般、それらの分析結果を纏め、「2050年に向けた産業メガトレンド」の対外公表版を作成し、公表することにした。

これは住友商事㈱とは独立して作成したもので、あくまでも一つの見方として、参考になればと考えている。

 

内容は、以下の3部構成になっている。

3つのマクロトレンド

2050年に向けた世界観

個別分野の産業メガトレンド

 

 

1.「3つのマクロトレンド」

 最初に、2050年に向けた変化のイメージを持つため、定量データによる「3つのマクロトレンド」を紹介する。「3つのマクロトレンド」とは、一般的に基本とされる「人口」・「所得」に、第3の視点として「都市化」を加えたものである。本章のメッセージとして、今後も「人口」の増加が顕著な新興国・途上国を中心に需給が逼迫し、引き続き「エネルギー・資源・食料・水・インフラ」が不足すること、それらを補う、つまり世界中の人々に安定・安価に届けることが極めて重要であることを指摘する。一方で、「所得」については、今後も先進国が重要な位置を占めること、「都市化」の観点では、引き続き先進国での整備のニーズが大きいことも併せて指摘する。

 

 次に、住友商事グローバルリサーチ㈱として作成した産業メガトレンドの全体像を紹介する(10ページ)。これは、人口・所得・都市化の進行を中心軸として、その上側に、「需給変化に伴う当面のメガトレンド」、即ち、上述の「エネルギー・資源・食料・水・インフラ」の不足に伴うメガトレンドを挙げ、中心軸の下側に、「構造変化に伴う中長期のメガトレンド」、即ち、「地球温暖化・高齢化・IoT化・世界のフラット化・第三次産業化」を挙げ、その中に、各領域における今後のキーワードを入れたものである。

 

 下側の「構造変化に伴うメガトレンド」については、そのキーワードを見ると、既に実現して久しいものから、今後実現が想定されるものまで様々である。今後、これらの一つ一つが果たしていつ、どこまで進化していくか、注目されているのではないだろうか。これらの将来については、現時点では『誰にも分からない』ところはあるが、少なくとも、こうした構造変化の底流にあるものが何なのかを掴むことで、それぞれのキーワードの実現の可能性や時期の想定が、より具体的に議論できるようにすることは重要ではないだろうか?

また、下側の「構造変化に伴うメガトレンド」が進むことによって、上側の「需給変化に伴うメガトレンド」も影響を受けることが考えられる。

次章では、「2050年に向けた世界観」と題し、「構造変化」の底流にあるものを整理し提示することを試みている。

 

 

2.「2050年に向けた世界観」

 先が見えないと言われる中、持てるリソースをどこに配分し、新展開の勝負をしていくか、戦略を構築することは非常に困難である。本章では、時期の設定を「2050年に向けた」として敢えて限定を避ける一方で、極力シンプルなストーリーで大きな流れを指摘し、それらについての今後のウォッチポイントを示すことで、議論を一歩前に進める一助となればと考えている。

 

 要は、「上述の構造変化をもたらす原因を2つに絞って考えてよい。それは、技術面におけるIoT/AIの進化、社会システム面におけるシェアリング・エコノミーの進化だ」ということである。

 

 なお、一般に未来予測を試みる際、現在の技術進歩の速度を前提とした線形的なイメージで描かれる傾向がある。一方で、「ムーアの法則」等のように、技術進歩はしばしば指数関数的に起こることが知られている。ある一点を境に爆発的に変化する可能性があることを認識し、それに備える必要があると考えられる。

 

これらを踏まえた「2050年に向けた世界観」のストーリーは以下の通りである。

①IoT/AIは引き続き進化し、更に生活のあらゆる場面に浸透する

② IoT/AIの進化で、シェアリング・エコノミーが大幅に加速する

③ シェアリングにより、所有から使用へのシフトが進むと、製品の価値以上に「どう効率的に利用するか」にビジネス上の価値の源泉がシフトする。「要素技術」より「ビジネスモデル」が重要になり、求められる力は「社会システムを創造する力」になっていく

④ シェアリング・エコノミーが進み、サーキュラー・エコノミーが実現していくと、ビジネス面での「エコロジー=エコノミー」が成立しやすくなる。今までは、エコロジーと資本の論理は対立しがちであったが、それが同じ方向を向くために、世界が大きく変わる可能性を持つ

⑤ その世界では、ビジネスの主役の新旧交代や、経済価値の測り方の変革も必要になる可能性がある

 

こうしたストーリーの中で、我々日本企業は、果たしてどのようにして世界に、社会に貢献していけばよいのか、それを今まさに考えていくことが求められているのだろう。

 

 

3.個別分野の産業メガトレンド

 本章では、より具体的なイメージとして、「モビリティ」・「ヘルスケア」・「アグリテック」を採り上げ、説明を試みている。24ページに、口頭での説明用のイメージ図を掲げた。

 

 

 

 最後に、この産業メガトレンドは、住友商事グローバルリサーチ㈱として初めて対外発信を試みるもので、プレゼンテーション資料の公開のみでは、説明し切れていないところが多々ある。

我々としては、こうした観点での意見交換・ディスカッションの機会があれば、今後も幅広く持ちたいと考えている。本資料を作成する中で、すでに日本を代表する先進企業の関係各位とディスカッションをした経緯もあり、引き続きメガトレンド分析を行う予定である。

 

調査をする中で出会った印象的な言葉がある。

「最高の未来予測は、自ら未来を創造することである」

 

未来は我々自身が考えて作っていく。それが重要な視点だろう。

本件調査結果が、少しでも皆さまの新規事業や経営戦略立案の一助となればと願うばかりである。

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