インドネシアの地方経済の展望(出張報告)

2018年05月31日

住友商事グローバルリサーチ 国際部
石井 順也

 筆者は2018年3月下旬から4月上旬にかけてインドネシアのジャカルタ、メダン、プカンバル、バリクパパン、サマリンダを訪問し、インドネシアの地方経済の現状と展望について調査を行った。ジャワ島以外の地域は、一次産品の輸出に加えて資源加工業を発展させているが、インフラ不足等の課題が多く、生産拠点としてはいまだ発展の途上にある。しかし、ジョコ政権が推進するインフラ開発政策が継続し、地方政府のガバナンスが向上すれば、豊富な資源のみならず、労働力の豊富さ、地理的優位性等の強みを活かして、将来的には大きな発展を遂げる可能性がある。地方都市では中間層も拡大しており、特にスマトラ島の最大都市メダンは経済規模が大きく、消費市場としても有望である。2019年の大統領選挙を経て、さらに改革が加速すれば、ジャワ島以外の地域が次代の新興地域として注目を集める可能性も十分にある。

 

 

1.地方経済の現状と課題

 インドネシアは約1万8,000の島々からなる群島国家であり、ジャワ、スマトラ、カリマンタン、スラウェシの4島が大きな経済規模を占める。各地域の経済規模をみると、ジャワ島に人口とGDPの約6割が集中しているが、スマトラ島の人口は5,600万人、名目GDPは2,200億ドルを超えており、この地域だけで中規模国に匹敵する規模がある(図表1)。

 

【図表1】インドネシアの主要4島の経済規模(出所:CEIC、Wikimedia Commons(地図)より住友商事グローバルリサーチ(以下、SCGR)作成)

 

 また、各州の経済規模をみると、ジャワ島の5州と北スマトラ州の人口が1,000万人を超えている。1人当たりGDPをみると、ジャカルタ首都特別州が17,000ドルを超え群を抜くが、東カリマンタン州は10,000ドル、リアウ諸島州とリアウ州は7,500ドル、西パプア州は5,800ドルを超えている。ジャワ島以外でも経済規模が大きく、また経済水準が高い州があることがわかる(図表2)。

 

【図表2】インドネシアの州の経済規模と1人当たりGDP

 

名目GDP

(億ドル)

人口
(万人)

1人当たり

GDP (ドル)

   

名目GDP

(億ドル)

人口
(万人)

1人当たり

GDP(ドル)

スマトラ

2,238

5,687

3,935

 

カリマンタン

847

1,592

4,955

リアウ州

527

666

7,921

 

東カリマンタン州

443

412

10,379

北スマトラ州

511

1,426

3,585

 

西カリマンタン州

133

261

2,689

南スマトラ州

287

827

3,469

 

南カリマンタン州

119

427

2,895

ランプン州

231

829

2,781

 

中部カリマンタン州

94

493

3,619

リアウ諸島州

172

200

7,599

 

北カリマンタン州

58

N/A

N/A

西スマトラ州

160

532

3,014

 

スラウェシ

631

1,919

3,291

ジャンビ州

143

352

4,063

 

南スラウェシ州

313

297

3,603

アチェ州

109

519

2,110

 

中部スラウェシ州

100

260

3,382

バンカ・ブリトゥン州

52

143

3,655

 

北スラウェシ州

82

133

3,345

ブンクル州

45

193

2,344

 

南東スラウェシ州

80

117

3,086

ジャワ

6,043

14,817

4,078

 

西スラウェシ州

30

246

1,935

ジャカルタ首都特別州

1,801

1,037

17,364

 

ゴロンタロ州

26

869

2,210

東ジャワ州

1,509

4,804

3,840

 

マルク-パプア

251

713

3,515

西ジャワ州

1,335

3,426

2,779

 

パプア州

143

174

4,386

中部ジャワ州

887

3,929

2,590

 

西パプア州

54

121

5,861

バンテン州

422

1,245

3,389

 

マルク州

30

327

1,708

ジョグジャカルタ特別州

89

376

2,367

 

北マルク州

24

92

1,994

バリ-ヌサ・トゥンガラ

322

1,449

2,250

 

インドネシア全体

10,155

26,189

3,878

バリ州

161

425

3,790

         

西ヌサ・トゥンガラ州

93

496

1,869

         

東ヌサ・トゥンガラ州

68

529

1,289

         

(データは2017年、ただしリアウ諸島州と西スラウェシ州の人口と1人当たりGDPのみ2016年)

(出所)CEICよりSCGR作成。

 

