ブリュッセル/ベルギー ~歴史、自然、そして政治の街~

2019年08月20日

ベネルックス住友商事
檜垣 元一郎

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 2019年5月に実施された5年に一度の欧州議会選挙を経て、7月の欧州議会で承認されたフォンデアライエン(von der Leyen)欧州委員会新委員長を11月に迎えるブリュッセルは、EUの本丸を擁する政治の街の印象が強いですが、実はいろいろな顔を持っています。そのごく一部を紹介しましょう。

 

 

ワーテルロー/ライオンの丘。左斜面に階段があります(筆者撮影)
ワーテルロー/ライオンの丘。左斜面に階段があります(筆者撮影)

 世界史にあまり興味はない人でも「ワーテルローの戦い」は耳にしたことがあると思います。1815年6月に英蘭連合軍にプロイセン軍が加わり、ナポレオン1世率いる仏軍と交戦、仏軍が敗北しナポレオン軍最後の戦いとなった地です。ワーテルロー古戦場はブリュッセル市内から車で30分ほどの至近に位置しています。4年前の2015年に整備された「メモリアル1815」という博物館で歴史的な戦いが学べ、1826年に完成した「ライオンの丘」に登ると頂上から360度を一望でき、両軍合わせて6万人以上の犠牲者を出した当時の激戦に思いをはせることができます。ちなみに、ワーテルローは南北戦争決戦地である米国のゲティスバーグ、日本の関ケ原と並んで世界三大古戦場の一つになっています。

 

 

ソワーニュの森(筆者撮影)
ソワーニュの森(筆者撮影)

 

 

 市内からワーテルローまでドライブする間、広大な森林を通り抜けます。そこは「ソワーニュの森」と呼ばれるヨーロッパ・ブナの原生林です。ベルギーには12の世界文化遺産が登録されていますが、ソワーニュの森が2017年にベルギーで初めて世界自然遺産に登録されました。最後の氷河期以降に進化を遂げたヨーロッパ・ブナの生態系が残る希少な森です。世界遺産に登録されている地域は400ヘクタールほどですが、周囲も含めると東京ドーム約950個分、約4,400ヘクタールもの手付かずの原生林が広がっており、森の一部は市民の憩いの場にもなっています。ブリュッセル市内中心部から10キロメートルほどの場所に広大な森林とは贅沢(ぜいたく)な環境です。

 

 

 

 

ベルリンの壁。意外と無造作に置かれています(筆者撮影)
ベルリンの壁。意外と無造作に置かれています(筆者撮影)

 さて、ブリュッセル市内中心部に再び目を転じると、欧州委員会を中心に欧州議会、各国の大使館や多くの出先機関が置かれており、米国でいえばワシントンDCの機能を備えた政治の街とも言えます。EU28か国(近々27か国に?)の首脳が集結する地であり、また世界各国の要人も頻繁に訪れ、EU本部の周辺で交通規制が実施されるたびに要人来訪があったのだと分かります。そして、政治の中心地である欧州議会の本会議場の傍らや欧州委員会本部ビルの敷地内など数カ所に、ベルリンの壁の一部が移転され展示されており、EU統合のシンボルの一つとして現在でも多くの観光客が訪れています(写真「ベルリンの壁」は欧州議会ビル前に展示されているもの)。

 

 

 

ブリュッセルの中心にある広場「グランプラス」(筆者撮影)
ブリュッセルの中心にある広場「グランプラス」(筆者撮影)

 比較的狭い範囲内にさまざまな側面が凝縮されている街ブリュッセル、東京から直行便も飛んでおり、欧州各地あるいはアフリカへのハブとしても機能していますので、公私問わず欧州を訪れる機会があればぜひお立ち寄りください。

 

以上

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