デイリー・アップデート

2025年7月23日 (水)

[イスラエル/パレスチナ] 

7月21日、日本やカナダ、オーストラリア、そして英国、フランスなど欧州諸国を中心とする28か国の外相とEU委員が連名で、パレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時終結を求め、同地でのイスラエルによる援助体制を強く批判する共同声明を発表した。2023年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲で約1,200人が死亡し251人が人質として連れ去られたが、それ以降現在まで続くイスラエルによるガザ地区に対する攻撃で59,000人以上が死亡し、14万人の負傷者が出ている。

 

声明では、従来の国連や人道支援NGOなどによる援助をイスラエル政府が妨害していることを批判。「イスラエル政府の援助提供モデルは危険で、ガザ地区の人々から人間としての尊厳を奪っている」とし、水や食料を求める子どもを含む民間人800人以上がこれまでに殺害されたことを「非人道的な殺害」として非難している。パレスチナ人の強制移住にも強く反対し、恒久的な強制移住は「国際人道法違反」であると指摘。また、東エルサレムやヨルダン川西岸地区でのユダヤ人入植地建設の加速やパレスチナ人に対する暴力の増加に関しても批判している。

 

イスラエル外務省報道官は、「現実から乖離(かいり)しており、ハマスに誤ったメッセージを送る」として共同声明を拒否。ハッカビー駐イスラエル米国大使も「残忍なハマスではなくイスラエルに圧力を掛けている」、「イスラエルを非難するのは理不尽だ」として、共同声明を激しく非難した。

[日本/米国] 

7月22日、トランプ大統領は日本と関税交渉で合意したと発表した。日本への関税率(相互関税)を15%と、7日に発表していた25%から引き下げる内容だった。その代わりに、日本が米国に5,500億ドル規模の投資を実施することや、米などの農産品や自動車などの市場開放を約束したという。コメについてはミニマム・アクセス(77万トン)の枠を維持した上で、米国からの輸入割合を増やす。また、自動車については、関税率を25%から半分の12.5%に引き下げた上で、基本税率2.5%と合わせて15%にする。鉄鋼・アルミニウム製品の関税は50%から変わらない。その後、トランプ氏は、アラスカ産の液化天然ガス(LNG)開発に向けて合弁事業を始めると明らかにした。

[ナイジェリア] 

7月22日、ナイジェリア中央銀行(CBN)は金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を27.50%で維持すると発表した。金利の据え置きは3会合連続となった。

 

オラエミ・カルドソ中銀総裁は、引き続きディスインフレ・プロセスの勢いを維持し、インフレ圧力を抑制していく必要があることから金利の維持を決定したと述べた。ナイジェリアの直近6月のインフレ上昇率は22.22%で、依然として20%を上回っているものの、4か月連続で低下を続けている。中銀としては実質金利をプラスに保ち、引き続き金融引き締めサイクルを維持することで、市民生活に影響を与えているインフレ率の低下を促したい考え。

 

また、カルドソ総裁は、高インフレの環境下でも原油生産の増加や、輸入の著しい減少(国内のダンゴテ製油所の本格稼働により石油輸入が減少)により為替が安定し、マクロ経済環境は安定に向かっている点を強調。2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は3.1%で、前年同期の2.3%から加速し、外貨準備高は商品輸入の9.5か月分をカバーする水準に回復したと説明した。2024年の経常黒字は対GDP比で9.2%まで上昇している。

 

国際通貨基金(IMF)は7月に発表したナイジェリア向けの4条協議書において、同国の2025年の実質GDP成長率は3.4%で、世界の不確実性が高まる中でも2024年の水準を維持すると予測している。他方で、原油価格はナイジェリアが2025年度予算で基準値と設定していた75ドル/バレルを下回る水準が続いていることから、国家歳入の見通しを見直すよう求めている。

[中国] 

7月21日、中国の『解放軍報』は、中央軍事委員会が「優良な伝統を力強く発揚し、悪影響を徹底的に排除し、政治幹部のイメージと威信を再構築するための若干の規定」(以下「規定」)を発行したと報じた。規定は7つの分野、22条から構成されていると書いてあるが、具体的な条文は公開されていない。

 

記事によれば、新たな規定は「政治幹部、特にそのリーダーが率先して模範を示し、厳格な規律によって悪習を排除し、軍のイメージと威信を再構築するための鉄の規則と厳格な基準を明確に定める」としている。

 

また、『解放軍報』はこの記事の翌日(7月22日)から、新規定に関連する「政治幹部としての形象と威信を確立するシリーズ論評」の掲載を開始した。論評では、政治幹部にとって「党への忠誠」が最も重要な資質であると指摘し、1930年代の長征中に造反して党を除名された張国燾の事例を引き合いに出している。そして、「朱徳が張国燾の分裂行動に反対し、党中央の統一指導を支持した事例を通じて、忠誠は言葉ではなく行動で示すべきである」と説いている。

 

7月末に開催される政治局会議、あるいは8月初頭の人民解放軍創立記念日などの会議において、規律違反の疑いで職務停止となっている苗華・中央軍事委員会委員や、現在公の場から姿を消している中央軍事委員会ナンバー3の何衛東副主席に関する問題や処遇が発表されるのではないかとの憶測が広がっている。

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