デイリー・アップデート

2024年6月7日 (金)

[ネパール] ネパールでは電気自動車(EV)販売が急増しており、税関によると、EV輸入は過去2年間で毎年倍増している。公式なデータは公表されてはいないが、中国・BYDとインド・TataのEV販売が好調とされる。ネパールで生産される電力は、ほぼ水力発電と太陽光によるもので電力料金は安く、充電システムを拡充させることでEV普及を促進させてきた。石油輸入を削減できただけでなく、大気汚染からもだいぶ解放された。バスの電化の進捗が遅れているとのことで、依然として大気汚染に悩まされることもあり、EVへの一層の移行が重要だという。

[ベトナム/シンガポール]  5月29日、ベトナムのファム・ミン・チン首相は、シンガポールのローレンス・ウォン新首相と電話会談を行い、両国の戦略的パートナーシップを引き続き強化していくことで一致した。ウォン氏は2023年2月に両国が覚書を交わした「デジタル経済・グリーン経済パートナーシップ」などが効率的に運用され、クリーンエネルギーや炭素クレジット取引などで協力が進むことに期待を示した。シンガポールは、ベトナムがデジタル経済・グリーン経済パートナーシップを確立した最初の相手国であり、国内各地に展開するベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)は、両国経済協力の象徴的存在となっている。この会談の直後の5月31日、シンガポールの政府系複合企業セムコープ・インダストリーズは、3つの工業団地開発がベトナム当局によって投資許可が下りたと発表した。

[ユーロ圏] 欧州中央銀行(ECB)は6月6日に理事会を開催し、政策金利を0.25%pt引き下げることを決定した(引き下げ後の主要政策金利は4.25%、中銀預金金利は3.75%、限界貸出金利は4.5%)。利下げは2019年9月以来、4年9か月ぶり。ECBスタッフの見通しで、2024年の物価上昇率は+2.5%、2025年は+2.2%と、それぞれ3月時点から0.3pt上方修正された。声明文では、「政策金利の決定は、入手する経済・金融指標に基づく物価見通し、基調的な物価動向、金融政策の伝達力の評価に基づく」と従来の表現を踏襲し、先行きの方向性を明らかにしなかった。

[世界] 6月3日、世界気象機関(WMO)はエルニーニョ現象が年内にラニーニャ現象に移行する可能性が高いと発表した。ラニーニャ現象が7~9月に発生する確率は60%、8~11月の確率は70%と推定している。このため、商品市況への影響が改めて注目され始めているが、WMOはラニーニャ現象の強さと期間を確実に予測するには時期尚早だとしており、現段階では市場への影響も予測が難しい。米国海洋大気庁(NOAA)は5月、2024年のハリケーンの活動は平年を上回ると予想しており、米国の石油・ガスの生産輸出に影響するリスクがやや高い。ラニーニャ現象の農産物への影響は地域や品目により大きく異なるが、需給緩和の見通しが実現しない場合は価格上昇リスクとなり得る。

[アルゼンチン] ミレイ大統領は、下院で可決された年金増額法案が上院でも可決されれば、拒否権を発動する意向を示した。年金増額は、歳出削減を進めるミレイ政権にとって痛手となるが、拒否権が覆される可能性が高いうえ、緊縮財政に対する国民の反発につながる可能性もある。

[中国/欧州] メルカトル中国研究所(MERICS)とローディウム・グループが共同で、中国の対欧州(EU27+英国)直接投資に関するレポートを発表した。中国の対欧州直接投資は、2023年は68億ユーロで、2010年以来の低水準となっている。中国経済の低迷や欧州における投資審規制の強化が影響している。M&Aは前年比▲58%の15億ユーロにとどまった。グリーンフィールド投資は増加しており、中国からの直接投資の69%はEV分野が占めている。ハンガリーはEV投資の急増によって、中国にとって欧州ではトップの投資先となった。

[ベトナム] 6月6日、ベトナム国会がルオン・タム・クアン副公安相の公安相就任を承認した。公安相は、5月にトー・ラム氏が国家主席の就任に伴い退任してから空席となっており、チャン・クオック・トー副公安相が職務を代行していた。クアン氏はラム主席と近い関係にあり、ラム主席はクアン氏の公安相就任を望んでいたといわれている。

[イスラエル] 6月4日、イスラエルのアハロン・バラク氏は、2023年12月に南アフリカがイスラエルをジェノサイド(大量虐殺)条約違反で国際司法裁判所(ICJ)に提訴した訴訟に関する裁判官の職を辞することを発表した。ICJには、ICJの15人の裁判官に加えて訴訟の当事国は自国の裁判官を1人追加できる制度がある。バラク氏は元イスラエル最高裁長官で、2024年1月にICJの同訴訟の担当裁判官としてネタニヤフ首相に任命され、これまで約5か月間任務に就いてきたが、「家族に関する個人的な理由」で辞表を提出し、辞任した。

[米国/インド太平洋] 6月6日、レモンド商務長官は、シンガポールで開催されたインド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚会合に出席し、「クリーン経済」協定と「公正な経済」協定に署名した。クリーンエネルギー移行や腐敗防止措置に係る協力を規定する内容となっており、日本、米国、韓国、豪州、インドなど14か国が参加。IPEFは4部構成となっており、既に「サプライチェーン」協定は署名・発行済みで、デジタル貿易や貿易円滑化措置などを含む「貿易」協定については、現在交渉中となっている。

[米国/ウクライナ] 2023年5月にバイデン政権は、欧州のNATO加盟国が保有している米国製F-16戦闘機のウクライナに対する供与を承認し、2024年夏に、デンマーク、オランダ、ノルウェー、ベルギーの4か国は合計60機以上をウクライナに対して供与する計画である。F-16戦闘機の対ウクライナ供与が始まろうとしている一方で、米国などでウクライナ政府軍のパイロットに対する同戦闘機の飛行訓練が遅れており、ゼレンスキー政権はバイデン政権などに対して対処を要求している。

[EU] 6月6日のオランダでの投票を皮切りに、5年に1度行われる欧州議会選挙投票が開始された。最終結果は6月10日に判明するが、その直後から欧州議会における政党グループ構成に関する動きが活発になる。右派・極右政党が議席数を拡大することが予想され、今後のEU政策の方向性に影響するとみられる。

[南アフリカ] 6月6日、与党・アフリカ民族会議(ANC)の党首であるシリル・ラマポーザ大統領は、5月29日の選挙の結果を受け、ANCは国民統合政府(GNU)の樹立を目指すと発表した。1994年の民主化以来、はじめて過半議席を失ったANCは、連立政権の組成のために最大野党・民主同盟(DA)や、極左派で第二野党・経済的開放の闘志(EFF)らと個別の交渉を進めてきたが、調整は難航している。ラマポーザ大統領は、議席を得たすべての政党にGNUへの参加を呼びかける一方で、各政党は憲法と法の支配の尊重など共通の価値観にコミットすべきとしている。南アの憲法上、6月16日までに国会召集、大統領の選出が必要となる。

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