デイリー・アップデート

2025年7月15日 (火)

[カメルーン] 

7月14日、ポール・ビヤ大統領は自身のSNS「X」上で、10月12日に実施される大統領選への出馬の意向を表明した。92歳のビヤ大統領は現職の国家元首としては最高齢で、1982年から7期・43年にわたり大統領職を務めている。1979年から46年間、大統領職を継続している隣国・赤道ギニアのオビアン・ンゲマ氏に次いで現職では2番目に長い。健康不安説・死亡説などもたびたび報じられてきたビヤ大統領だが、10月の選挙で勝利すれば、さらに7年の任期を得ることになり、任期満了時には100歳間近となる。現在のカメルーンは仏領カメルーンと英領カメルーンとが合併する形で1961年に独立したが、これまで大統領職に就いたのはビヤ氏を含め史上2人しかいない。

 

ビヤ氏による強権的な政治、野党の弾圧、言論の封鎖、政府による汚職などはたびたび国内外から批判を集めてきた。前回2018年の総選挙では目立った対抗馬はおらず、ビヤ氏は71.28%の得票で圧勝した。しかし、今回の大統領選では、30年以上にわたりビヤ氏の勝利を支えてきたベロ・ブーバ・マイガリ元観光相や、イッサ・チロマ・バカリ元政府報道官も出馬を表明し、ビヤ氏への対決姿勢を示している。両氏はカメルーンの総人口3,000万のうち約4割を占めるイスラム教徒が多い北部3州(極北州、北部州、アダマワ州)に地盤を持っていることから、キリスト教徒が多い南部州出身のビヤ氏はこれまでよりも得票を伸ばせない可能性がある。一方で、国土の2割、人口の2割を占める英語圏(旧英領)の北西州および南西州は分離独立を求めて仏語圏にある中央政府と内戦状態にあり、選挙活動や投票すら困難な状況にある。また、北部ではイスラム系過激派組織ボコ・ハラムが民間人への攻撃も続いている。

 

サヘル地域の南端にあり、ギニア湾にも面する戦略的な位置にあるカメルーンだが、国内外に多くの火種を抱え、ビヤ氏の抑圧的な長期政権や原油収入の減少を背景に長引く経済の低迷に対する国民の不満も高まっている。仮に選挙結果が接戦となったり、また政権交代が実現したりする場合は、国内がさらに混乱し、周辺地域の情勢不安を招く恐れがあるとの見方もある。

[日本] 

日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」(2025年6月)によると、1年後に物価「上昇」を予想する回答割合は85.1%だった。前回3月調査(86.7%)から小幅に低下した。 1年後の予想物価上昇率(平均)は12.8%で、前回(12.2%)から小幅に拡大し、2006年9月以降の最高を更新した。

 

中央値は10.0%で前回から横ばいだった。 また、5年後の物価見通しでは、「上昇」が83.1%であり、前回3月(83.5%)から小幅に低下した。 平均上昇率は9.9%で、前回(9.6%)から小幅に拡大した。中央値は5.0%で前回から横ばいだった。 コメ価格などの物価高騰に直面して、消費者の物価の先高観が続いている様子がうかがえる。

[米国/豪州/台湾] 

7月12日、フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、米国防総省ナンバー3のエルブリッジ・コルビー政策担当次官が、米中両国が台湾をめぐって戦争状況になった場合、日本と豪州にどのような役割を果たせるのか明確にするよう迫ったと報じた。

 

この報道を受け、豪州のコンロイ国防産業相は、7月13日に豪州放送協会とのインタビューで、仮定の話はしないとしつつ、豪州はいかなる紛争に対しても事前に兵力提供を約束することはしないとして、「紛争に軍を投入するかどうかは、その時の政権が決定する」と述べた。

 

アルバニージー豪首相は、習近平国家主席や李強首相との会談を含む6日間の中国訪問のため、6月12日に中国に到着したが、FTの記事に関する質問を何度もはねつけつつ、豪州が国防費を増額していることを指摘し、AUKUSは3か国(米英豪)すべてに利益をもたらすとの主張を繰り返した。(コルビー国防次官は、AUKUSの意義について、”アメリカ・ファースト”に合致していないと疑義を呈したことがあり、現在見直しが進められている。)

 

また、ある記者がアルバニージー氏に対して「米国自身が”戦略的曖昧”戦略をとっているのに、(同盟国に対して関与の)確約を求めるのは妥当なのか」と質問したのに対し、同氏は「あなたは自身で質問に答えている」と答え、さらに質問を重ねられると「あなたには分かっていると思います」と述べた。

[米国] 

米国のアイスクリーム供給のおよそ90%を占めるメーカー各社は、今後3年以内に自社製品から人工着色料を除去することを約束したと、連邦保健当局が発表した。潜在的な健康影響への懸念からトランプ政権の要請に応じて、合成着色料を除去する食品メーカーによる最新の自主的取り組みとなる。ここ数週間で、ネスレやクラフト・ハインツ、ゼネラル・ミルズなどの企業も人工着色料を食品から排除すると発表している。

 

国際乳製品協会によると、約40社のアイスクリームおよび冷凍乳製品メーカーが、2028年までに7種類の石油由来色素を自社製品から除去するとしている。対象は食用赤色3号、食用赤色40号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色5号、食用黄色6号。専門家は「色素の除去や変更だけが必ずしも健康的な選択肢になるわけではないが、それでも適量で摂取すべき食品だ。」と述べている。

 

ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健長官は、これらの着色料を批判している。また、連邦当局は食品からの除去をメーカーに強く求めており、これらの代わりに、果汁や植物エキス、その他の原料から作られた着色料を使用すべきだと主張している。合成着色料を禁止する一方で、FDAは最近数か月で新しい天然着色料を承認しており、この月曜にはガーデニアの果実から作られた新しい青色が発表された。同庁によると、ガーデニア(ジェニピン)ブルーはスポーツドリンクやキャンディー、その他特定の食品への使用が認められている。

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