デイリー・アップデート

2023年11月1日 (水)

[パキスタン] 10月30日、パキスタン国家銀行(SBP)の金融政策委員会(MPC)は、政策金利を22%に据え置くことを決定した。この決定は、2023/24年度(2023年7月~2024年6月)の後半(2024年の前半)からインフレ圧力が緩和されるとの想定に基づいており、国際通貨基金(IMF)の訪問と3億ドルのスタンバイ協定(SBA)のレビューを控えていたことなどを踏まえての判断だった。しかし2023年9月の消費者物価指数は、前年同月比+31.4%と、8月の+28.4%から加速している。特に食料品、交通、住宅および公共料金の価格が大幅に上昇したことが背景となっている。

[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、2023年第3四半期(Q3)のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比▲0.1%となり、2022年Q4以来、3四半期ぶりのマイナスになった。国別にみると、ドイツが▲0.1%とマイナス成長で、イタリアは+0.0%、フランスは+0.1%、スペインは+0.3%にとどまった。また、10月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は、前年同月比+2.9%だった。上昇率は6か月連続で縮小し、2021年7月以来の低水準になった。

[中国] 金融政策・金融改革の中期方針を決める5年に一度の中央金融工作会議が、北京で10月30~31日に開催された。会議の名称が「”全国”金融工作会議」から「”中央”金融工作会議」へと変更されたことにも示されている通り、金融政策に対する党の指導を強化する姿勢が鮮明になっている。地方債務リスクを予防・解決する長期的メカニズムを確立することが強調されたが、詳細は明らかでない。今後より具体的な政策が打ち出されることになるものの、政策自体に抜本的な問題解決案は示されず、期待を抱かせる内容ではない。

[米国/アフリカ] 10月30日、バイデン政権は、ウガンダ、ガボン、中央アフリカ共和国、ニジェールの4か国をアフリカ成長機会法(AGOA)に基づく特恵待遇の適用外とする旨、議会に事前通告を行った。人権侵害やクーデター勃発などを決定の理由としている。AGOAはサブサハラ諸国に対して、一定の条件を満たす場合、無関税で米国に輸出することを認めるもの。2022年はブルキナファソがAGOA不適格と認定されている。ウガンダを含む4か国が、2024年1月からAGOA特恵の対象外となる。

[アルゼンチン] アルゼンチンは過去数年間で最も深刻なガソリン、軽油等の燃料不足に直面している。燃料不足はアルゼンチン全土へと広がっており、11月19日に投票が行われる大統領選挙決選投票で、経済運営を担当している与党連合の大統領候補・マサ経済相の選挙キャンペーンへの影響が注目されている。決選投票でマサ経済相と直接対決するリバタリアンの右派政治家・ミレイ下院議員にとっては、この燃料不足は、マサ経済相に対する批判材料となる形となる。

[ウクライナ/ロシア] ウクライナ東部ドネツク州の激戦地アウディイウカ周辺では、ウクライナ・ロシア両軍の攻防が続いている。アウディイウカは、ロシア軍が占領しているドネツク市に近い。ロシアがここを押さえれば、ウクライナはドネツク州でのさらなる前進が難しくなる。しかし、英国防省によると、ロシア軍は死傷者が非常に多く、安易に前進ができない状況が続いてるもよう。

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