コモディティ・レポート ~2018年6月号商品ごとのファンダメンタルズに注目~

コモディティ・レポート

2018年06月06日

住友商事グローバルリサーチ 経済部
小橋 啓

 

 5月は米国の金利上昇と下落、ドル高と新興国通貨・ユーロ安となる中、米国のイラン核合意破棄や、米中貿易摩擦の動向、北朝鮮問題、イタリア内閣組閣など様々な外部要因の大きな変化があった。しかし、多くの商品はそれらの要因より個別のファンダメンタルズで動いた月といえる。前月対比では高騰したニッケルや、粗糖を除けば大きな変動はないものの、月中では原油や農産品が高騰後下落しており、動きが大きかった。GSCI商品指数自体も月中は原油に引きずられ大きく動いた。一方、貴金属や産業金属(ニッケル除く)など価格変動に乏しい商品も多かった。

 

S&P GSCI商品指数 vs S&P500株価指数(出所:Bloombergより住友商事グローバルリサーチ作成)

 

S&P GSCI商品指数 vs ドルインデックス(出所:Bloombergより住友商事グローバルリサーチ作成)

 

商品セクター別[S&P GSCI]年初来推移(出所:Bloombergより住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

 米国では好調な経済を背景に、長期金利が一時3.1%を突破するなど投資魅力度を増したことに加えて、米国債自体の需要も強く、新興国から米国への資金還流が話題となった。新興国通貨は年初からの減価がさらに進んだが、アルゼンチンやトルコなどの個別国の要因に引きずられているところも大きかったと思われる。

 

米国債10年金利とMSCI 新興国通貨指数(出所:Bloombergより住友商事グローバルリサーチ作成)

 

主要通貨騰落率(2018年初来)(出所:Bloombergより住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

 また、地政学については月前半はリスク後退、後半は顕在化と異なる動き。米国のイラン核合意離脱は大きな混乱もなく、また米中の貿易摩擦においても関税賦課が先送りされたが、月後半は米国と北朝鮮との首脳会談延期、ベネズエラのマドゥロ大統領の再選、イタリアにおいて新政権樹立に絡んだデフォルトリスク台頭などを背景として、株・金利が一時反落した。一方で、ユーロの弱さによりドル高は継続しており、商品市況には下押し要因となった。

 

 

 6月も引き続き、潜在的な地政学要因は多い。イタリアリスクもいつ再燃するか分からず、米朝の首脳会談も控え、また米中貿易を巡る覇権争いも継続中。ドル高、金利上昇をベースとしながらもイベントリスクが意識される。ファンドのポジションとしては、エネルギー・農産品など「動く」商品への買い越しがたまってきており注目される。

 

米国商品先物 大口投機筋の建玉推移(出所:CFTCより住友商事グローバルリサーチ作成)

 

 

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