2025年4月18日 (金)
[EU/メルコスール] 2024年12月、EUとメルコスールは、自由貿易協定(FTA)に関して約25年にもわたる協議の後ようやく合意していたが、FTAの発効には加盟国による承認が必要であり、フランスやポーランドなどでは国内農家からの激しい反対を抱える国もあり、発効手続きは困難とみられていた。しかし、米国との関税問題における動向次第では、今夏に向けて議会での承認を得られる可能性もでてきている。
[米国/アフリカ] 4月17日、米国務省は4月1日にアフリカ担当大統領上級顧問に就任したマサド・ブーロス氏の初アフリカ外遊(コンゴ民主共和国(DRC)、ルワンダ、ウガンダ、ケニア)に関するプレスブリーフィングを開催した。ブーロス氏は、今回の訪問の主たる目的は、DRC東部における和平プロセスの進展を図ることと、アフリカ中部での特に鉱業分野における米国企業の投資を促進することだと述べた。同氏は米国としてDRC東部からのルワンダ軍の撤退を改めて求めたとし、また米政府が支援してきた「ロビト回廊プロジェクト」について近日中に米国際開発金融公社(DFC)を通じた融資を実行すると強調した。
[欧州] 欧州中央銀行(ECB)は4月17日に理事会を開催し、政策金利を0.25%引き下げることを決定した。中銀預金金利は2.25%であり、これまで7回の利下げ幅は累計1.75%ptになった。声明文には、米国の関税政策による経済成長の下振れリスクを警戒した文言が盛り込まれた。その一方で、ショックが大きい状況で引き締め効果の評価は意味をなさないとして、「金融政策が実質的に制約的でなくなりつつある」という文言は削除された。政策金利など特定の経路を事前に確約することなく、データ依存で会合ごとのアプローチに従って、金融政策を決定する方針が維持されている。
[米国] 4月17日、ノルウェー企業Equinorは、米国政府からの命令を受けて、米ニューヨーク州沖合の洋上風力事業Empire Windの建設を一時停止したと発表した。トランプ大統領は就任初日に洋上風力に後ろ向きな大統領令を下しているが、連邦・州の許認可をすべて取得済みで投資が進んでいる案件まで停止を命じたことは大きな懸念を生む。またウォールストリート・ジャーナル紙は、トランプ政権がエネルギー省の規模縮小のため数千人削減と政府が結んだ契約の破棄を計画しており、水素・炭素回収・エネルギー貯蔵などを含むクリーンエネルギーの契約がリスクに直面していると報じている。
[マレーシア/カンボジア/中国] 中国の習近平国家主席がベトナムに続き、マレーシアとカンボジアを訪問し、4月16日にマレーシアのアンワル首相、17日にカンボジアのフン・マネット首相と会談した。習主席はいずれの会談においても、米国の関税政策を念頭に、一国主義や保護主義に共同して対抗する姿勢を強調した。また報道によれば、カンボジア政府は、中国がフナン・テチョ運河の建設費を負担すると述べている。
[サウジアラビア/イラン] 4月17日、サウジアラビアのハーリッド国防相がテヘランを訪問し、ハメネイ最高指導者やペゼシュキアン大統領などとの会談を実施した。ハメネイ師がサウジ政府高官との会談を実施するのは、2006年以来19年ぶりとなる。ハーリッド国防相はハメネイ師との会談で、サルマン国王からの親書を手渡した。ハメネイ師は両国のより緊密な関係を望むと伝えたとのこと。両国は、2016年から7年間の外交関係断絶を経て、2023年に中国の仲介で外交関係を正常化して以降、関係改善を進めている。
[米国] 4月17日、米通商代表部(USTR)は、中国の海事・物流・造船分野に対する措置について正式決定を行った。決定は4月17日から有効だが、中国建造船舶を所有する船舶運航企業に対する米国港湾入港料などは10月17日から徴収が始まる。米国からのLNG運搬に際して米国建造船を用いることに関わる規制は2028年4月17日から始まる。これらは通商法301条に基づく措置で、USTRは2024年4月から調査を開始し、2025年2月に対処措置案へのパブリックコメントを募っていた。
[米国/ウクライナ] 4月16日、ウクライナのスビリデンコ第1副首相兼経済相は、米国と進めている鉱物資源開発に関する協定について、「重大な進展があった」とX(旧Twitter)に書き込み、17日、米ウ両国の交渉団が、最終合意に向けて同協定についてオンラインで覚書を署名したと明らかにした。トランプ米大統領は合意文書について、4月24日に署名することになるという見通しを示した。
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