デイリー・アップデート

2023年12月11日 (月)

[お休みのお知らせ] 2023年12月12日のデイリーアップデートはお休み致します。

[パキスタン] 統計局(PBS)によると、11月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+29.2%となり10月の+26.8%を上回った。ガス・食品価格の上昇が全体を押し上げた。石油・ガス規制局(OGRA)によるガス料金改定の通知で、11月1日から特定の消費者に対するガス価格が約200%引き上げられた。この決定は、国際通貨基金(IMF)のスタンドバイアレンジメント(SDA)の下で、ガスと電気部門で拡大している債務に対処するために行われた。一方、食品価格の上昇は、輸出の増加で国内への供給が減ったことが影響したとみられる。

[米国] 米労働省によると、11月の非農業部門雇用者数は、前月から19.9万人増加し、10月の15.0万人増を上回った。失業率は3.7%と、約2年ぶりの高水準だった10月から0.2pt低下した。娯楽・接客業などサービス業で雇用者数の増加が継続しており、雇用環境は底堅く推移している。一方、平均賃金は前年同月比+4.0%となり、10月と同じ伸び率だった。政策金利が12月会合で据え置かれる見通しには変わりないものの、利下げ開始については2024年の年明けから後ずれする見通しになった。

[エジプト] 12月10日、エジプトで大統領選挙の投票が始まった。投票は12月12日まで3日間にわたって実施される。立候補者は現職のシシ大統領とその他政党党首3人の計4人だが、シシ大統領の再選が確実視されている。シシ大統領は2014年に大統領に就任し、2018年に再選。今回再選されれば3期目となり、任期は2030年までとなる。エジプトはさまざまな経済問題が山積する中、イスラエル・ガザ紛争の波及も懸念されている。選挙結果は12月18日に発表される予定。

[アルゼンチン] 12月10日、リバタリアン政治家で右派政党「自由前進(LLA)」を率いるハビエル・ミレイ氏(53)が大統領に就任した。ミレイ氏は、長年にわたる左派・ペロン党政権の統治により、アルゼンチン経済は危機的状況にあるとして、改革断行の必要性を国民に訴えた。同国のインフレは加速が止まらず年率約150%に達しており、新たな景気後退局面入りが予想されている中、ミレイ氏は議会では少数与党の立場で、厳しい舵取りを迫られる。

[米国] 米CBSが実施した世論調査によると、多くの米国民は、インフレが米国の機会を抑圧し、現状は金融危機よりも厳しいと感じているもよう。堅調な雇用、米国経済軟着陸というマクロ経済からの議論がある一方、回答者の75%以上で収入がインフレに劣後しているとし、中間層ではなく富裕層だけにしか経済成長機会がないという不満が浮かび上がっている。政府がインフレに対応できるはずなのに減速どころか加速させている、との不満も見える。大統領選・議会選の最大の争点になるため、政策の曲折には一層の注目が集まりそうだ。

[中国] 工業情報化部の指導の下、中国汽車工程学会と中国汽車技術研究センターが共同で、「中国自動車産業グリーン低炭素発展ロードマップ1.0」を発表した。このロードマップでは、中国全体の目標と同様に、自動車業界においても2030年にカーボンピークアウト、2060年にカーボンニュートラルを実現する目標を設定した。炭素削減の施策として、新エネルギー車の普及を強化し、2023年1月~9月の普及率実績である29.8%に対し、2025年に45%、2030年に60%、うち、乗用車ではそれぞれ50%、65%、商用車ではそれぞれ15%、30%の目標を設定した。

[ロシア] 12月8日、プーチン大統領(71)は、大統領府でのウクライナ軍事作戦参加者に対する勲章授与式の後、2024年3月17日の次期大統領選への出馬を明言した。参加者がプーチン氏との会話の中で出馬を要請し、同意したという。通算5期目を目指すプーチン氏に有力な対立候補はなく、再選が確実視されている。

[中国] 12月8日、習近平総書記は中国共産党中央委員会政治局会議を主催し、今年の経済活動を総括した。経済の効果的な質的向上と合理的な量的成長、安定的な成長を重視するなど従来からの方針が繰り返された中、具体的な金融政策や、需要を押し上げるための具体的政策などは提示されなかった。また、「共同富裕」に関する言及はなかった。今後開催されるとみられる中央経済工作会議で、より踏み込んだ政策や具体的政策が提示されるかが注目される。

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