 一方、各州の経済の現状をみると、必ずしもその発展は順調に進んでいるわけではない。インドネシアの経済は石油・ガス、石炭、ゴム、パーム油等の資源の輸出への依存度が高いが、ジャワ島で工業製品の生産を中心とする製造業とサービス業が発展を遂げているのに比べると、それ以外の地域では一次産品の輸出と資源加工業に依存する割合が高い。主要産品は、スマトラ島ではパーム油、ゴム、石油・ガス等、カリマンタン島では石油・ガス、石炭等、スラウェシ島では石油・ガス、鉱物、バリ島とヌサ・トゥンガラ諸島では銅、マルク諸島とパプア島では石油・ガス、銅等である(図表3)。

 

【図表3】インドネシアの主な天然資源

地域

主な天然資源

スマトラ

パーム油、ゴム、石炭、木材、石油・ガス、スズ、金、ボーキサイト

カリマンタン

石油・ガス、石炭、パーム油、ボーキサイト、木材

スラウェシ

ニッケル、石油・ガス

バリ-ヌサ・トゥンガラ

マルク-パプア

銅、ニッケル、石油・ガス、金

(出所:インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン(2011-2025)等よりSCGR作成)

 

 スマトラ島とカリマンタン島において経済規模が大きく1人当たりGDPが高い州である北スマトラ、リアウ、東カリマンタンの3州に着目し、各州の2011年以降の実質GDP成長率をみると、北スマトラ州は5~6%の成長率を維持し、インドネシアの全国平均とほぼ同じ速度で成長している一方、リアウ州と東カリマンタン州は2012年に入ってから大きく減速し、2015年から回復基調にあるものの、2~3%の成長率にとどまり、インドネシアの全国平均を下回っている(図表4)。

 

【図表4】ジャワ、スマトラ、カリマンタンの主要地域とインドネシア(全国平均)の経済成長率(出所:CEICよりSCGR作成)

 北スマトラ州、リアウ州、東カリマンタン州の経済成長率の低下と回復の大きな要因は資源価格の低迷と回復にある。これらの州はいずれも一次産品への依存からの脱却を図っており、製造業、特に資源加工業の発展に力を入れているが、そのために必要なインフラが十分に整備されていない。特に課題とされているのは電力と物流である。電力の供給量は増加しているが、安定性に課題があり、地域によっては停電が起こっている。物流については、たとえばスマトラ島の陸上交通は主に長距離バスやトラックが担っているが、北端から南端に運ぶには約1週間、北部の主要都市メダンからジャワ島北部のジャカルタに物資を運ぶためには3日から4日はかかるという。このため、スマトラ島にも豊富な労働力など生産拠点としての強みがあるにもかかわらず、ジャワ島に産業が集積する結果になっている。また、スマトラ島北部はマレー半島とマラッカ海峡に近く、物流ハブとしての発展が期待されているが、そのためには港湾の開発が必要とされている。

 インフラ整備を進める上で鍵を握るのは中央と地方の政府の取り組みであるが、この点において、近年、積極的な動きがみられる。

 

 

2.政府の開発政策

 2014年10月に就任したジョコ・ウィドド大統領は地域格差の是正を最重要課題として掲げ、ジョコ政権は2015年1月に「国家中期開発計画(RPJMN)2015-2019」を発表し、その中で地方経済開発の政策を述べている。その中心にある政策はジャワ島以外に14の新しい工業団地を設置し、それぞれにおいて重点産業を育成する計画である(図表5)。

 

【図表5】国家中期開発計画(RPJMN)2015-2019における14の新規海外工業団地(出所:国家中期開発計画(2015~2019年)、Wikimedia Commons(地図)よりSCGR作成)

 

 また、2019年までの5年間でGDPに対する物流コストの割合を24.2%から19.2%に低下させることを目標に掲げ、そのために道路、鉄道、港、空港等を整備するとしている(図表6)。[*1]

 

【図表6】物流コストを下げるためのインフラ計画

分野

ベースライン(2014年)

目標(2019年)

幹線道路(5年間の新規建設)

1,202 km

2,650 km

高速道路(5年間の新規建設)

807 km

1,000 km

鉄道(総距離)

5,434 km

8,692 km

港(箇所)

278

450

空港(箇所)

237

252

(出所)国家中期開発計画(2015~2019年)よりSCGR作成

 

 ジョコ政権の地方におけるインフラ開発は着実に進んでいると国内で評価されているようである。ジョコ政権の支持率は発足当初は少数与党で政治的混乱も生じたことから低下したが、その後上昇して安定し、調査機関インドバロメーターが2018年5月22日に発表した世論調査結果によると、ジョコ政権に「満足」と答えた人は65%に上る。その主な理由は「インフラ整備」にあるという。筆者も、ジャワ島、スマトラ島、カリマンタン島の各地でインフラ開発の現状について現地で意見を聴取したが、道路の建設等が目に見えて進んでおり、それがジョコ大統領の高い評価につながっているという意見が多く聞かれた。

