デイリー・アップデート

2024年2月7日 (水)

[ベトナム/米国] 1月末、米国のマーク・ナッパー駐ベトナム大使は、レ・ミン・カイ副首相との会談で、ベトナムを「市場経済国」として認定するための見直し作業が、6月にも完了する見通しであると伝えた。この会談では、2023年に両国が外交関係を包括的戦略パートナーシップに格上げした際の合意項目の実現に向けた意見交換が行われ、共同声明や行動計画、半導体分野の覚書の実行を通じて、二国間関係を強化する方針を打ち出した。

[ユーロ圏] 欧州中央銀行(ECB)の「消費者期待調査(CES)」によると、2023年12月の家計の1年先の期待インフレ率は3.2%となり、11月の3.5%から低下した。また、3年先の期待インフレ率は2.5%となり、11月の2.4%から上昇した。12月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.9%と、11月の+2.4%から上昇率を拡大させたものの、3か月連続で3%を下回った。2024年1月のHICPは+2.8%に縮小しており、今後も期待インフレ率は安定的に推移するとみられる。

[セネガル] 2月5日、セネガル議会は、2月25日に予定されていた大統領選の12月15日への延期を決定した。1月20日に憲法評議会が発表した20名の大統領候補者リストから、前大統領の息子であり、野党有力候補と見られていたカリム・ワッド氏などが除外されたことを受け、同氏の支持者を中心に国内各地で抗議デモが発生。国会審議中に警察が野党議員を排除するなど混乱が続いている。2012年から大統領を務めるマッキー・サル大統領は、次期選挙に出馬しないと表明しているが、同氏が後任として支持するアマドゥ・バ首相が勝利する見込みが低いことから、サル大統領が権力を保持しようとしているとの見方が強い。

[米国/DRC/日本] 2月5日、米国務省は、コンゴ民主共和国(DRC)の国有鉱山会社ジェカミン(Gecamines)と日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との覚書締結を発表した。鉱物資源開発における協力関係構築に合意したもので、ザンビア、DRC、アンゴラをつなぐロビト回廊の開発プロジェクト(米・EUが支援)の存在が背景にある。重要鉱物のサプライチェーン強靭化を目指した有志連合外交が近年活発化しており、今回の覚書も、日・米・英・EUなどが参加する鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP)における協議の成果ともいえる。

[米国] 2023年11月2日、バイデン大統領は、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)で、2023年夏に米国務副長官を辞任したウェンディー・シャーマン氏の後任として、インド・太平洋調整官に就任していたカート・キャンベル氏を指名していた。2月6日、上院本会議でキャンベル次期米国務副長官の指名承認採決が行われ、賛成多数で正式承認された。米国が同盟国とともに、課題となっている中国の台頭を抑止する目的で、QUADやAUKUSを強化してきたのがキャンベル氏である。

[中国] 2月6日、フィナンシャルタイムズ紙は、中国の大手半導体メーカーの中芯国際集成電路製造(SMIC)が、米国製とオランダ製の半導体製造装置を使用して、5ナノメートル半導体を製造するための生産ラインを上海に建設し、ファーウェイ傘下のハイシリコンが設計した新バージョンのKirin半導体を製造する予定だと報じている。半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)の同ノードの半導体よりコストは40~50%高くなり、歩止りは3分の1以下だとしつつ、事実であれば、米国の規制措置に新たな疑問を投げかけることが予想される。

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