デイリー・アップデート

2024年6月4日 (火)

[メキシコ] 6月2日に投開票が行われた大統領選では、下馬評通り、与党・国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム氏(61)が圧勝。10月1日に同国初の女性大統領が誕生する。議会選でも上下院で与党とその連合会派が3分の2を獲得する勢いとなったことはややサプライズ。左派与党勢力が、野党の協力なしに憲法改正を含む野心的な改革法案を成立させることが可能となる見込み。6月3日のメキシコ金融市場は、株式・債券・為替のトリプル安となった。前政権下では国営企業を優遇してきたが、国営石油会社Pemexは多額の負債を抱え、産油量の落ち込みを反転させる目途も立たず苦境が続く。鉱業に関しても、シェインバウム氏は2023年5月に鉱業法改正を行い鉱業に厳しい姿勢を取ってきた前政権の路線を継承する可能性がある。

[ナイジェリア] 6月3日、ナイジェリア労働会議(NLC)と労働組合会議(TUC)は、政府に対する最低賃金の引き上げと電気料金の引き下げを求め、無期限の全国規模のストライキを開始した。ストライキの影響により全国規模で停電が生じているほか、航空便の離発着にも影響が出ている。両組合は現在の月額最低賃金3万ナイラ(約20ドル)を50万ナイラ(約336ドル)に引き上げるよう要求しているが、政府の提案額は月額6万ナイラ(約40ドル)に留まっている。2023年5月29日に就任したボラ・ティヌブ大統領による経済政策の転換により、インフレ率は+30%を超えており、国民生活に大きな影響を及ぼしている。

[欧州] 世界中でデータセンターの建設が話題となっている中、いかにAIへの需要を満たしつつクリーンな電力を調達するかという課題が浮上している。企業は再生可能エネルギー契約の獲得に熱狂しており、プロジェクト建設前には電力確保に努めている状況だ。欧州では、データセンター向けに必要な電力が2026年にはこれまでの2倍となる見込みがあるようだ。そうした中で、今度は電力網の能力不足という問題に直面している。発電施設とデータセンターをつなぐ送電能力が一部では既に不足しており、現在でも時折停電などが生じている。さらに供給が不安定になってしまうと、周辺のコミュニティがデータセンターに強い反感を抱くという懸念もある。送電網を利用しないオフグリッド電源が必要と指摘されるようになっている。

[インドネシア] 5月3日、中央統計局が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+2.84%と4月の+3.00%から減速した。3か月ぶりの2%台となった。5月は、イスラム教の断食明け大祭(レバラン、4月10~11日)後となるため消費が落ち着いたことに加え、収穫期を迎えたコメの供給が拡大し、物価上昇圧力が緩和した。6月も引き続き、コメの収穫が増え、物価上昇圧力を和らげるとみられる。一方、国民の健康配慮を背景とした加糖清涼飲料への物品税の導入が検討されており、今後導入されれば物価上昇圧力が高まるとみられる。

[米国] これまで底堅かった個人消費が曲がり角を迎えている。4月の実質個人消費支出(PCE)は前月比▲0.1%と、3か月ぶりに減少した。歴史的な物価高騰の影響から実質購買力が打撃を受けてきた中、コロナ禍の過剰貯蓄が底を尽きつつあり、各種ローンの延滞率も上昇している。FRBの「地区連銀経済報告(ベージュブック)」(2024年5月)でも、消費者の価格感応度の高さなどから販売価格へのコスト転嫁が難しく、むしろ値下げ販売せざるを得ないことが報告された。実際、米大手小売業の決算から、客足の減少・客単価の低下などもうかがえた。

[ポルトガル] 6月3日に2024年4月に発足したモンテネグロ政権が、移民政策に関する「行動計画」を発表した。中道左派のコスタ政権の積極的な移民受け入れ方針からの方向転換だが、家族再統合など人道的側面は考慮されている。一方、雇用契約がなくても、ポルトガルに移住して1年間社会保険料を支払ったEU域外からの移民に対して居住権申請資格を与えるという「関心表明」制度は、6月3日をもって廃止された。

[イラン] 6月3日、イラン大統領選挙の立候補者登録が締め切られた。イラン内務省の発表によると、全部で80人が立候補を登録したとのこと。ガリバフ国会議長やラリジャニ前国会議長、アフマディネジャド元大統領やザカーニ・テヘラン市長なども立候補登録を行った。これから護憲評議会による立候補者の事前資格審査が行われ、6月11日に最終的な立候補者リストが発表される。これまでの慣例では、事前審査で立候補者は1桁まで絞られる。その後2週間の選挙戦が行われ、投票は6月28日に実施される。

[米国/メキシコ] 6月3日、メキシコ大統領選においてシェインバウム氏の当選が明らかになったことを受け、バイデン大統領は祝意を表明した。米墨間の緊密な関係を踏まえ、次期大統領と協力していくと述べた。ブリンケン国務長官からも、メキシコ初の女性大統領誕生を歓迎し、民主的選挙を成功裏に終えたメキシコ国民に対する祝意も伝えた。米国においては、米墨国境を越えてくる不法移民が大きな政治問題となっており、6月4日、バイデン政権は、不法越境者による難民申請を制限する内容の大統領令に署名することが見込まれている。

[米国] 無所属候補として米国大統領選挙に出馬しているケネディ氏は、各種最新世論調査では約10%の支持を獲得しており、大統領選挙での波乱要因になる可能性が浮上してきている。ケネディ氏の大統領選挙キャンペーンを支えているのは、主にソーシャル・メディアと30才以下の若年層であるが、現職バイデン大統領、トランプ前大統領のいずれの候補にも不満を持つ有権者の支持を集めて大統領選挙の帰趨を決する「激戦州」の結果に影響を及ぼしかねない。

[ロシア/ボリビア/ジンバブエ/アフガニスタン] 6月5~8日、国内最大経済フォーラム「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」が開催される。今回のテーマは「多極化の基盤~新たな成長拠点の形成」となっており、ボリビアやジンバブエの大統領などが参加する予定である。また、アフガニスタンの代表としてイスラム主義組織タリバンも招待されており、参加が見込まれている。今回は、約1,000件の合意文書の締結が予定されている。

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