 スマトラ島においては縦断高速道路の建設が本格化しており、主要部分は2019年までの開通を目指している。上記1.のとおりスマトラ島の北部から南部、さらにジャワ島に物資を運ぶためには3日から1週間かかるが、縦断高速道路が開通すれば1日から2日に短縮されるという。実現すればスマトラ島とジャワ島の連結性が飛躍的に高まりスマトラ島の生産拠点としての魅力が増すだろう。

 また、インドネシアでは1998年にスハルト政権が崩壊して以降、地方分権化が進み、インフラ開発においても地方政府が大きな役割を果たすようになっている。地方首長のリーダーシップが与える影響は大きく、ジャカルタ首都特別州知事を務めたジョコ大統領やスラバヤ市長のトリ・リスマハリニ氏は行政改革とインフラ整備を積極的に推進し大きな成果を上げたと評価されている。しかし、地方政府の中には非効率な行政や腐敗等のガバナンス上の問題を抱え、インフラ整備にも支障をきたしていると指摘されるものが少なくない。

 シンガポールのシンクタンク「Asia Competitiveness Institute」は毎年インドネシアの州の「競争力」のランキングを発表しているが、「競争力」を判断する要素として①マクロ経済の安定性、②政府のガバナンス能力、③金融・ビジネス環境、④生活環境・インフラを挙げている。2016年のランキングをみると、たとえば北スマトラ州とリアウ州は、政府のガバナンス能力がそれぞれ33位(最下位)と22位と低いことが大きく影響し、マクロ経済等の他の要素が優れているにもかかわらず、それぞれ24位と15位と低く評価されている(図表7)。

 

【図表7】インドネシアの州の競争力ランキング

順位

地域

 

順位

地域

1

ジャカルタ首都特別州

ジャワ

 

18

ランプン州

スマトラ

2

東ジャワ州

ジャワ

 

19

西ヌサ・トゥンガラ州

バリ-ヌサ・トゥンガラ

3

中部ジャワ州

ジャワ

 

20

バンカ・ブリトゥン州

スマトラ

4

西ジャワ州

ジャワ

 

21

ゴロンタロ州

スラウェシ

5

東カリマンタン州

カリマンタン

 

22

南スマトラ州

スマトラ

6

南スラウェシ州

スラウェシ

 

23

西スマトラ州

スマトラ

7

バリ州

バリ-ヌサ・トゥンガラ

 

24

北スマトラ州

スマトラ

8

南カリマンタン州

カリマンタン

 

25

ブンクル州

スマトラ

9

北スラウェシ州

スラウェシ

 

26

アチェ州

スマトラ

10

ジョグジャカルタ特別州

ジャワ

 

27

西パプア特別州

マルク-パプア

11

バンテン州

ジャワ

 

28

ジャンビ州

スマトラ

12

リアウ諸島州

スマトラ

 

29

マルク州

マルク-パプア

13

中部カリマンタン州

カリマンタン

 

30

西スラウェシ州

スラウェシ

14

中部スラウェシ州

スラウェシ

 

31

北マルク州

マルク-パプア

15

リアウ州

スマトラ

 

32

東ヌサ・トゥンガラ州

バリ-ヌサ・トゥンガラ

16

南東スラウェシ州

スラウェシ

 

33

パプア特別州

マルク・パプア

17

西カリマンタン州

カリマンタン

       

(出所)Asia Competitiveness Institute "2016 Annual Competitiveness Analysis and Development Strategies for Indonesian Provinces"よりSCGR作成

 

 しかし、筆者が現地で意見を聴取したところ、北スマトラ州とリアウ州のいずれにおいてもガバナンスは改善されつつある、あるいは改善に向かうと期待できる、という意見が多く聞かれた。これらの州の前知事(当時現職)はかつて汚職撲滅委員会(KPK)に汚職を摘発され、それぞれ2014年と2015年に有罪判決が下されている。2018年6月27日に予定される統一地方選挙において北スマトラ州とリアウ州でも選挙が実施されるが、いずれの候補も汚職と無縁であることを強調している。

 また、ジョコ大統領が地方政府に対してインフラ整備を強く働きかけていることが幅広い層から聞こえてきた。ジョコ大統領は地方を訪問すると「抜き打ち視察」を行い、たとえば道路建設が進んでいないところを発見すると州知事に迅速な対応を促すという。北スマトラ州ではこれによって実際に建設が進んだ例があるという意見も聞かれた。

