デイリー・アップデート

2025年5月13日 (火)

[米国/南アフリカ(南ア)] 

5月12日、米国政府の難民受け入れプログラムで認定された南アのアフリカーナー(過去にアパルトヘイトを主導した南ア政府の主要な支持基盤だった、主としてオランダ系白人の子孫を指す)59名がワシントンに到着した。同プログラムはトランプ米大統領就任後に、「アフリカーナーを中心とする農家が南アで虐殺されている。南ア政府が農家から土地を没収している」との同氏の主張を基に開始されたもの。南ア政府はこれらの主張は事実に基づくものではないと否定しており、両国間の外交関係は最悪の状況にある。同日行われたトランプ大統領による記者会見で、記者がスーダンやコンゴ民主共和国(DRC)など内戦で苦しむ人々の難民受け入れを停止している一方で、なぜ南アのアフリカーナーを迅速に受け入れるのか、との質問に対しトランプ氏は「ジェノサイドが進行中のためだ」と自身の主張を繰り返した。

 

一方で、トランプ氏は「南アの指導部が来週私に会いに来る予定だ」と南ア政府との直接対話の姿勢も見せた。南ア政府は訪米に関して公式な声明は出していないが、6月にカナダで開かれるG7サミットにG20議長国である南アのラマポーザ大統領が招待されれば、その場でトランプ大統領との対談が設定されるとの見方がある。

[ロシア] 

ロシアの航空会社の旅客輸送量は2年連続で増加し、2024年には前年比+5.9%、1億1,170万人と、制裁前の水準を上回った。特に国際路線がこの成長の大部分を占めており、欧米制裁の重圧が続いているにもかかわらず、国内の航空業界は逆境に立ち向かい、控えめながらも回復を遂げた。2025年の予測に関して、専門家は輸送量の回復傾向が続くと予想しているが、先行きが不透明との見通しである。主な理由は、航空機の老朽化や部品供給に対する制裁措置など。

[トルコ] 

5月12日、トルコの非合法武装勢力「クルド労働者党(PKK)」は、トルコ政府との武力闘争を止めて解散することを発表した。過去40年間で4万人以上の犠牲者を出した武装闘争に、いったんの区切りがつくことになる。PKKは現在獄中にいる指導者オジャラン氏によって1970年代に創設された組織。本拠地はイラク北部で、当初はトルコからの独立を求めていたが、その後クルド人による自治やクルド人の権利拡大を求めて活動を行ってきた。今後同組織の武装解除などのプロセスが始まることになるとみられるが、武器の引き渡しやPKK戦闘員の処遇をどうするかなど、現時点では不明なことも多い。

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