中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)

2015年12月18日

住友商事グローバルリサーチ 国際部
アントン ゴロシニコフ

1.概要

 2015年12月、南アフリカのヨハネスブルクで「中国版TICAD」である「中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」の第6回会合が開催され、それに合わせて、12月4~5日に中国とアフリカの首脳会議が開催された。中国は今後、アフリカ支援として600億ドル(約7.4兆円)の資金を拠出すると表明した。中国の習近平国家主席は演説で、アフリカに対する「10大協力計画」を公表した(【図表1】)。今後3年間でアフリカの工業化、農業の近代化、インフラ整備、貧困や環境対策などを含む10の分野への協力を行うと約束した。

 拠出額600億ドルのうち、400億ドルを優遇借款や中小企業支援に、50億ドルを無償援助や無利子融資に、もう50億ドルを中国・アフリカ開発ファンドへ充てる予定。また、今回、新しく設立された中国・アフリカ生産力向上基金に100億ドルを拠出し、20万人の技術者の訓練や工業団地の建設も約束した。

 FOCACは2000年から3年おきに開催され、首脳会議は2006年以来、今回は2回目で、初めてアフリカで開催された。今回のフォーラムはアフリカ側で大きく報じられ、PR効果は絶大だったようである。

 

【図表1】中国のアフリカ支援計画(2016~2018年)

中国のアフリカ支援計画(2016~2018年)
(出所:中国政府発表に基づき、住友商事グローバルリサーチ作成)

 

2.アフリカでのプレゼンスを高める中国

 21世紀に入ってからの中国は、アフリカにおけるプレゼンスを高めてきた。中国の外交部によると、2014年、中国とアフリカの貿易額は2,000億ドルを超え、FOCAC発足時の20倍以上に拡大した。中国は現在、アフリカ最大の貿易相手であり、アフリカに進出している中国系企業の数も3,000社を超えている。中国は現在、ほとんどすべてのアフリカの国で投資を行っており、アフリカへの中国投資をセクター別に見ると、エネルギー、資源、輸送インフラへの投資が最も多い。だが、最近では不動産や農業などへの投資も増えている。

 

 

3.各国の取り組み

 2050年には人口が25億人を突破すると言われているアフリカは、「最後の巨大市場」と呼ばれ、中国だけでなく、各国もアフリカとの関係強化を図ろうとしている。米国は2014年8月、50か国のアフリカ諸国の首脳をワシントンに招き、初めて米・アフリカ首脳会議を開いた。インドも、2015年10月にニューデリーで、インド・アフリカ経済フォーラムを開催し、また、欧州連合(EU)も同11月、EU・アフリカ首脳会議を行った。

 日本政府も、1993年以降、アフリカ開発会議(TICAD)を行っており、TICADの第6回の会合は、2016年の8月か9月に、初めてアフリカに舞台を移し、ケニア・ナイロビで開催される予定。安倍首相を初め、アフリカ諸国の首脳などが参加する予定で、日本の貢献をアフリカの人々に広く認識してもらう絶好の機会になるはずである。 

 

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