 

 

3.消費市場の発展

 インドネシアの地方都市では中間層が拡大し、消費市場としても魅力を高めつつある。たとえばスマトラ最大の都市メダンは、223万人(2016年、中央統計庁推計)の人口を擁し、国内ではジャカルタ、スラバヤ、バンドンに次いで4位、1人当たりGDPは6,271ドル(2016年、同推計)に上る。

 メダン、プカンバル、バリクパパン、サマリンダでは近代的なショッピングモールが数多く建設され、平日からにぎわいを見せている。特にメダンはモールの数と多様性に富み、高級なモールは日本のモールと比べても遜色がない。JETROが2018年3月29日に発表した「インドネシア首都圏及び地方都市における消費者アンケート調査」によれば、メダンのモール利用者の2割はウィンドウショッピング目的で、必ずしも購買目的とは限らない人も多いようだが、前年と比較してより頻繁にモールで購入するようになった人は増えている。家電、衣服、飲食等の分野で外資系の進出も目立ち、18年3月にはユニクロがメダン第1号店をオープンした。

 

メダンのショッピングモール、メダンにユニクロが進出、バリクパパンのショッピングモール、サマリンダのショッピングモール(写真:SCGR筆者撮影)

 メダンではこの数年間で自動車と二輪車の数が大きく増加したといわれ、交通渋滞も生じている。2014年には国際空港とメダン市内をつなぐ国内初の空港鉄道も建設された。メダンはシンガポールやマレーシアから飛行機で約1時間の距離にあり、人の往来もさかんになっている。同地域にあるベラワン港とクアラタンジュン港の取扱量は増加しており、物流ハブとしての機能を高めている。

 

 

4.地方経済の展望

 インドネシアには、ジャワ島以外にも、北スマトラ州、リアウ州、東カリマンタン州をはじめ、経済規模が大きく、また豊富な資源を生かして経済を発展させている地域がある。これらの地域は一次産品の輸出に加え、政府の積極的な取り組みもあり、資源加工業を発展させている。一方、インフラ不足、行政の非効率等による事業環境の未発達から、生産拠点としてはいまだ発展の途上にある。

 しかし、ジョコ政権が推進するインフラ開発政策が継続し、地方政府のガバナンスが向上すれば、電力と物流を中心にインフラの整備が進み、事業環境の改善が期待できる。そうなれば、豊富な資源のみならず労働力の豊富さ、地理的優位性等の強みを活かして、資源加工業に加えて工業製品の生産も拡大し、将来的には大きな発展を遂げる可能性がある。また、地方都市では中間層も拡大しており、特にスマトラ島の最大都市メダンは経済規模が大きく、消費市場としても有望である。

 ジョコ政権が主導するインフラ開発はすでに一定の成果を上げている。政権が主導する汚職対策の強化や中央政府の取り組みもあり、地方政府のガバナンスも改善の方向に向かっている。インドネシアでは2019年4月に総選挙と大統領選挙が予定されているが、現時点ではジョコ大統領が最も有力な候補となっている[*2]。現地では、ジョコ政権2期目にはさらなる改革の進展が期待できるという意見が多く聞かれた。インドネシアの地方が抱える課題は一朝一夕に解決できるものではないが、この数年間で主にインフラ開発の面で着実に改善しており[*3]、今後、さらなる加速も期待できる。そうなれば、ジャワ島以外の地域が次代の新興地域として注目を集める可能性も十分にあるといえるだろう。

以 上


[*1] 電力分野では2019年までの5年間で発電容量を35ギガワット増やし、電化率を81.5%から96.6%に引き上げるとしている。ただし2018年3月にエネルギー鉱物資源省が承認した2018~2027年の電力供給事業計画(RUPTL)は、電力需要の伸びの鈍化を背景に今後10年間に追加する発電量を78ギガワットから56ギガワットに縮小しており、報道によれば15ギガワット相当の発電所の運転開始時期を2019年より後に延期するとしている。

[*2] 調査機関インドバロメーターが2018年5月22日に発表した世論調査結果によれば、大統領選で誰に投票するかとの質問に対し、ジョコ大統領と回答した人は41%に上り、2位のプラボウォ・スビアント氏の得票率(20%)に大差をつけてリードしている。

[*3] インドネシア全体の事業環境については、世界銀行が毎年発表している『ビジネス環境ランキング』の2018年度版によれば世界190か国・地域の中で72位であり、前年の91位から上昇している。なお、ジョコ大統領が就任した2014年の時点では120位だった。

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