デイリー・アップデート

2023年12月19日 (火)

[ドイツ] Ifo経済研究所によると、12月の企業景況感指数(2015年=100)は86.4となり、11月の87.2から低下した。4月(93.1)を直近ピークに8~9月(87.2)まで低下した後、11月にかけて緩やかに回復したものの、12月に再び下げた。製造業や建設業などを中心に、足元の状況や先行きに対する見通しが下方修正された。2023年第4四半期の実質GDP成長率が前期比マイナス成長になり、下半期に景気後退局面に入った可能性が高まりつつあるとみられている。

[チリ] 12月17日の国民投票で、新憲法草案が再び否決された。草案について、2022年は左寄り過ぎ、2023年は右寄り過ぎであったことが否決原因と考えられるが、国民の深い不満と政治的行き詰まりを物語っている。今後、当面は憲法改正の動きは出てこないと考えられる。

[中東] ホーシー派武装勢力による船舶攻撃により、イスラエル・ハマス紛争開始以来、船舶10隻以上が被害を受けている。イスラエル向け貨物の取り扱いを停止した海運業者もあり、12月18日は英大手石油会社BPも紅海を通る輸送を一時停止すると表明。パナマ運河も処理能力が低下していることもあり、ルートは喜望峰周りに集中するとみられる。輸送コストや輸送日数の増加、滞船増から船舶容量不足を引き起こすリスクも高まる。エジプトの歳入減から、ホーシー派を支援するイランとの対立も懸念される。

[中国] 国家統計局が発表した2023年11月の全国70都市の新築住宅価格は、前月比で59都市が下落した。10月から3都市増え、2021年11月以来2年ぶりの多さとなった。新規住宅価格が上昇したのは9都市で、10月から2都市減少した。横ばいは2都市だった。上昇幅最大は上海市の0.6%、下落幅が最大だったのは江蘇省南京市と広西チワン族自治区南寧市の1.0%だった。1級都市は0.3%下落し、上海市以外の1級都市はすべて値下がりした。2級都市と3級都市はそれぞれ0.3%と0.4%下落した。前年同月比では、20都市が上昇し、48都市が下落した。

[米国] 米有力メディアCBS Newsと英世論調査会社YouGovは、12月8日~15日にかけて、他州に先駆けて党員集会や予備選挙を実施する「序盤州」であるアイオワ州とニューハンプシャー州での共和党系有権者を対象にした最新世論調査を実施し、12月17日公表した。アイオワ州ではトランプ前大統領が58%を獲得して独走状態にあるが、ニューハンプシャー州ではトランプ氏が44%でトップであるものの、ヘイリー元国連大使が29%を獲得して反トランプ有権者の受け皿になっている。

[ASEAN/豪州] 12月18日、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想の初の首脳会合が東京で開催された。日本、ミャンマーを除くASEAN9か国、豪州の計11か国が参加し、共同声明が採択された。岸田首相は、「多様な道筋による、ネットゼロ」という共通目標の達成や「脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障」の同時実現という3つのブレークスルーの重要性を強調した。その上で、次世代のGX技術の開発や導入加速に向けた日本の取組に触れつつ、AZEC構想を通じて日本の技術や経験を共有していく意思を表明し、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)における「アジア・ゼロエミッションセンター」の設立、ゼロエミッション工業団地の形成等の協力案件を通じたグリーンサプライチェーンの構築、「AZECを支援する賢人会議(AZECアドボカシーグループ)」による経済界同士の連携、トランジション・ファイナンスの推進を提案し、参加国から支持を得た。

[エジプト] 12月18日、選挙管理当局は大統領選挙の結果を発表し、現職のシシ大統領が89.6%の得票率で勝利したことを発表した。投票率は、前回より25%pt以上高い66.8%と過去最高の高さだった(4,470万人が投票)。シシ氏が勝利した過去2回の大統領選挙の投票率はともに40%台で、同氏の得票率はともに約97%だった。今回で3選目。任期は6年で2030年まで。今回の選挙には、シシ氏以外に3人の政権支持派議員や政党党首などが立候補していたが、知名度も低くほとんど支持を集められなかった。

[米国] 米上院は冬期休会入りを延期し、国境警備強化策について民主・共和両党間で交渉を継続している。上院多数を押さえている民主党のシューマー院内総務は、交渉妥結にはまだ時間を要すると発言しており、年内に妥協案が成立する可能性は低い。当交渉が注目されているのは、共和党が対ウクライナ・イスラエル支援予算を承認する条件として移民規制策の可決を求めているため。バイデン政権は、ウクライナのゼレンスキー大統領が訪米した際も、議会に対して速やかな予算承認を求めている。ただし、下院は既に休会に入っており、本格的な議論は2024年明けに持ち越されることが見込まれる。

[中国] 12月18日、中央ネットワーク安全情報化委員会は、「指先の形式主義の防止と取締りに関する意見」(以下、「意見」)を発表した。先週、習近平総書記が「新型の形式主義と官僚主義」の台頭を批判し、草の根の役人や幹部は、あらゆる種類のソフトウェアやアカウントにサインインしなければならず、また政府のフォーラムが多すぎて予算と時間の無駄になっていると述べた。「意見」は、今後2年以内にデジタルツールを評価すること、システムを管理するソフトウェアは利便性を高めるように設計すること、アプリは重複されないようにし、使用頻度が低いものなどは廃棄すべきことなどを指示している。

[中国] 国務院弁公庁は「内外貿易一体化発展の加速に関する若干の措置」を発表し、内外貿易に関連する規則・制度の融合、内外貿易一体化発展環境の最適化など、5方面から18条の措置を発表した。12月18日、国務院の定例会見で、商務部の盛秋平副部長は、「企業が国内市場と海外市場の双方を開拓するよう支援を行う。体制の整備、公共サービスの最適化を通じて、企業の経営能力を引き上げ、市場情勢に応じて、国内・海外の両方の市場で適切にビジネスを切り替え、収益を確保・増大させる」と説明した。

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