スーダン内戦続く

2026年10月21日


髙橋 史

10月16日、国連政治・平和構築担当事務次長は国連安保理において、スーダンの内戦と人道危機が悪化し続けていると警鐘を鳴らした。2023年から続くスーダン国軍(SAF)と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の内戦により、少なくとも6万人が死亡したとみられている。


戦闘ではドローン攻撃が主流となっている。10月20日には、スーダンと南スーダンの国境係争地域・アビエイで150人以上が死亡したと報じられた(10月20日、ロイター通信)。産油地として知られるアビエイはRSFの主要な補給拠点の一つとされることから、SAFがドローン攻撃を行った可能性が指摘されており、スーダンと南スーダンの外交関係にも影響を及ぼす可能性がある。スーダン国内でもSAFとRSFはコルドファン地方でドローン攻撃の応酬を繰り返しており、市民の犠牲が後を絶たない。国連は10月20日、スーダンの内戦が中央アフリカ共和国東部の治安悪化を招いていると指摘。泥沼化するスーダン内戦の影響が周辺国に拡大する傾向がみられる。


内戦長期化の背景には、SAFをエジプト、ロシア、サウジアラビアなどが、RSFをアラブ首長国連邦(UAE)やエチオピアなどが側面支援する(UAEやエチオピアは支援を否定)など、代理戦争の様相を呈していることがある。米国は、SAF、RSFのいずれもスーダンを合法的に統治する主体とはなり得ないとの立場から、26年6月に双方に対する経済制裁を強化した。また、25年9月に米国は、米国、サウジアラビア、エジプト、UAEの4か国による「クワッド」を形成し、戦争当事者に対する3か月間の停戦や、9か月間の民政移管ロードマップの策定などを主導している。特に、マサド・ブーロス米大統領上級顧問(アフリカ・中東問題対応)が中心的な役割を担っている。


しかし、SAFによるスーダン統治を認めようとしない米国と、停戦を受け入れようとしないSAFとの間の溝が深まっている。SAFのブルハン将軍は、9月に米国で開かれた国連総会への出席を予定していたが、ブーロス氏が米国務省に対してビザ発給を拒否するよう働きかけたとして、ブーロス氏との個別会談を拒否したと報じられている(9月23日、ロイター通信など)。


また、10月8日の国連安保理では、米国がRSFの支配するスーダン西部ダルフール地域を対象とする武器禁輸措置をスーダン全土に拡大するよう提案したが、拒否権を持つロシアやアフリカ理事国(A3、ソマリア、リベリア、コンゴ民主共和国)らの反対により、ダルフールのみを対象とする措置が2か月間延長された。国連安保理決議2830では、現行の制裁措置が12月11日まで延長されている。このように、スーダン内戦をめぐっては、米国の思惑通りに事態が動かない状況が続いている。


一方、SAFのブルハン将軍は10月15日、トランプ大統領宛てに書簡を送り、米国が主導する和平努力への支持と協力を表明した。また、米国からSAF側への支援を取り付けるため、同書簡にはスーダン国内の鉱物(金、クロム、ウランなど)やアラビアゴムなどの農業分野における米国とのパートナーシップの可能性も記載されていたとされる(10月16日、アナドル通信社)。The Africa Reportは、ブルハン将軍がブーロス氏やUAEを含むクワッドを迂回する形でトランプ大統領に直接働きかけたと報じている(10月16日、The Africa Report)。(国際部 髙橋史)

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